掲載日 2011年1月19日

株式会社エクサ情報システム開発会社の株式会社エクサ(以下、エクサ)は、全国に分散する各種サーバーを仮想化技術によって統合するというプロジェクトを進めています。あわせて、統合環境を自社データセンターだけでなく、外部データセンターやパブリック・クラウド・サービスと組み合わせたハイブリッド型クラウド環境を実現すべく作業を進めています。これらの環境を構築するために選択したのが、「Tivoli Service Automation Manager V7.2」(以下、TivSAM)、「IBM Security Virtual Server Protection for VMware V1.0」などの製品です。
目次
お客様ニーズ

クラウドサービス
推進本部
サービス・技術開発
担当部長
月岡 鉄三 氏
全国の拠点に分散するサーバーの効率管理のため、「クラウド自体をクラウドで作る」新しい形のプライベート・クラウドを目指す
全国に複数の事業所を抱えるエクサにとって、各事業所に存在する各種サーバーをどのように管理するかが課題となっていました。クラウドサービス推進本部 サービス・技術開発担当部長の月岡鉄三氏は次のように語っています。
「本社のほか、グループ子会社を含め全国6つの拠点で稼働しているサーバー数を調べたところ、約400台のサーバーが存在していることがわかりました。多くはファイル・サーバーだったのですが、拠点ごとに個別最適化が行われており、それらのシステムにアクセスするためのIDとパスワードが個別に必要な状態になっていました。また、システム開発会社である当社の場合、アプリケーションの開発や検証用としてサーバーを個別運用することも多く、これらをいかに一元管理するかが大きな課題でした」(月岡氏)
こうした課題を解決するために、エクサが選択したのが、仮想化技術を用いたサーバー統合でした。ただし、単純なサーバー統合ではなく、柔軟な拡張性を持たせるために、クラウド型のシステム構築を目指しました。

クラウドサービス
推進本部
営業・ビジネス
企画リーダー
伊藤勝氏
クラウドサービス推進本部 営業・ビジネス企画リーダーの伊藤勝氏は次のように語っています。「エクサでは、自社で行ったシステム開発をショーケースとして公開するのが一般的です。今回のサーバー統合も、このショーケースで紹介可能なものにしたいと考え、クラウド型のシステムで構築することを考えました」(伊藤氏)
エクサが目指したのが、仮想環境上に統合基盤を作成することと、個別最適化されたシステムの一元化でした。これらをシステム開発会社であるエクサが得意とするセキュリティーを生かしながら、プライベート・クラウドとして構築しました。
今回の取り組みでユニークなのが、「クラウド自体をクラウドで作る」
というテーマを設定したことでした。一般的なプライベート・クラウドは、自社が保有するデータセンター内で環境を構築しますが、エクサは他社が提供するHaaS(Hardware as a service)をプライベート・クラウドの一部として採用することをテーマとしたのです。
「自社で保有するデータセンターを使ってクラウド環境を構築した場合、拡張時には物理的なスペースが必要になりますが、データセンターのハードウェア・リソースをHaaSで利用し、その上にクラウド環境を構築すれば、必要に応じてリソースを増強できます。また、複数のHaaS事業者を組み合わせて利用すれば、災害対策としても効果的になります」(月岡氏)
とはいえ、こうした環境を実現したという例はほとんどないのも現状でした。また、これを実現するためのソフトウェアをどうするかも悩みの種だったと月岡氏は語っています。
ソリューション
クラウド環境の
機能イメージ
Tivoli製品群によりハイブリッド型プライベート・クラウドを構築
自社データセンターと外部データセンターを組み合わせた形のプライベート・クラウドを構築する上で、選択したのがTivSAMをはじめとしたTivoli製品群でした。
コンサルティング推進部 シニアコンサルタントの髙橋良広氏は次のように語っています。
「運用管理系はTivoliの得意分野だというのは知っていますので、一度オールTivoliで構築してみたいと考えていました。今回は外部データセンターと組み合わせたプライベート・クラウド環境を運用するので、そういった面でもTivoliの実力を評価したいという気持ちがあったのです」(髙橋氏)
TivSAM は、プライベート・クラウド環境を短期間で構築可能な製品です。VMwareなどさまざまな仮想化環境をサポートしており、プロビジョニング自動化機能により、必要なときに、必要なサーバー・リソースを、必要な期間、利用できる環境を提供します。
「当初はクラウド環境を短期間で構築できる“IBM CloudBurst”を検討しましたが、次期バージョンのスケジュールが間に合いませんでした。
プロジェクトのスピード感を優先したため、TivSAM をはじめとしたIBMの各種ソフトウェア製品を組み合わせて、CloudBurstと同等の環境を構築しています」(髙橋氏)
また、仮想化環境のセキュリティーを強化するために採用したのがIBM Security Virtual Server Protection for VMwareでした。この製品は、VMware VMsafe APIを利用したもので、ハイパーバイザーと連携して仮想化環境全体のセキュリティーを実現しています。
これを利用することで、仮想マシンのほか、ネットワーク、仮想マシン間の仮想ネットワーク・トラフィックといった各レイヤーに対するセキュリティーの脅威を防ぐことができます。さらに自社データセンターと外部データセンターを仮想的な一つのデータセンターとして統合し、しかもユーザーにとってはトランスペアレント(透過的)に見せるために、「Tivoli Federated Identity Manager(TFIM)」が採用されました。これによりユーザー情報が一元化され、単一のIDによるシングル・サインオンを実現し、ユーザーの利便性の向上やセキュアな認証環境を構築することができました。
社内クラウド
基盤の具体的
イメージ
自社データセンターと外部データセンターの役割について、月岡氏は次のように説明しています。「自社データセンター内には、マザー機能としてクラウド管理基盤を構築しました。社内クラウド基盤には運用管理用のシステムを中心に配置しています。一方、HaaSとして利用する外部センターに社外クラウド基盤を構築しました。社外クラウド基盤には仮想マシンなど運用対象となるシステムを配置しています。これらクラウド基盤を社内ネットワークと同等に利用できるように接続しています」(月岡氏)
「ショーケースとして利用することが前提でしたので、これらの環境を社内要員で実現しました。初めて扱う製品が多くて展開するのは一苦労でした。しかし、日本IBMのサポートもあり、大きなトラブルもなく構築できました。さまざまな製品を使う上で、あらためてサポートの重要性を実感しました」(月岡氏)
導入効果

