掲載日 2009年9月8日
株式会社八幡ねじ(以下、八幡ねじ)は、約10万種類という少量多品種型ビジネスの典型といえる“ねじ部品”を製造・販売するメーカーベンダーです。同社は業界でいち早くIT化に着目し、2007年4月には全社統合生産システム「Yahata Conclusion System (以下、YaCS)」を構築しました。
2008年2月に同システムが経済産業省主催の「中小企業IT経営力大賞2008」で大賞(経済産業大臣賞)を受賞したことをきっかけに、「YaCS」をSoftware as a Service(以下、SaaS)化して各社が共通利用できるシステム「物流改革プラン」の開発に着手。同システムの構築に向けて八幡ねじを管理会社とする「ねじEDI/SaaS協議会」が発足し、八幡グループのSIベンダーである株式会社システムワイズ(以下、システムワイズ)が開発を担当することとなりました。
「物流改革プラン」は、八幡ねじ以外の企業も利用するため、高可用性や高信頼性が条件となりますが、その要求に応えられる製品としてIBM®WebSphere®Application Server Network DeploymentとIBM BladeCenter®(以下、BladeCenter)の組み合わせを選択。2009年4月には「物流改革プラン」が本稼働しました。
お客様ニーズ

株式会社八幡ねじ
鈴木 建吾氏
全社統合生産システム「YaCS」をSaaS化し、ねじ業界の共通プラットフォームを目指す
八幡ねじでは、「YaCS」の構築によりEDIによる自動受発注の仕組みや在庫のリアルタイムでの可視化が実現しました。
「弊社では、『お得意先・お取引先、わたしたち、そして社会の三方が共に幸せになってこそ安定した成長ができる』という『三方善の精神』が社是となっています。そこで『YaCS』で社会や業界に貢献できないかと考え、『物流改革プラン』が動きだしました」と、八幡ねじ 代表取締役社長 鈴木 建吾氏は話します。
同社では部分最適型でITシステムを整備してきたため、在庫の滞留や不足、将来需要を読めずに発生する後追い作業などの無駄が生じていましたが、それを「YaCS」で解消することができました。
八幡ねじ システム統括部 部長 山田 茂之氏は次のように話します。「弊社が困っていたことは他社でも困っていることだと考え、中小企業の経営力や生産性向上に貢献することを目標に、『YaCS』をSaaS化して共通利用できる『物流改革プラン』を考案したのです」
また、ねじ業界は中小企業が大半で、製品コードもほとんどは各社が独自に割り振っているのが現状です。これを企業間の情報伝達をしながら変換することで解決できないか、という思いもありました。
そこで、「物流改革プラン」実現のために「ねじEDI/SaaS協議会」を設立。同システムは2008年度「中小企業IT経営革新支援事業」の受託事業として、八幡ねじが管理会社となるほか、開発会社にシステムワイズがあたることが決定しました。
ソリューション

株式会社八幡ねじ
山田 茂之氏
IBM WebSphere Application Server Network DeploymentとIBM BladeCenterを採用
自社運用の「YaCS」と違い、「物流改革プラン」は複数企業で利用することが前提です。さらに、各社のデータを格納することも考えると、より高レベルの信頼性、可用性、セキュリティー、そして柔軟な運用管理機能が求められます。
システムワイズ 第一開発部 部次長 後藤 俊勝氏は導入の理由を次のように話します。
「オープンソースも含めたWebアプリケーション・サーバー・ソフトウェアを検討しましたが、求めている条件に合致していることに加え、将来性も考えてIBM WebSphere Application Server Network Deploymentを導入することに決めました。ロードバランサー(負荷分散装置)として機能するEdgeコンポーネントが活用できることも決め手の一つでしたね」
続けて、容易に二重化できる構造を持ち、グリーンITに対応するBladeCenterをWebアプリケーション・サーバーのハードウェアに組み合わせることも決まりました。
「中国・遼寧省にはシステムワイズの中国法人『沈陽微思軟件有限公司』があるのですが、将来的に中国でIBMとの協業体制やサポート体制を展開する構想があったこともIBM製品を導入した理由です」(後藤氏)。
また、サービス指向アーキテクチャー(SOA)化も八幡ねじのITシステムの流れにあるといいます。
「弊社では特定のベンダーに依存せずに、統合的に最適化された仕組みを開発するという流れがあります。コンポーネント化の概念など、プラットフォームを含めサービス全体を提供してきています。これはまさにSOA的な発想であり、この発想にはIBM製品がもっとも最適だと考えたのです」(山田氏)。
「物流改革プラン」は、2008年8月にシステム構築をスタート。10月にはIBM WebSphere Application Server Network DeploymentとBladeCenterが導入され、2009年2月には構築が完了。4月に本稼働を果たしました。
導入効果

