掲載日 2010年5月14日

ベルリッツ
コーポレーションベルリッツ コーポレーション(以下、ベルリッツ)は現在、全世界75の国と地域、567拠点を基盤にランゲージセンター(語学教室)を展開しています。従来の語学研修サービスの枠を超え「グローバル・エデュケーション・カンパニー」として、社会人と学生のグローバル化を支援する世界No.1の教育サービスプロバイダーを目指して、ベルリッツはグローバルに統合された企業となるべくITインフラの整備に着手しました。その一環として、グローバル規模での社内コミュニケーションの強化を目的とし、約1万人 の社員や講師を対象とした大規模イントラネット・システム「SPACE(Smart Place to Accelerate Community of Excellence)」を構築し、2010年1月に稼働を開始しました。
目次
お客様ニーズ

バイス・プレジデント
最高技術責任者
久保田 大介 氏
グローバル社会を支えるソリューション・ビジネスへの転換を目指して
130年の歴史を通してベルリッツは、世界各地の教室という“場”を中心とした、お客様(受講生)とのフェース・トゥ・フェースのビジネスを展開してきました。その“場”も昨今はインターネットを利用したバーチャルな教室へと進化し、国内外のどこからでもレッスンを受講できるハイブリッド・メソッド化を進めています。一方、お客様のグローバル環境での成功を支援することを目標とした、語学サービス事業の枠を超えた新たなビジネス・モデルを積極的に展開しています。その一つとして、グローバル社会で企業が勝ち抜くためのカギとなる「グローバルリーダー」を育成するグローバル リーダーシップ トレーニングという2009年から新たに提供しているプログラムがあります。このように加速するグローバル化に合わせベルリッツ自身のビジネスも進化している中で、お客様へより良質なサービスを提供するためにはグローバル・レベルのオペレーションが非常に重要だとベルリッツのバイス・プレジデントであり最高技術責任者を務める久保田大介氏は語ります。
「物理的な“場”を前提とした語学サービスの枠を超えた途端に、従来の国を前提としたオペレーションではなく、グローバルに統合された企業となることが必須となります。社内の一人ひとりの人材が持っている能力を余すことなく引き出し、グローバル・レベルでシナジーを発揮させていくことが求められます。そこには、ITの戦略的活用が不可欠だったのです」
ただ、当時のベルリッツには、こうしたグローバル・レベルのオペレーションを実現する上で必要とされる、十分な機能や能力を備えたITインフラが整っていませんでした。
「新たなビジネス・モデルを展開していく上で、会社方針を現場まで展開・浸透する必要がありました。しかし、情報を確実に共有する方法以前に、世界各地の拠点に、どんな人材がいて、どんな活動を行っているのか、一人ひとりのプレゼンス(存在感)を全体として把握できずにいたのです」と久保田氏は、課題について説明します。
この状況を打開するために取り組んでいるのが、社内のIT環境を全面的に再構築する「グローバルITプロジェクト」です。既に米プリンストンと独フランクフルトに設置しているデータセンターに加えて、2009年9月に東京にもデータセンターを新設し、全世界の拠点を3極からカバーするネットワーク基盤を強化。さらに、その上で稼働する基幹系業務システムや人事情報システムの刷新を進めつつ、グローバル・レベルでのコミュニケーションの活性化を目的とした大規模イントラネット・システム「SPACE」の構築に着手しました。
ソリューション
ポータル機能とソーシャル機能を組み合わせ、“縦”そして“横”のコミュニケーションを実現
グローバルITプロジェクトの最初の成果として、2009年12月に人事情報システム「HR Core DB」が稼働を開始しました。同システムは、ベルリッツ社内のグローバル・ディレクトリ(社員台帳)ともいうべきもので、世界各国の拠点に在籍するすべての社員のプロフィール情報を一元管理します。これに続き、HR Core DBのデータ整備と並行する形で構築が進められてきたSPACEが、2010年1月に稼働を開始。システムの検討を始めた2009年3月から数えて、わずか10ヵ月に満たない短期間で、ベルリッツはグローバル規模のコミュニケーションを支えるIT基盤を整えたのです。
ベルリッツ グローバルITプロジェクト推進の部長を務める清水智満氏は、この新たなプラットフォーム開発に込められた狙いについて話します。
「企業の活性化は、組織のピラミッド構造に基づいたトップダウン型コミュニケーションと、個々の社員が縦横無尽に結びつくネットワーク型コミュニケーションの両面のアプローチによって実現されます。SPACEは、HR Core DBのグローバル・ディレクトリに蓄積されたプロフィール情報と連携しつつ、多様な交流形態や情報発信のための仕組みを提供することで、そうした “縦”と“横”のコミュニケーションを誘発・促進していくのです」