コンサルティング
推進部 シニア
コンサルタント
髙橋良広 氏
コスト削減だけでなく災害対策もあわせて実現
ハイブリッド型のプライベート・クラウド環境を構築したことで、全国に分散していたサーバーの管理の一元化とID管理の一元化を実現しています。「どの程度のコストメリットにつながるかまだ精査できていませんが、拠点ごとに存在したサーバーを管理していた人的リソースのコスト削減は期待しています。また、コスト面以外でも、自社で構築・運用することで、お客様へのサービスとして自信を持って提供できることも大きいです」(伊藤氏)
また、社内のシステム・エンジニアに対して、開発環境をクラウドで提供する環境も整備できました。「これまでは個別プロジェクト
ごとにサーバーを調達して環境を構築していましたが、これからは必要なときに必要なリソースを提供することができます」(髙橋氏)
そのほか、外部センターを社外クラウド基盤として利用したことで、災害対策にもつながったとしています。「今は外部センターをひとつだけ利用していますが、2011年中にも複数の外部センターを利用する予定です。これにより、災害対策に対応できるだけでなく、
コストメリットを考えながら運用形態を柔軟に変更するといった使い方が可能になります」(月岡氏)
「SIerであるエクサにとって、仮想化技術を用いたクラウド環境を構築したことはそれほど強調することではありません。重要なのは、
標準化と自動化、そして可視化まで実現できたことです。これにより、サービス・マネジメントの考え方を社内で共通化できたのは大きなことです」(髙橋氏)
将来の展望
自社の取り組みを商品化して一般企業に提供
プライベート・クラウドへの移行作業は現在も継続中です。「まずはグループウェアなどコラボレーション系のシステムからスタートしており、業務システム系の移行は2011年以降に行います。また、ネットワーク設定などローカル環境に依存したサーバーも多く存在するため、一度に移行が完了しているわけではありません。しかし、この一年の間で移行が完了する予定です」(月岡氏)
今回のプライベート・クラウドが完成すると、開発環境を自動的に提供できるようになるほか、デスクトップ・クラウド環境の提供、salesforceなどパブリック・クラウドとの接続も実現できると月岡氏は説明しています。
さらに、これらの環境構築で得られたノウハウを、自社のサービスとして社外に提供することも決定しています。「外部データセンターを組み合わせたクラウド環境は、“E@CS”という名称でサービス化します。また、現在トライアル中のデスクトップ・クラウドは“ESEC”という名称でサービス化します」(月岡氏)。これ以外にも、エクサが提供する各種アプリケーションをSaaS(Software as a service)化することも計画しています。
お客様情報
お客様名:
株式会社エクサ
所在地:
〒212-8555神奈川県川崎市幸区堀川町580ソリッドスクエア東館
URL:
世界有数の鉄鋼メーカーであるJFEスチール株式会社と、日本IBMの合弁出資による情報システム開発会社。24時間365日、一時も止まることない鉄鋼業という世界で使われてきたシステム・ノウハウと、IBMの開発ニーズへの適応力、世界の最新技術を取り込む力を兼ね備えている。製造業、流通業、金融・保険、カード業、公共・公益企業の5つの事業分野に対して、情報システムのコンサルティング、システム構築、運用までの各種サービスを統合的に提供している。
製品・技術情報
ハードウェア
- IBM BladeCenter HS22
- IBM BladeCenter HS12
- IBM System Storage DS3400
- IBM System Storage TS3200
- IBM System x3650 M3
ソフトウェア
- IBM Tivoli Service Automation Manager V7.2
- IBM Security Virtual Server Protection for VMware V1.0
- IBM Tivoli Federated Identity Manager V6.2.1
- IBM Security SiteProtector
- IBM Tivoli Monitoring V6.2.2
- IBM Tivoli Monitoring for Virtual Server V6.2.1
- IBM Tivoli Monitoring for Energy Management V6.2.2
- IBM Tivoli Storage Manager V6.2
- IBM Tivoli Usage and Accounting Manager V7.1.2
参考資料
- お客様導入事例 株式会社エクサ(1.09MB)この事例のPDFがダウンロードできます。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、ibm.com、BladeCenter、CloudBurst、System Storage、System x、およびTivoli は、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。