株式会社システム
ワイズ
後藤 俊勝氏
企業間連携による円滑なデータ交換が可能となり、経営合理化や生産性向上を実現
「物流改革プラン」でできることは、EDIによる自動受発注と、EDI機能と連携する基幹業務システム(販売管理、調達管理、在庫管理)です。SaaSとして提供されるため、ハードウェアを持たずに簡単に使うことができ、ねじ業界の主流である中小企業が導入しやすいシステムとなっています。
「『物流改革プラン』は八幡ねじ含め3社でスタートしましたが、企業間連携による円滑なデータ交換が可能となりました。参加企業が増えていけば、ねじ業界全体がシームレスに連携できることで、経営合理化、生産性向上のみならず、業界全体の最適化へと発展していくことが考えられます」(後藤氏)。
八幡ねじ以外で「物流改革プラン」を導入した株式会社加藤螺子製作所では、月間51.3時間の合理化を達成できました。また、もう1社の大阪ハンマーキャスター株式会社では、月間37.9時間の合理化に加えて、工場側へ受注が2時間早く伝わることにより、工場出荷や生産手配への早期着手が可能となりました。
「実際の実証実験による各社の事例から、合理化効果や通信費の経費削減など、月間数万から十数万の効果があり、導入のための準備や教育等の実運用のご支援を考慮しても、数カ月で投資回収できることも分かり、安心してお勧めできます」(後藤氏)。
将来の展望
年度内には70社の利用を目標に他業界とのSaaS連携も目指す
「物流改革プラン」で、ねじ業界共通化へ向けて一歩踏み出した八幡ねじ。今後は自動車部品業界や電機電子業界など、業界を越えEDIをSaaS連携し共通化しようと動いています。また、債権債務や生産管理など、基幹業務システムの機能を拡張することも予定しています。
「9月から参加企業が増え、年度内には70社の利用を目標にしているので、他業界との連携を成功させたいと考えています。そのためには調整が必要となると思いますが、どの業界でも使えるような汎用システムにしていくことができればいいですね」(鈴木氏)。
現在、アプリケーション・サーバーは2台の導入ですが、参加企業が増えてくれば「それを拡張する必要もでてきます」と話す後藤氏。「拡張が必要となったとき、負荷分散を含めてどのような形で対応すればいいのか、IBMにはアドバイスを期待しています」(後藤氏)。
「物流改革プラン」の利用企業が拡大した後には、会計システムやグループウェアなどと融合した統合管理システムを構築し、中小企業でのIT経営を実現していこうということも計画されています。
「システムの開発、運用、運用支援は今後も弊社とシステムワイズが担当しますので、IBM WebSphere Application Server Network Deploymentの開発ノウハウを蓄積していければと思っています」(山田氏)。
お客様情報
1946年創業。約10万種類にものぼる締結部品(ボルト、ナット)の製造をし、全国約600社の産業機械向け注文販売のほか、全国数千店舗のホームセンターへ卸売販売を行っています。 “ねじ”専業メーカー。IT化には1970年代末から取り組み、いち早く自動倉庫管理やEDIによる自動受発注に対応しているほか、タイ・バンコクと中国・上海に製造拠点を持ち、高い品質基準に対応する国際調達システムを構築しています。
ビジネス・パートナー
1984年に八幡ねじの情報システム事業部として発足。1998年にSIベンダーとして分社化され、八幡ねじグループの一翼を担っています。中国・遼寧省には中国法人の沈陽微思軟件有限公司を持っており、最新のテクノロジーを最小のコストでお客様に提供するという戦略を進めています。
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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