図1.
イントラネット
「SPACE」の
イメージ画面
なお、このSPACEの骨格を構成する上でベルリッツが導入したのが、企業ポータル・ソフトウェア「IBM WebSphere Portal」ならびにソーシャル・ソフトウェア「IBM Lotus Connections」の2つのソリューションです。
“縦”のコミュニケーションは主にブログ、そしてWiki機能を、“横”のコミュニケーションは主にプロフィール、コミュニティー機能と、IBM Lotus Connectionsが提供するソーシャル機能を使い分けています。
・ブログ機能を活用したエグゼクティブによるメッセージ発信
会社としての方針を、月1回のメッセージとして、CEOだけでなく、各リージョン・トップそして人事やITといった機能をグローバルで担当するエグゼクティブから展開。
・Wiki機能を活用した情報共有
社内のポリシー、教材やマニュアルに加え、営業活動のベスト・プラクティスなど、個人が持つ専門知識やノウハウをチームや全社で共有化。また、グローバルにオペレーションする上で必須となる情報も掲載。その一例として、各国が更新するプライス・リストをタイムリーかつ容易にグローバルで集約した一覧表があります。
・プロフィール機能を用いた社員の見える化
自己紹介や専門分野などの基本情報を各社員が発信することで、“横”のコミュニケーションを促進。また、グローバルなオペレーションに欠かせない、国や地域を超えた“縦”のグローバルのレポートラインの検索を実現。
・コミュニティー機能を利用した特定テーマのコラボレーション
一例として、教材開発チームがオーナーとなり、各ランゲージセンターや法人営業等の販売チームとともに、新商品を市場投入していく方法のディスカッション、ベスト・プラクティスの共有を実施。
そして、これらの機能をWebSphere Portalの企業ポータル機能で統合することで、組織の階層構造を貫いたダイレクトなコミュニケーションを実現しています。
久保田氏は、「主に会社側からのトップダウンの情報配信を企業ポータルから行うとともに、担当者レベルの自発的な情報発信や交流をソーシャル機能によってサポートします。もっとも、“企業ポータル”はさておき、私たちの頭の中に最初から“ソーシャル”というキーワードまで浮かんでいたわけではありません。私たちの目指すコミュニケーションの理想像を突き詰めていった結果、たどり着いたのがソーシャルの世界であったというのが、率直なところです」と話します。

図2.
システム構成図
もちろん、こうしたシステム設計の過程では、さまざまなソリューションの比較検討が行われました。ベルリッツ グローバルITの開発リーダーを務める青山希氏は、IBMのソリューションを選択するに至った理由をこのように話します。
「“人”に焦点を当てたディレクトリ・アプリケーションを、プラットフォーム内に作り込んでカスタマイズできること。社員の個人Webページなど、既存のコンテンツを容易に移行できるケイパビリティーを持っていること。さらにコスト等の要件を基に数社の製品を検討した結果、ベルリッツの業態に最もマッチしていると考えられたのが、Lotus Connectionsでした。検討を進める上で、伝えたい情報が伝わるトップページ、Lotus Connections上で展開する各種コンテンツへの容易なナビゲーション、将来的には利用者の役職・役割に応じた情報の配信管理といった要件が挙がり、IBM WebSphere Portalと組み合わせることにしました。結果的にインフラとして導入して良かったです」
良いパッケージがあるならば、自社開発にはこだわらないという基本方針の下、製品の採用を今回決めたのですが、技術的なチャレンジがなかったわけではありません。
例えば、SPACEの内部では、まずポータル側(WebSphere Portal)でユーザー認証を行った後、シングル・サインオンでソーシャル側(Lotus Connections)へアクセスを引き渡すという連携を行っています。また、SPACEの内部と外部にそれぞれロードバランサーを配置し、グローバルで約1万人 の利用者から殺到するアクセス負荷を最適に分散しています。
「こうした高度なアーキテクチャーの実装は初めての試みでしたが、IBMの的確なサポートのおかげで無事に稼働させることができました」と青山氏は振り返ります。
導入効果

