掲載日 2009年11月27日

パナソニックITS株
式会社 外観カーナビゲーションやETCなどの車載用端末を開発するパナソニックITS株式会社(以下、パナソニックITS)は、ソフトウェアのビルドプロセスを見直し、IBM Rational®Build Forge®を使って自動化することで、大幅なコスト削減と開発効率の向上を達成しました。
お客様ニーズ

開発支援グループ
江本 孝弘 氏
プロジェクトごとに異なるビルドプロセスを統一
電子制御ユニットや車載カメラといった電装品、マルチメディアオーディオ、ナビゲーションシステムなど、パナソニックITSが扱う車載用製品はさまざまです。また、これらの製品向けのソフトウェア開発は、CPUや言語などが異なっていることに加えて、ソースファイルから実行形式ファイルを生成するビルドプロセスの内容もプロジェクトごとに違っていました。
パナソニックITS 開発支援グループ IT推進チームで技師を務める江本孝弘氏は、このときの状況を次のように話します。「ビルドプロセスには、コンパイル時間が数十分で済むものもあれば数時間かかるものもあります。また、すべてが手作業で、プロジェクトごとにやり方が違っていて統一されていませんでした」
パナソニックITSは、ビルドプロセス中に手作業部分がある点も問題だと考えていました。その理由の一つは、人によるミスが生じるためです。数時間もかかるビルドプロセスが人的ミスによって失敗してしまうと、それまでの時間はすべて無駄になります。もう一つの理由は、手作業のために専任者を設けなければならないことです。
これらの問題を解決するため、パナソニックITSは2007年からビルドプロセスの改善を全社レベルで取り組み始めました。それまではメールで送られてきたり表計算ソフトウェアの一覧から指示されたりと、ばらばらだったビルドプロセスへの依頼内容を明確にしました。また、ビルドプロセスの成果物を、ビルド後のテストに供するものと定めました。
さらに、ビルドプロセスでの検証結果も必ず取るようにしました。それまでは、検証結果を取得するかどうかがプロジェクトごとに違っていました。「検証結果を取っていないプロジェクトでは、ビルドプロセスの成果物に間違いがあっても、どこでミスが生じたのか、どこまで戻ればいいのかがわかりません。このため、検証結果をどこで取るのか、確認はどうするのかということを明確に決めました」(江本氏)。
これらの改善に加えて、パナソニックITSは、GUIを使った統合環境での操作をコマンドラインからも実行できる仕組みを作成しました。この仕組みを取り入れることで、それまでビルド専任者が手作業で行っていた部分をバッチファイルやスクリプトによる実行に代替できるようにしました。
ソリューション
プラットフォームや言語を選ばず、既存スクリプトを利用できる点がニーズに合致
このような改善によってビルドプロセスを自動化する準備が整うと、パナソニックITSは、自動化のためのツールを探し始めました。調べてみると、候補になりそうな製品がいくつか見つかりました。しかし、それらは使用できるプラットフォームや言語が限定されていて、パナソニックITSのニーズに合わないものばかりでした。そんなときに、パナソニックITSは、IBM Rational Build Forgeの存在を知りました。IBM Rational Build Forge選定の理由を、江本氏は次のように話します。
「プラットフォームに依存しない。言語にも依存しない。さらに既存のスクリプトをそのまま使え、導入までの時間が短い。これらの特長からIBM Rational Build Forgeの導入を検討し始めることにしました」
パナソニックITSは、商品説明を受け、自らが抱える課題を相談しました。「課題は何か、どのようにしたら改善できるか、といった社内の問題をIBMを交えて検討しました。このとき、本当に親身になって考えていただけました」(江本氏)。
そして、パナソニックITSは、2008年7月からIBM Rational Build Forgeの試用を開始しました。「9月中旬までの1.5カ月間、1~2週間おきに当社まで来ていただき、課題の共有や問題の解決などに対応していただきました」(江本氏)。
導入効果
依頼から結果通知までのビルドプロセス全体を自動化
パナソニックITSは、IBM Rational Build Forgeを使ったビルドプロセスの自動化を2008年10月から開始しました。導入の効果を江本氏は次のように話します。
「これまでプロジェクトごとにビルド専任者を必ず一人付けていました。IBM Rational Build Forgeによる自動化で、このような専任者を設ける必要がなくなり、そのコストを削減できました」
また、IBM Rational Build Forgeのスケジュール機能を使うことで開発効率も上がりました。「以前はビルドエラーが発生すると、問題箇所を手直ししてビルドを初めからやり直していました。現在はIBM Rational Build Forgeのスケジュール機能を使い、ビルドが明け方に終わるようにしています。このようにスケジュールすることで、開発者が出社したときにビルドエラーの有無をメールで知ることができます。また、出社後すぐに修正に取りかかれるため、その日のうちにビルドを再開することもできます。さらに、エラーがなかったときには、明け方に終了したビルドの成果物をそのまま動作確認に使うことができます」(江本氏)。
ビルドプロセスの検証結果を取得するという観点からは、IBM Rational Build Forgeの作業結果をログとしてデータベースに保存するようにしているそうです。ログを保存することで、ビルド後のテストでおかしな動作を見つけたときに、前回のログとの違いを元に失敗箇所を探し出す作業が容易になったそうです。
このようなIBM Rational Build Forgeによる自動化の効果に、パナソニックITSは大変満足しています。また、パナソニックITSは、ビルドプロセスへの依頼や結果に関する帳票類を統一し、開発者がWebサイト上から作業項目を入力するだけで済むようにしました。現在は、IBM Rational Build Forgeによって、ビルドプロセスの依頼票が作られ、構成管理サーバーから必要なファイルが集められ、ビルドの成果物が公開され、ビルド結果がメールで開発者に送られるそうです。このようにすることで、他の場所に開発者が分散した状況でも、情報を一元管理しWebサイト経由で簡単に確認できるようになりました。
将来の展望
自動化ソリューションの中核ツールとして利用
パナソニックITSは、全製品の8割近くに関するビルドプロセスをすでに自動化し、今年度中にすべての製品のビルドプロセスを自動化し終えたいそうです。また、IBM Rational Build Forgeを、品質を見える化し向上させるためのツールとしても利用していこうとも考えています。「ビルドを自動化するためだけのツールではなく、自動化ソリューションの核となるツールだと思っています。すでに、結合テストやシステムテストでの不具合管理においてデータベースからデータを抽出してグラフ化するために利用したり、C言語の静的解析で結果をWebサイトにアップロードする作業にも使っています」(江本氏)。
IBM Rational Build Forgeは、今後もパナソニックITSでのコスト削減と品質向上のために広く利用されていきます。
お客様情報
2000年4月にパナソニックグループの一員として誕生したパナソニックITS株式会社は、次世代交通システムとして推進されているITS(Intelligent Transport Systems)関連の車載用端末としてカーナビゲーションやETC(Electronic Toll Collection System)などを開発しています。パナソニックITS株式会社は、利便性や安全性を高めカーライフの楽しみを提供するITS分野で、お客様に喜ばれる付加価値を創造し続けることを目指しています。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBM ロゴ、ibm.com、Build ForgeおよびRationalは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。
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現時点での IBM の商標リストについては、http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtmlをご覧ください。
