掲載日 2010年4月27日

大東文化大学
板橋キャンパス学校法人 大東文化学園 大東文化大学(以下、大東文化大学)は、IBM WebSphere Portalにより全学部・大学院の学生を対象とした情報提供のためのポータルサイト「学生ポータル(大東文化大学 学生情報掲示板。通称、DB Portal。以下、学生ポータル)」を構築しました。学生ポータルによって、学生は、自分への連絡、時間割、取得単位などの情報をWebブラウザーや携帯電話から簡単に確認できるようになりました。また、大学は、既存のシステムやデータを生かしながら、システム改修や業務の変更といったコストの発生を抑えてポータルを実現し、学生とのつながりをより一層強めています。
目次
お客様ニーズ

学園総合情報セン
ター事務室 主査
佐野 拓也 氏
個人情報保護法によって学生名が掲示できない
2005年4月に施行された「個人情報の保護に関する法律(以下、個人情報保護法)」は、12,000人近い学生が在籍する大東文化大学の業務にも影響するものでした。大東文化大学 学園総合情報センター事務室で主査を務める佐野拓也氏は、その影響を次のように話します。「個人情報保護法の施行によって、個人名を記した紙を掲示板に貼り出せなくなりました。このため、学生に連絡を取る別の方法が必要になりました」
同大学の文学部事務室で事務長を務める藤井英明氏によると、具体的には以下のような課題です。「それまでは紙による掲示で連絡を行っていたのですが、個人名が出せなくなり、掲示による呼び出しの効果が見られなくなりました。施行当初は、名前の代わりに学籍番号を使いました。以前、名前を掲示していたときには、本人以外の学生がそれを目にして、間接的に本人に掲示が伝わることがありました。しかし、学籍番号ではこのようなことが期待できなくなりました」
また、掲示物の一部にはプライバシーなどの観点から取り扱いを慎重にする必要があるものもあり、個人名や学籍番号による呼び出しを簡単に掲示板に出せなくなりました。
ソリューション

文学部事務室
事務長
藤井 英明 氏
柔軟性が高く、安定性と実績があるIBM WebSphere Portalを採用
個人情報保護法に関する課題を解決するため、大東文化大学は学生を対象としたポータルサイトの構築を検討しました。しかし、長年にわたって学内の各種システムを構築、稼働してきた中で、検討したパッケージ製品はどれも満足できるものではありませんでした。「パッケージ製品は一見コストが低いように思われました。しかし、パッケージ製品を採用した場合の最も大きな問題は、既存の事務システムに大幅な改修を施すか、業務を既存の事務システムからパッケージ製品に乗せ変えた上で必要なカスタマイズを施す必要があり、その費用が膨大な金額になることでした。また、掲示板に表示した内容の学生による参照状況を確認したいなど、いくつかの要望を実現するためにも多くの費用が必要でした」(佐野氏)。
例えば、大東文化大学では多くの学部・学科、研究科を擁する関係でバックエンドで管理する開講科目に関連するデータが複雑なものとなっており、履修登録や成績に関する事務システムもこれに対応するように構築されています。また、掲示板の学生による参照状況の確認は、単に一人一人の学生が自分の未読文書を把握できるだけではなく、掲示の発信者が対象となる学生の中から未読の学生を一覧的に把握したり、学生ごとの掲示に関する参照の傾向をつかむことが求められました。
このような背景と要望から、いくつかの製品を比較・検討した結果、大東文化大学は、現在の大学の業務、そしてすでに稼働しているシステムの運用に合わせて必要なものだけを独自に作ることが最適な方法だと判断しました。大東文化大学 大学院事務室の天野友彦氏は、次のように話します。「いくつかの製品を目にしたり、導入している他の大学を見学したりしてみると、パッケージ化された製品を利用した場合、今、自分たちが行っている業務をそのまま続けることができないという問題が見えてきました。システムに合わせて大学の業務を変えることは、今回のポータル構築の目的における本質ではないという意見が大多数を占めました」
大東文化大学は、自由度が低く多額の改修費用が発生するパッケージ製品の導入を見送り、柔軟性に優れたIBM WebSphere Portalを採用した上で独自の開発によってポータルサイトを構築することにしました。大東文化大学 学園総合情報センター事務室で課長を務める畠山耕一氏は採用理由を次のように話します。「既存のシステムが有効に活用できるオープン性と、12,000人近くの学生による利用というレベルできちんと動く安定性と実績からIBM WebSphere Portalを選びました」
導入効果

