掲載日 2009年11月27日
富士通株式会社(以下、富士通)は、システム構築に必須な要件の精度を向上するために、IBM Rational DOORSを導入して要件の抜けや矛盾を見つけ出し、上流工程の品質を上げています。
目次
お客様ニーズ

システム生産技術
本部 若杉 賢治 氏
大規模なシステムでは要件管理のために専用ツールが必要
売上額を増やしたい、業務の効率を改善したい、システムを構築する理由はさまざまです。しかし、出来上がったシステムのすべてが発注元である顧客の満足を得られるわけでなく、思いのほか多くのプロジェクトが失敗に終わっています。失敗した理由は、顧客がビジネス上でやりたいこととシステムへの要件との関連を「見える化」せず、利害関係者(ステークホルダー)全員の合意を得ずにシステムを作ったためです。「見える化」して「合意を得る」こと。これが顧客の業務にきちんと合ったシステムを構築するために最も大切です。富士通 システム生産技術本部 SI生産革新統括部で統括部長代理と情報化企画推進部長を兼務される若杉賢治氏は次のように話します。
「ビジネスで何を変えたいのか。その中でシステムに何を求めているのか。この部分を明確にせずに作られたシステムは、お客様の要求を満たしていない可能性があります。お客様がビジネス上でやりたいこととシステムへの要件との関連を『見える化』しないと、お客様の抱いているビジネス上の要求に対するシステムへの要件が正確に表現されず、ズレを含んだままシステムを構築することになります。そして、このズレがシステム構築の後工程になるほど大きくなり、最終の受入段階で『これは使えない』や『考えていたものと違うので変えてほしい』となるケースが非常に多くあります。これは、それまでに行ってきたことが無駄になることを意味し、その影響範囲はとても大きなものになります」
富士通は、顧客の要件間の関連をきちんと構造化して管理することが必要だと考えています。「課題管理や問題点一覧などでの平面的な管理は、どこでもやられていることだと思います。ただし、要件1件1件をきちんと管理しても、それぞれの要件間の関連は分かりません。要件間にきちんとリンクを張ることが必要です」(若杉氏)。
要件間の関連を管理することは、システム規模が大きくなるほど手作業では難しいものになります。このため、富士通は、大規模なシステム開発の現場には要件管理のための専用ツールが必要だと考えました。
ソリューション

システム図
特長的な機能を数多く持つIBM Rational DOORSを選択
富士通は、いくつかの製品を検証し、その機能を比較しました。そして、富士通は、IBM Rational DOORSを選択しました。その理由の一つは、要件間の関連を見渡しながら要件の内容が確認できることでした。富士通 システム生産技術本部 SI生産革新統括部 情報化企画推進部の渡邉優子氏は次のように話します。
「他社の製品でもネットワーク図のように全体の関連を見せるものはありましたが、それでは一つ一つの要件に書かれていることが見づらく読めません。個々の要件に書かれていることを読みながら、全体構造を俯瞰できたのはIBM Rational DOORSだけでした」
この機能が非常に重要であることを、富士通 システム生産技術本部 SI生産革新統括部 情報化企画推進部の新垣一史氏は次のように説明します。
「実際に要件定義を確認する際には、まず関連を定義した上で、元になる上位の要件があることや、ある業務要件の下にシステム要件が定義されていることなどを見ます。また、要件の内容が上位の要件を満たしているかといったこともきちんと確認するために、さまざまな属性情報を見たり要件の詳細を読んだりする必要もあります。ある程度の規模以上になると、ネットワーク図のようなものでは要件のタイトルくらいしか確認できません。IBM Rational DOORSのビューは表形式であり、縦方向にスクロールして順に内容を読むことができます。内容がきちんと読め、意味の上で妥当であることを確認できるのは、非常に価値があります」
また、要件間の関連属性を上下両方向で個別に設定できることも、富士通がIBM Rational DOORSを選定した理由の一つでした。
「IBM Rational DOORSでは、上位の要件から下位へのリンクには『この要件を実現する』、下位の要件から上位へのリンクには『上位の要件を満足する』といったように、異なる属性を持たせることができます。このような要件間の関連を、その方向によって別々の属性で定義できるものはIBM Rational DOORSだけでした」(若杉氏)。
要件入力に関する操作性の良さからも、富士通はIBM Rational DOORSを選択しました。「他のツールは要件を一つずつ順に入力していきますが、IBM Rational DOORSは表形式で入力します。実際に要件を入力するときには、1件ずつ見ながら書き写すのではなく、前後の要件を見ながら入力したり、既存の他の要件の一部をコピーして流用したりすることがあります。さまざまな要件をお客様から多数受け取り、それを整理しながら入力してまとめていくため、単票形式でなく全体を見ながら操作できるIBM Rational DOORSでの要件入力の方法が役に立ちます」(渡邉氏)。
さらに、要件管理ツールとしてトップシェアを占め、航空機産業や防衛産業といったミッションクリティカルな業界でも使われているという、製品への信頼感もIBM Rational DOORSの選択を後押ししたそうです。
導入効果