グローバルIT
ITプロジェクト推進
部長
清水 智満 氏
実際に会ったことのない相手との交流も急増
SPACEは、本番稼働を開始してからまだ数ヵ月しか経っていないにもかかわらず、既にビジネスに欠かすことにできないプラットフォームとして定着しました。
2010年4月現在、44ヵ国の7,000人以上の社員や講師がSPACEを使っています。プロフィールに写真を掲載したり、コミュニティーに参加して積極的にSPACEを活用する人が増えつつあります。エグゼクティブによる毎月のブログ掲載も進んでおり、社員によるコメントも数多く書き込まれています。
SPACE稼働後、社員への教育や利用ガイドの提供はほとんど実施していません。「とにかくアクセスしてもらう。そしてとりあえず使ってもらう。個人では既にFacebookやTwitterを利用している社員も多く、地域によって利用レベルに差は若干見られるものの、特にこの方針を変えようとは思っていません」と青山氏は語ります。
ただし、個人情報に対する考え方や文化そのものが各国で異なるため、まずはブログ、Wikiそしてコミュニティーは申請ベースで開放しています。将来的には誰もがつくり、書き込みができるようにする予定ですが、現在立ち上がっている20を超えるコミュニティー内では、既に活発な意見交換がなされています。
「社員一人ひとりの活動やビジネスの動向が見えるようになり、ダイレクトなコミュニケーションがとりやすくなりました。そうした中で手応えを実感するのが、“縦”をも上回る“横”のコミュニケーションの活性化です。プロフィールで相手の“人となり”が見えるという小さなことも、コミュニケーションを促進する潤滑剤になっているような気がします。各国のトップが、マイクロブログ機能であるボード上で『レッスン数の目標達成まで、あとひと押し頑張ろう!』と激励のメッセージを送るなど、思いもしなかった利用も見られるようになりました。実のところ当初は、『やはりビジネスに直結する基幹系システムの構築を優先すべきではないか』という意見も多くいただきました。それがSPACEの稼働してからは状況が一変し、CEOをはじめとするエグゼクティブたちも、『これは実は基幹系システム以上に重要かもしれない』と言い出しています」と久保田氏は話します。
将来の展望

グローバルIT
開発リーダー
青山 希 氏
知的創造やコラボレーションの“場”としてSPACEを発展させていきたい
期待以上の効果が上がる一方、同じベルリッツの社内にあってもITリテラシーの成熟度や地域性により、SPACEの活用レベルには、まだ差があるのが実情です。その意味でも今後、このコミュニケーション基盤をより広く、より深く根付かせていくための施策が重要となりそうです。
「その一環として、グローバル・コミュニケーション・リーダーをアサインしました。また、各地域や部門のトップに対してもブログの更新を促したり、顔写真の掲載を奨励する社内キャンペーンを展開したり、さまざまな仕掛けを打ち出しています」と青山氏は話します。
そして、ベルリッツの新しいビジネスを支えるプラットフォームとして、SPACEの機能そのものをさらに進化させていくことも重要なテーマとなっています。
「私たちが現在、最も力を入れて取り組んでいる新事業の一つに、グローバルのリーダーシップ・トレーニングがあります。さらには、インターネットと教室を組み合わせることで、世界のどこからでも受講できるハイブリッド型の語学研修も開始しています。こうした新ビジネスでは国や拠点を超えた担当者間のコミュニケーションはもちろん、より専門的なレベルでの情報共有やノウハウの流通、問題解決やアイデア創出をナビゲートする仕組みなども求められるようになるでしょう。そんなニーズに応えられる知的創造やコラボレーションの“場”として、SPACEを発展させていきたいと思います。さらには、将来的には社員だけでなく、お客様(受講生)に対しても一部のコミュニティーを開放して交流を深めていくといった構想も描きたいです」と、久保田氏は今後を見据えています。
お客様情報
お客様名:
ベルリッツ コーポレーション
所在地:
東京都港区南青山1-1-1新青山ビル東館15階(東京本部)
1878年創業。創業者マクシミリアン.D.ベルリッツが開発した「ベルリッツ・メソッド」による質の高いレッスンを提供し、語学サービス市場をリードしてきた。2001年より、株式会社ベネッセホールディングスのグループ会社となり、現在、全世界75の国と地域に567以上の拠点を展開。近年では語学教育を基盤に、グローバル人材育成事業に注力し、個人や組織の発展と社会のグローバル化に貢献することを目指している。
製品・技術情報
ソフトウェア
参考資料
- お客様導入事例 ベルリッツ コーポレーション(808KB)この事例のPDFがダウンロードできます。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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