掲載日 2010年4月1日

福岡地区水道企業
団 庁舎福岡都市圏の6市7町1企業団1事務組合により構成され、福岡都市圏への水道用水供給事業を行っている福岡地区水道企業団は、IBM Maximo Asset Management(以下、IBM Maximo)をベースに「アセットマネジメント(資産管理)システム」を構築しました。福岡地区水道企業団は、水道用水供給施設の設備維持と水道用水供給事業の経営管理での懸案をアセットマネジメントシステムで解決しようとしています。
目次
お客様ニーズ

施設部 施設課長
下川 明 氏
課題解決のためにアセットマネジメント基本計画を策定
1973年の設立後、福岡地区水道企業団は、浄水施設や送水施設を建設し、1983年に水道用水の供給を開始しました。その後も福岡都市圏での水需要の増大や、頻発する渇水への対応のため、海水淡水化施設の稼働やダム建設などを進めてきました。一方、供給開始から26年が経過した浄水施設や送水施設を改築更新し維持していくことも必要になってきていました。
福岡地区水道企業団 施設部で施設課長と課長(用水供給システム機能強化担当)を兼務する下川明氏は、次のように話します。「2007年に、筑後川から牛頸浄水場への導水管で漏水事故が起こりました。幸い、途中の山口調整池を使うことで用水供給自体に影響はありませんでした。しかし、今後、施設が老朽化し不都合が起こる回数が増えることを懸念しました」
下川氏は、用水供給の事業経営に関する懸念も示します。「福岡都市圏の人口は増え続けていますが、用水の需要はいつまでも伸びる訳ではありません。用水供給の経営面から考えると、需要を見込んで投資したものの回収できずに他の利用者の負担増になるという結果が懸念されます。福岡地区水道企業団としては、できるかぎり料金水準を同一のまま維持し続けるために、長期的な収支の見通しを立て健全な経営を続ける必要があります」
このような設備の維持と経営に関する二つの懸念から、福岡地区水道企業団は、用水供給システムの機能強化に関する調査と検討を専門に行う担当を設け、「アセットマネジメント基本計画」を検討し策定しました。
「アセットマネジメント基本計画は、厚生労働省の手引きが配布される以前に、独自に立案したものです。単なる資産管理だけでなく経営面も含めて財政収支が見られるようにした点が他と違います。今後最も心配なことは、水道事業の経営破綻です。地方自治体のバックアップがあり実際に破綻することはないでしょうが、地方自治体にバックアップを続けられるほどの余裕があるかどうかは不明な状況です。また、水道料金を現在の2、3倍と大幅に上げることもできません。一方、利用者にとっては、事故などによる断水は受け入れがたいものです。この部分をうまく治めていくのがアセットマネジメントという考え方だと思います」(下川氏)。
福岡地区水道企業団は、策定したアセットマネジメント基本計画とともに機能強化も図ったアセットマネジメントシステムの構築を計画しました。「水道料金は4年ごとに見直しています。このとき、収支計画として10年くらい先までを検討するのですが、40、50年先を考えることは難しくてできていません。また、福岡市の職員で構成されているため、3、4年で人がどんどん変わってしまい、企業団独自のノウハウを蓄積できずにもいます。このため、数値データに基づいて計画が立てられるアセットマネジメントシステムが理想的だと考えました」(下川氏)。
ソリューション

システム構成図
豊富な実績からIBM Maximoを採用
福岡地区水道企業団は、検討を重ねた結果、現状ではデータに不足があると判断しました。このため、最終目標に達するまで使い続けられるシステムを構築しようと考えました。「最初から百パーセント完全なシステムが作れるとは思っていません。手元にあるデータだけを使ってシステムを構築し、その後はシステムを稼働させながら、データを収集し、精度を高めて百パーセントのものに仕上げていこうと考えました」(下川氏)。
そして、コンサルティングを依頼している日本水工設計株式会社からの提案もあり、IBM Maximoを採用しました。福岡地区水道企業団 施設部で主査を務め、用水供給システム機能強化担当でもある永田隆行氏は、採用の理由を次のように話します。「IBM Maximoは、資産管理のための基本機能を備えています。2年という短期間でシステムを構築しなければならないため、ベースになる部分がある点を評価しました。また、扱うデータが膨大になるため、しっかりとした実績がある点も採用理由の一つになりました」
下川氏は、さらにIBM Maximoの採用理由を次のように話します。「資産管理のために、きちんとしたデータベース機能を備えています。さらにアセットマネジメントで使うさまざまな経営判断のためのプログラムをIBM Maximo上に構築できるという点に魅力を感じました」
導入効果

施設部 主査
永田 隆行 氏
現場の作業から経営の判断までに生かせるシステム
現在、福岡地区水道企業団は、IBM Maximoの導入と必要なデータの入力を終え、アセットマネジメントシステムの構築に取りかかっています。「IBM Maximoを採用したことで、新たに大きな投資を行うことなくアセットマネジメントシステムを構築でき、時間と費用の両面でメリットがありました」(下川氏)。
福岡地区水道企業団が構築しているアセットマネジメントシステムが稼働すると、40、50年先を見越した方針が立てられるようになります。また、機器の入れ替えや点検時期の更新などの機器管理が行えることに加えて、どのような維持管理の方法によってコストがどの程度生じるかも判断できるようになります。さらに、それまで専門の担当者が数週間を費やしてデータを精査し処理してきた将来の支出見通しを、誰もがある程度のレベルで行えるようにもなります。「用水供給の事業全体から見れば、収入は毎年ほぼ一定です。このため、支出を平準化することが課題になります。支出に山谷があると事業の運営自体がやりづらくなります。設備の維持管理で全体支出を平準化できれば、個々をどのように行っていくかにフィードバックできます。現場サイドで役に立ち、計画を立てる人の役に立ち、トップの経営判断にも役に立つ。それをアセットマネジメントシステムの目標にしています」(下川氏)。
将来の展望
既存システムと統合して、より使いやすいものにする
福岡地区水道企業団では、アセットマネジメントシステムを2009年度中に完成される予定です。そして、次年度以降は、固定資産台帳システムのデータを毎年取り込み、既存の水道施設台帳システムや管路マッピングシステムとリンクし統合する予定です。「既存システムとの統合によって、現場のデータをすぐにアセットマネジメントシステムに反映し、設備維持管理の担当者がより使いやすいものにできればと思っています」(下川氏)。
次年度以降に予定されているシステム統合後も、IBM Maximoがその中核を担うことになります。
お客様情報
お客様名:
福岡地区水道企業団
所在地:
〒815-0031福岡県福岡市南区清水4-3-1
URL:
福岡地区水道企業団は、福岡都市圏の福岡市、筑紫地区、糟屋地区、宗像地区、糸島市の6市7町1企業団1事務組合で構成される一部事務組合(特別地方公共団体)で、構成団体への水道用水の供給を行っています。
製品・技術情報
ソフトウェア
参考資料
- お客様導入事例 福岡地区水道企業団 (1MB)この事例のPDFがダウンロードできます。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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