掲載日 2009年10月28日
1986年に設立された株式会社ラック(以下、ラック)は、インターネット黎明(れいめい)期の1995年より、情報セキュリティーを専業とする企業として事業展開しています。同社は、案件管理の効率化を目的に、IBM WebSphere®、IBM DB2® がバンドルされたサイオステクノロジー株式会社(以下、サイオス)のプロジェクト管理ソリューション「ProjectKeeper Professional」を導入。案件の進捗状況、稼働率、損益を常に把握し、経営層やマネージャがスピーディーに意思決定するのに役立てています。
お客様ニーズ

事業推進統括部
統括部長
谷 英幸氏
月次処理後にしか分からなかった進行中案件の状況を正しく把握したい
ラックでは現在、セキュリティーに関するコンサルティング・サービスからシステム構築、監視・診断、教育・資格取得、セキュリティーに関する緊急対応まで、幅広いサービスを提供しています。同社の特長の一つは、サイバーリスク総合研究所と呼ばれる組織を有していること。この研究部門では、日々発生するウイルスやシステムの脆弱性などを研究し、新たな攻撃に備える活動を行っています。
また、企業システムに深刻なセキュリティー上の問題が発生したときに「何が原因なのかを調査し、どのように対応すればよいかを提案してほしい」という要望も多く、こうした緊急対応やフォレンジック調査などを実施する駆けつけサービスとして「サイバー119」も提供しています。このサイバー119サービスは、研究部門における成果に基づいて提供されるサービスで、2008年には52件の出動依頼がありました。
さらに2002年2月に、国内最大級のセキュリティー監視センターとなる「ジャパン セキュリティー オペレーション センター(Japan Security Operation Center:JSOC)」を開設。顧客企業が安心かつ安全にネットワーク環境を利用できるように、24時間×365日の監視体制を確立し、監視・診断サービスを提供しています。
このようにさまざまなサービスを提供しているラックにとっての最大の課題は、一つ一つのサービス案件(プロジェクト)で、どれだけの利益が出ているのか、損失が発生しているのかを把握できないことでした。
ラックの事業推進統括部 統括部長である谷英幸氏は、「従来、案件が終了するまで、黒字なのか、赤字なのかということが把握できませんでした。黒字の場合はいいのですが、赤字の場合、終了してから分かるのでは手遅れです。こうした経営的な視点での問題をいかに解決するかが大きな課題でした」と話します。
また各案件の進捗管理は、リーダーがそれぞれの方法で行っていたために、リーダーが変わると管理のやり方も変化し、現場の担当者が混乱してしまうということも課題の一つでした。さらに今後、リーダーとなる人材を短期間で育成していくためにも、標準的な管理手法を確立することが求められていました。こうした背景のもとに導入されたのがProjectKeeper Professionalです。
ソリューション

システム構成図
ProjectKeeper ProfessionalとIBM 製品で、使いやすい投資効果の高いシステムを導入
ProjectKeeper Professionalは、一つ一つの案件にかかわる担当者の管理や進捗管理、損益管理などを行うソリューションです。常に案件の状況を把握し発生する課題を早期に解決できるほか、最終的に成果物の保存もできるため、同じような過去の案件を参照し新たな案件を効率化するなど、ナレッジ・データベースとしても活用できます。
ProjectKeeper Professionalが採用された大きな理由は、コストパフォーマンスです。
谷氏は、「当社には、今まで知らなかったことを調査して、そこから仕事を創造するという“自由な文化”があります。そうした自由な文化は壊したくないと思っていました。そのため“管理される”というイメージのあるプロジェクト管理ツールは、浸透しづらいのではないかという懸念がありました」と話します。
ラックでは、これまでに同様の仕組みを導入したことがなかったこともあり、社員にどれだけ浸透するかも未知数でした。そのため、導入が失敗したときのリスクも考慮し、“より少ない投資で導入できる仕組み”を必要としていたのです。
また、“使いやすさ”も重要な要素でした。ラックが提供するサービスは、何年もかかる長期案件は少なく、長くても数カ月、一般的には数週間というものが多いからです。
「案件の登録に時間がかかってしまうと情報を登録する前に案件が終了してしまう可能性があります。他社製品も比較したのですが、機能が多すぎて使いこなすためには教育が必要そうでした。最初の導入としては、敷居を高くしたくないというのが本音でした」(谷氏)。
コストパフォーマンスと使いやすさという二つの条件をクリアしたのが、ProjectKeeper Professionalでした。ProjectKeeper Professionalには、ミドルウェア製品のIBM WebSphereおよびデータベースのIBM DB2がバンドルされているために、投資効果の高いシステム導入も可能だったのです。
導入効果
各案件の稼働率や損益が、案件進行中にも把握可能に