システム生産技術
本部 新垣 一史 氏
経験に頼らずに要件の抜けや矛盾を見つけ出す
現在、富士通は、IBM Rational DOORSをいくつかのプロジェクトで試用し評価を続けています。新垣氏は、すでに表れている効果を次のように話します。
「お客様の要求が書かれているドキュメントをIBM Rational DOORSで整理し、その要件内容を検証しています。ドキュメントのままでは、階層構造がきちんとしているか、論理的に正しいかを判断することは困難です。ドキュメントに書かれた要件をIBM Rational DOORS上に定義した階層に割り当てることで、論理的なつながりがないところや抜けている部分が明確になります。このような欠陥を見つけ、その要件が何のためにあるかや具体化できていないことなどを把握し、次の工程で対策を立てています」
このような階層の抜けや論理的な矛盾の発見は、これまで担当のプロジェクトリーダー個人が持つ経験に頼っていたそうです。IBM Rational DOORSを導入することで、プロジェクトリーダーのレベルを均一な位置に引き上げることができます。
富士通は、IBM Rational DOORSを使うことで、上位の要件に対応するシステム機能が明確に分かるため、見積りの精度が向上するとも考えています。また、システム構築の上流工程できちんと要件が定義されることで、顧客の認識とのズレがなくなり、工期や予算が当初の予定内に収まることも期待しています。
将来の展望

システム生産技術
本部 渡邉 優子 氏
IDCへの導入を終え、適用範囲を拡大
富士通は、試用によって効果を確認できたため、IBM Rational DOORSを同社のIDC(Internet Data Center)に導入し社内展開に備えています。若杉氏は、今後の展開を次のように話します。「2009年度下期からある程度の規模以上のプロジェクトにIBM Rational DOORSを適用するなどの基準を設け、その適用範囲を広げていこうと考えています」今後、富士通によるシステム構築の多くでIBM Rational DOORSが要件管理ツールとして広く利用されていくはずです。
お客様情報
お客様名:
富士通株式会社
所在地:
〒105-7123 東京都港区東新橋1-5-2汐留シティセンター
URL:
富士通株式会社は、通信システム、情報処理システム、電子デバイスを製造、販売するとともに、これらの関連サービスを提供する国内有数の企業です。同社のシステム生産技術本部は、SEの共通技術部門として、技術の開発や標準化、社内外への普及などを行っています。その中でSI生産革新統括部は、システム開発全般の技術を担当しており、情報化企画推進部は、そのうちの要件定義、基本設計、システムテスト、運用テストといった、お客様と直接関係する領域での技術を担当しています。
製品・技術情報
ソフトウェア
参考資料
- お客様導入事例 富士通株式会社(395KB)この事例のPDFがダウンロードできます。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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