学園総合情報セン
ター事務室 課長
畠山 耕一 氏
学生の利便性向上
ポータルサイトの構築は、大東文化大学にとって初めての試みであり、コムチュア株式会社がプロジェクトを担当しました。最初に取り掛かった機能は個人情報保護法に関する課題を解決するための学生向け掲示板でした。この第1フェーズのプロジェクトは、2006年12月に開始されました。入試や卒業、入学などがあり、大学にとって最も忙しい時期であったにもかかわらず、大学内のプロジェクトメンバーの積極的な参加により、ポータルの在り方から画面設計まで、深い検討が行われました。そのため、この第1フェーズで構築した学生向け掲示板「My掲示板」の機能は、現在もほとんど仕様変更を必要とせずに利用されています。また、当初は一部の学部でのパイロット展開を予定していましたが、公開前の負荷テストでまったく問題がなかったこともあり、学生ポータルとして2007年5月に全学生約12,000人に向けて公開されました。
その後、2008年4月に履修確認機能や携帯電話に対応した「My時間割」、2009年4月に取得単位を確認するための「My成績表示」機能などをそれぞれ追加しました。
履修確認機能「My時間割」を導入する以前は、確認不足や勘違いによって履修科目を間違える学生がいました。従来、学生は履修科目の登録後に紙の確認表を受け取って確認していたのですが、しっかりと見ていなかったり、登録した科目の時限や開講期間を取り違えてしまったりしていました。内容によっては、進級・卒業に必要な単位にも影響しかねません。このような間違いは、携帯電話でも参照可能な「My時間割」の機能で解消されました。「携帯電話には自分の今学期の時間割が曜日ごとに表示され、簡単に確認できます。このようにしたことで、学生が登録科目を間違うことがなくなりました」(藤井氏)。
情報を通じて学生との距離を縮める
学生ポータルでは、表示されるコンテンツを個人に合わせて絞り込むパーソナライズにより、必要な情報のみを提供しています。「不必要な情報は流さないようにしています。これまでの掲示板の問題点は、新しい情報、自分に関係する情報が、多すぎる掲示物の中に埋もれてしまうことでした。学生ポータルでは、この問題を解決するためにも、本人に必要な情報だけをピックアップして届けるようにしています。
また、掲示板の学生による参照状況が把握でき、掲示が見られていないのか、見ているのに学生が必要な手続きを取っていないのかも分かり、事務職員による対応も取りやすくなっています」(藤井氏)。学生側の機能としては、個人のメールアドレスを登録して、学生ポータルからの通知を受け取ることができ、携帯電話からも掲示を確認することができます。帰省中や、各種の実習などで学外に出ている時でも情報を受け取ることができるようになっています。
このような機能に加えて、例えば、過去の参照傾向を参考に掲示のタイトルを変えてみたり、国家試験を受験しようとしている学生や、学外での病院実習中の学生への通知に、激励のメッセージを一言加えるなどの工夫もあり、「担当している学部の学生との距離が非常に近くなっています」(天野氏)。「掲示やメッセージで学生との距離を縮めることで、窓口に来たときの反応が変わり、学生の方から親しく呼びかけてくれます。それまで出てこなかった相談事などに、より早く対応できるようになっています」(藤井氏)。
このように、個人情報の取り扱いに関する課題解決から始まった学生ポータルは、学生による情報参照の利便性を高めながら、学生と、学生の大学生活をサポートする事務職員、教員(教育職員)との距離を縮めることに成功しています。
既存システムの有効活用
学生ポータルでは、大東文化大学がこれまでに構築し稼働している既存の事務システムとデータが有効に活用されています。例えば、時間割や成績表示機能は、すでに存在している事務システム内のデータを直接参照しています。学生ポータルへのログインに利用されるIDとパスワードはディレクトリー(利用者の認証情報用のシステム)に登録されていますが、ポータル画面上に表示される氏名や所属などの個人の情報は、こちらも既存のシステム上のデータより表示しています。これらのコンテンツには、学生や教職員によるアクセス制限がそのまま反映されています。また、コンテンツによっては複数のシステムのデータを、表示する時点で結合させているものもあります。このように学生ポータルでは既存の業務システム、データを有効に活用するように、コピーなどでデータの二重管理が発生しないように工夫されています。
既存の業務システムとデータを有効に活用しながら、それぞれの「人」に最適化した情報を提供し、人と人、人と業務をつなぐ学生ポータルはSOA (サービス指向アーキテクチャー)のフロントエンドとしてのポータルの理想的な姿といえるでしょう。既存システムの有効活用と、システム的な処理の自動化では実現することができない、人によるアクションやコミュニケーションのトリガーとしてポータルが有効なのです。
将来の展望

