掲載日 2010年8月5日

株式会社
インフォセンス 本社株式会社インフォセンス(以下、インフォセンス)は、物流サービスと機工サービスを柱とする総合物流企業である山九株式会社(以下、山九)の情報関連子会社として、1989年に設立されました。山九グループ各社のシステム開発および運用などを手掛けるほか、物流や医療分野での経験と、Enterprise Resource Planning(以下、ERP)による基幹システム構築のノウハウ、Radio Frequency Identification(以下、RFID)の活用ノウハウを生かした「ITビジネスソリューションサービス事業」、ネットワーク基盤やハードウェア基盤、システムライフサイクル全体の提案、および情報センターの活用によるサービス事業を含む「ITインフラソリューションサービス事業」、そして、アプリケーションの活用などにより、きめ細かな提案を行う「システムインテグレーションサービス事業」の3つを事業の柱として展開しています。
2000年以降、山九の基幹業務システムの構築において、いち早くJavaを採用するなど、新たな技術に対しても積極的に取り組んでおり、開発者の約7割をJavaの技術者が占めているのも特徴です。
2010年5月から一部稼働をはじめた山九の新たな物流基幹システム「Web LINCS」の開発、運用もインフォセンスが担当し、5つのサブシステム、国内だけで2000端末がつながるという大規模システムの構築、運用にそのノウハウが生かされています。
目次
お客様ニーズ
物流業界の変化を捉え、次の10年に向けた基幹システムを構築
物流業界では、大きな変革が起ころうとしています。これまでは、物を正確に、かつ迅速に運ぶことが、顧客満足度の指標になっていたものが、在庫削減やエンドユーザーに対するサービス品質レベルの引き上げ、グリーン物流と呼ばれる環境に配慮した新たな取り組みなど、顧客と一緒になった物流改革が求められているからです。また、こうした動きに伴い、顧客ごとにきめ細かなカスタマイズ性の高い提案を行うといったことが求められています。
山九では今後の事業拡大とともに、顧客に対するサービスレベルを向上させるには、物流業界の変化を捉え、今後10年間を見据えた新たなシステムの構築が必要不可欠だと判断。2000年から稼働している物流基幹システム「Logistics Integration Network Computing System(以下、LINCS)」の再構築に乗り出しました。
Web LINCSと呼ばれる次世代物流システムでは、より高い顧客満足度の実現を目指し、保税倉庫、国内倉庫、トラック輸送、内航定期コンテナ、輸出入という5つで構成されるサブシステムを刷新。柔軟性の高い最新システムに見直すとともに、海外物流事業の基幹システムである「SANCS」を倉庫管理業務と統合することで、国内外の物流倉庫管理を一元化し、顧客ニーズが拡大するグローバル化への対応にも踏み出しました。
山九では、新たな物流基幹システムを、「見える物流」から「見せる物流」への改革と位置づけ、顧客が必要とする情報を積極的に提供する仕組みへと進化させたのです。
ソリューション

第一システム
ソリューション事業部
LINCSプロジェクト部
マネージャー
深迫 伸一 氏
既存システムの使い勝手を損なわない進化を目指す
インフォセンスが、Web LINCSの構想検討に着手したのは2007年6月のことでした。開発、運用を担当するインフォセンスが前提としたのは、既存システムの使い勝手を損なわないこと、それでいて新たな需要にも耐えうる仕組みとすること。また、海外物流基幹システムとの一部統合を見据えて、多言語化といったグローバル対応も条件のひとつとなりました。
既存システムの開発の際にも協力関係を築いた日本IBMの支援を得て、新たなミドルウェア製品の採用によって、これらの要件が維持できるのかどうか、さらに延長サポートの期限切れが迫っていたクライアント/サーバー型のシステムから、WebSphere Application Serverによるウェブベースのアプリケーションサービスへと移行を図っても、ストレスを感じるようなレスポンス遅延が起こらないかといったことも課題のひとつとして検討されました。開発現場でリーダー役を務めた第一システムソリューション事業部LINCSプロジェクト部マネージャー・深迫伸一氏は、「検討をはじめた段階から、日本IBMに参加していただいたことで、国内外のさまざまな先行事例を知ることができました。新たなミドルウェアを採用したシステム再構築のメリットや、コストダウン効果などを理解でき、アーテキテクチャーの選定にも大いに役立ちました。日本IBMの協力がなければ、プロジェクトを進めるのが難しかったでしょう」と語っています。
また、技術を担当したPMO推進部マネージャーの中村匡志氏は、「新たな技術を活用する部分が多く、当初は不安な面もありました。しかし、日本IBMの直接的な技術支援体制、さらにその先にあるグローバルな支援体制は大変心強いものになりました」と話しています。
システム構成図
インフォセンスでは、2009年5月に発表されたIBM DB2 V9.7を採用。新たに搭載された同時アクセス時の排他制御機能により、ロック待ちによって起こっていたレスポンスの遅延や再処理を回避。さらにバッチ処理においては、アプリケーションの見直しや、IBM Power Systemsによるハードウェア性能の向上、DB2 V9.7のアクセス効率の向上などにより、10分の1程度にまで時間を短縮することができたといいます。また、DB2 V9.7では、Oracleの「PL/SQL」を新たにサポートしており、これにより、Oracle DatabaseからDB2へ移行する際にも、アプリケーションを修正する手間が大幅に削減されるなどのメリットがあります。これは将来に向けた海外物流基幹システムとの統合においても生かされるのでは、との期待もあります。
しかし、深迫氏は次のように語ります。
「実は、次世代物流基幹システムにおける最大のポイントは、既存の作業環境を、極力変更することなく、継続できるかどうかという点にありました。DB2 V9.7においては、これまで導入していたDB2 V8.2の機能をなんら損なうことなく、延長線上で開発、運用ができ、さらに性能を高めた形で導入できるという点が大きな魅力でした」
もうひとつ、インフォセンスがWeb LINCSの再構築において、目的に掲げたのが技術者の育成でした。
大規模基幹システムの構築は、山九にとっても実に10年ぶりのこととなります。これは、インフォセンス社内の物流システムの構築ノウハウはあっても、プロジェクトマネジメントに関して経験を持つ社員が少ないという現状を改善することにもつながりました。
「経験が薄い部分は、日本IBMとの協力体制を敷き、プロジェクトを円滑に進めることができました」(深迫氏)
導入効果