ProjectKeeper Professionalは2009年4月より導入が開始され、6月より本格的に全社展開されています。導入にあたりサイオスのサポートで、部門別の損益管理、案件ごとの損益管理、複数案件の比較が可能なアンドバリュー分析の3種類のレポートを作成しています。また、グループ全体で使用する会計システムと直接連携してデータを取得することができないため、必要なデータをCSV形式で抽出するためのバッチ処理も開発しています。
ProjectKeeper Professionalを導入したことで、案件の担当者は自分の担当しているタスクに必要な時間や進捗率などを、自己判断で容易に報告できるようになりました。また、各担当者が入力した進捗率は、各リーダーが承認するときに補正できるので、案件に対する客観的な判断が可能になりました。
導入の効果を谷氏は、「各マネージャーが担当している案件の状況を把握でき、作業進捗が遅れている案件があれば、それを損失処理したりすることなどが先手、先手にできるようになりました。当初想定していた導入の目的は達成できています」と話します。
ProjectKeeper Professionalで作業進捗を報告すれば、何かのリアクションがあるという意識が担当者にも、リーダーにも、少しずつ芽生えていることも効果の一つで、報告の重要性を意識づけることができました。
「担当者は、これまで口頭で行ってきた日々の業務報告がシステムに実装されたという違いしかありません。ただ、あまりにシステム化しすぎると、人と人のコミュニケーションの場が少なくなってしまうので、その点には注意しています」(谷氏)。
一方、経営面では、案件の途中経過が把握できるようになったので、意思決定のための情報を増やすことができました。この情報をいかに経営面で活用していくかが今後の重要な取り組みの一つとなっています。
特にラックのビジネスは、製品を販売するのではなくサービスを販売しているので、人材の稼働率は経営者にとって非常に重要です。これまでは月次処理後、5営業日にようやく前月の結果が把握できる状況でした。しかし、ProjectKeeper Professionalを導入したことで月の途中でも当月の状況が分かるようになりました。部門ごとに仕事量に差がある場合には、空いている部門の担当者が忙しい部門をヘルプするなど、人材の流動化も可能になっています。
システム面の効果では、ProjectKeeper Professionalは当初、他社製のサーバーで稼働していましたが、現在はIBMのサーバーに移行されています。
谷氏は、「24時間の監視サービスを提供しているので、利用者がいつでも進捗を報告できる安定性は不可欠です。また、一斉にではありませんが200人以上が利用するシステムなのでパフォーマンスも重要です。こうした面でIBMのサーバー製品には非常に満足しています」と話します。
将来の展望
販売管理システムとの連携やグループ全体への展開にも期待
将来の展望について谷氏は、「ProjectKeeper Professionalをさらに使い込み、基幹システムと密に連携させていきたいと考えています。また、販売管理システムと連携し、見込みから受注までの情報をProjectKeeper Professionalと連動することで、営業活動も管理できるはずです」と話します。
現在、ProjectKeeper Professionalは、ラックだけで利用していますが、「ほかのグループ会社も進捗管理をMicrosoft® Excel® などでそれぞれに行っているので、ProjectKeeper Professionalをグループ共通の管理ツールにできればと思っています」と谷氏。ProjectKeeper Professionalによる案件管理でラックが業績を上げ、実績としてホールディングスに報告できれば、トップダウンで各グループ会社にも広がっていくことも期待できます。
谷氏は、「ホールディングスの体制になってまだ2年なので、各グループ会社でシステムが共通化されていない部分も多く残っています。今後は共通化できる部分については共通化していくことになると思います。その中でラックとしては、現場で必要なシステムに関しては独自性を出していきたいと思っています」と話しています。
お客様情報
豊富な経験と高い技術に基づき、コンサルティングから構築、監視・診断、教育・資格取得、セキュリティーに関する緊急対応まで、さまざまなセキュリティー・ソリューション・サービスを提供。また、サイバーリスク総合研究所において、セキュリティー・サービスのための基礎研究も行っている。
ビジネス・パートナー
オープンソース・ソフトウェアの開発と利用を中核に、OSからアプリケーションまでのあらゆる事業を推進。各分野で最もエキサイティングな会社となることを目指すとともに、ソフトウェアのサブスクリプション、オンデマンド・ビジネスモデルに挑戦している。
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、ibm.com、System x、WebSphereおよびDB2は、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。
Microsoft, ExcelはMicrosoft Corporationの米国およびその他の国における商標。