大学院事務室
天野 友彦 氏
大学に来てもらうためのポータルサイトへ
畠山氏はIBM WebSphere Portalを使った学生ポータルを次のように評価しています。「学生ポータルは、既存の事務システム内にあるデータを生かすことでコスト削減を図っています。また、事務システムからデータを抽出する仕組みもきちんとできており、今後、他の機能を実現していく拡張性にも期待しています」
一方で、学生ポータルには「便利にしすぎない」という配慮も存在しています。例えば、掲示板の通知メールは、すべての学生が個人の携帯電話でも受信できるよう機能や内容をシンプルに抑えています。緊急の通知を除いては講義の妨げとならないよう平日の日中の配信を避けて、内容もメールで完了するのではなく、学生にポータルや窓口での確認を促すように通知にとどめてあります。佐野氏は、学生ポータルの在り方を次のようにまとめます。「大学の学生向けWebシステムの導入は、とかく学生が大学に来なくても良いような利便性が追求されがちですが、本学の学生ポータルは、学生に大学に来てもらうためのポータルサイトです。そのためにコンテンツを用意し、学生に大学へ来てもらうことを目指しています。事務システムと連携することで、効率化できるところは効率化する。ただし、それは、より手厚く学生を支援するためです」IBM WebSphere Portalの柔軟性と、この明確な目的が、学生ポータルを支えています。
今後、大東文化大学は、教員向け機能の拡充や学内の他システムとの連携を視野に学生ポータルを拡張していこうと考えています。そのときにも、IBM WebSphere Portalの柔軟性と拡張性が役立つはずです。また、IBM WebSphere Portalに含まれるコラボレーションの機能を、ゼミやサークルの活動にも提供することで、より学生に便利で、学生に大学に来てもらうポータルとしての価値を高めていくためのアイデアも膨らんでいます。
お客様情報
お客様名:
学校法人 大東文化学園 大東文化大学
所在地:
〒175-8571東京都板橋区高島平1-9-1
URL:
大東文化大学は、建学の精神として「東西文化の融合」を掲げ1923年に設立されました。現在は、8学部19学科、大学院7研究科、法科大学院を有する総合大学に発展しています。同大学は、これまでの長い歴史と輝かしい伝統を未来につなぐために、教職員が一丸となり果敢にチャレンジし新たな飛躍を目指しています。
ビジネス・パートナー
企業名:
コムチュア株式会社
所在地:
〒141-0032東京都品川区大崎1-11-2ゲートシティ大崎イーストタワー8F
URL:
コムチュア株式会社は、グループウェア、Web、ERPの3つのソリューション開発をネットワーク運用サービスでつなぎ、企業の膨大な情報を有効活用できるように日々取り組んでいます。
製品・技術情報
ソフトウェア
参考資料
- お客様導入事例 学校法人 大東文化学園 大東文化大学(1.69MB)この事例のPDFがダウンロードできます。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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