PMO推進部
マネージャー
中村 匡志 氏
インフォセンスが持つJava技術を積極的に活用したリッチクライアント環境
Web LINCSでは、Ajaxによるリッチクライアントの実現も大きな特徴となっています。これは、インフォセンスが持つJavaの技術ノウハウを最大限に生かした部分でもあります。
「既存のクライアント/サーバーシステムでは、システム全体で約3000もの画面を持っており、これらの画面は、すべて同じインターフェースを維持しながら、ウェブ環境に移行させる必要がありました。すべての画面をHTML化するために、Adobe Dreamweaverをベースに独自の拡張機能を搭載した移行ツールを開発。生産性を高めることで、想定した時間よりも短期間に移行することができました。さらに1800種類にのぼっていた帳票に関しても、多言語化を想定し、ユニコードで扱えるようにし、それに合わせてデータベースの文字コードもユニコード対応しました」(中村氏)
将来の展望
Web LINCS
画面イメージ
保税倉庫サブシステムによって、今後のシステム導入にも自信
Web LINCSは、2010年5月17日から、第1弾として保税倉庫サブシステムを稼働させました。
まずは、国内8拠点のうち2拠点でこれを稼働させ、8月までに全拠点に拡大していく予定です。
さらに、トラック輸送サブシステムは2010年末から2011年早々に、海外物流基幹システムとの統合による輸出入サブシステムは2011年10月頃の稼働を予定しています。
「すべてのサブシステムは、これまでのシステムの延長線上で開発したものではなく、信頼性、将来性を考えた上で、要件定義から行ったものです。アプリケーションの一部はJavaで書き直したものもありますし、帳票や画面の多言語化に向けて、グローバルでの運用を想定して、システム全体の標準化にも取り組みました。オペレーション・トレーニングの時間も短くて済み、導入コストも大幅に削減されています。現時点で評価を問うのは時期尚早とはいえますが、利用者の間からは、問題なく活用できるという声があがっていますから、ひとまずは安心しています」(深迫氏)
保税倉庫サブシステムは、Web LINCS全体のなかでも、システム規模は小さいものであり、この導入・稼働実績をパイロットとして、今後は、輸出入サブシステムなど、より大きなサブシステムの導入へとつなげていくことになります。
「一般的に、Ajaxの場合はJavaScriptのコード量が多くなり、開発生産性が落ちやすいという課題がありますが、コード自動生成機能や自動テスト機能を備えた自社フレームワークiStrutsの活用、ツールの開発や手順の見直しなどにより、生産性を落とすことなく開発できる環境が整うとともに、この経験を通じて技術者のスキル習得にもつながっています。保税倉庫サブシステムが予定通りにカットオーバーできたことにも開発チームは自信を深めることができました。ツール開発、テスト環境の整備、標準化の浸透など、保税倉庫サブシステムの開発、運用によって、課題をひとつずつ潰していくことができましたので、これから迎える大規模サブシステムの開発にも万全の体制で臨むことができます」(中村氏)
Web LINCSの導入、稼働はまだ第1期が始まったばかりですが、サブシステムの開発、導入、運用フェーズでは早くも成果が出ており、ユーザー現場からも評価があがっています。次世代の物流基幹システムの完成によって、山九の物流ビジネスは、顧客の新たな物流ニーズに応えるとともに、同社のグローバル化の推進を下支えするのは間違いなさそうです。
お客様情報
お客様名:
株式会社インフォセンス
所在地:
福岡県福岡市博多区冷泉町2-1博多祇園M-SQUARE
URL:
ITビジネスソリューションサービス、ITインフラソリューションサービス、システムインテグレーションサービスの3つの領域で事業を展開し、お客様へのコンサルティング、システム構築、保守、運用までをトータルにサポートするサービスを提供している。
製品・技術情報
ソフトウェア
- IBM DB2 Enterprise Server Edition V9.7
- IBM WebSphere Application Server Network Deployment V7
- IBM WebSphere MQ V7
参考資料
- お客様導入事例 株式会社インフォセンス(853KB)この事例のPDFがダウンロードできます。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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