掲載日 2011年2月2日

国際紙パルプ商事
株式会社紙の総合商社として国内外での流通を担う国際紙パルプ商事株式会社(以下、国際紙パルプ商事)は、ITを駆使して顧客ニーズや市場の要求をいち早く取り入れ、新規事業やビジネス・モデルを立案し、その実践を通じて、市場に提案し続ける「コーディネートカンパニー」を目指しています。
そうした中で2000年代初頭にBIツールを導入するなど、同社は早くから情報系システムの強化に力を注いできました。ただ、既存のBIツールはクエリーやレポーティング、ダッシュボードなどの機能がシームレスに連携されておらず、効果的な活用にまでは至っていませんでした。
そこで2009年9月、同社はBIの新たな基盤ソフトウェアとしてIBM Cognos® 8 Business Intelligence(以下、Cognos 8 BI)を導入。IBMと合同の
プロジェクト・チームを組み、各種帳票や検索テンプレートなどの既存資産の移行を進めつつ、経営の意思決定や営業戦略の立案といった場面への本格展開を目指しています。
お客様ニーズ
「GIFT+1」の経営方針のもと、社内の情報活用を推進
国際紙パルプ商事は、紙流通業の先駆者として早くから海外各地に拠点を構え、活動規模を拡大してきました。そのベースとなっているのが、Globalization(世界規模で経営を考える)、Innovation(新しい紙の仕事を創造する)、Function(流通としての機能を常に点検・整備する)、Trust(社会からの信頼・信用を得る)の頭文字からなる「GIFT+1」(ギフトプラスワン)という経営方針です。
ちなみに、ここでのプラスワンは「環境に配慮した企業活動を推進する」というもの。現在、地球規模で討議されている環境問題に対して、古紙事業の拡大や海外(ラオス)における植林参加など、積極的な取り組みを行っています。
ただ、その一方で日本を含めた先進国では紙の消費量が減少しており、同社を取り巻く経営環境も厳しさを増しています。「今後、紙流通というビジネスの中で、われわれの付加価値をいかに高められるかが課題」と語るのは、同社経営企画本部システム企画グループのグループ長を務める八木正之氏です。「紙に関連したあらゆるニーズを先取りし、より付加価値の高い商品を提案し、提供することが重要な使命と考えています。紙はわれわれのアイデアを具体化するための一つのフィールドなのです。国内外の市場動向をしっかり見極めつつ、無限の可能性を持つ紙という素材をどのようにアレンジして提案するか。これこそが、世界のマーケットで通用するかどうかを左右するキーポイントにほかなりません」
こうした将来を見据えたビジネス戦略の一環として同社が早くから注力してきたのが、さまざまなビジネス・データで経営陣や管理職の意思決定を支援する、あるいは従業員の生産性向上に貢献する、いわゆる情報系システムの活用です。2000年代初頭にBIツールを導入するなど、その体制を強化してきました。
しかし、その後の10年の歳月を重ねる中で、これらのシステムと同社が描く理想形との間には、次第に大きなギャップが生じてきました。
当初は試行錯誤の中で情報活用の手段を模索してきたこともあり、同社内にはBIツールだけでなく、Microsoft ExcelのマクロやVBA(Visual Basic for Applications)を使って手作りした帳票アプリケーションが併存していました。また、BIツールについてもバージョンが古く、クエリーやレポーティング、ダッシュボードなどの機能がシームレスに連携されておらず、効果的な活用ができていませんでした。こうした状況を、できるだけ早期に解決することが必要でした。
ソリューション

経営企画本部
システム企画
グループ グループ長
八木 正之氏
将来を見据えてCognos 8 BIにリプレース
国際紙パルプ商事では2008年4月頃より、BI環境を含めた情報系システムの刷新を計画してきました。そこで最初に検討したのが、既存のBIツールをバージョンアップし、その新しい操作体系の中にExcelのマクロやVBAで作った帳票アプリケーションも取り込み、統一していくというアプローチです。
ただ、このバージョンアップ作業には大変な手間がかかると予想され、加えてライセンス変更にも多額のコストが発生することが明らかになりました。
そこで同社は、「どうあれコストの負担増や苦労を避けられないのであれば、むしろこれを機に中長期的な視点に立ち、自社にとってより最適なソリューションにリプレースしたほうが得策ではないか」という方針転換を行い、裾野を広げていくつかのBIツールを比較検討。その結果として2009年8月、Cognos 8 BIの導入を決定しました。
新ビジネス・インテリジェンス環境構築の概要


経営企画本部
システム企画グループ
参事 唐木 亨氏
この商談に際してIBM側から提示されたのが、「経営戦略・営業戦略の立案・遂行に必要なデータを提供し、市場変化のスピードに迅速に対応するために、効率的なデータの取得および分析が可能なシステムを目指す」という提案です。そこには、「トップから現場担当者まで一貫したデータベースを参照。標準化された視点で分析を可能とし、間違いなどによる無駄な数値検証作業を省く」「ユーザーが簡単かつ迅速に、分析や資料作成に必要なデータを取得できる環境を提供する」「ツールを統一し、操作を一元化する」「将来にわたり、安定したシステム環境を提供する」という4つの目標が明示されていました。
同社経営企画本部システム企画グループ参事の唐木 亨氏は、このように話します。
「われわれが約10年前にBIツールを導入した時から、ぶれることなく一貫して追求してきたのが、社内のビジネス・データを“見える化”し、経営判断や営業判断をスピードアップするというテーマです。その意味においてIBMの提案内容は、Cognos 8 BIというツールそのものも含め、我々の目的意識やニーズに合致していたと言えます」
さらに同社経営企画本部システム企画グループ主事の薗田邦裕氏が、このように言葉を続けます。
「IBMとは1993年ころからの長い付き合いです。特に2003年からは基幹システムの運用管理をアウトソーシングで委託しており、ベンダーとユーザーという立場の違いを超えて、さまざまな問題解決にあたる密接な関係を築いてきました。今回の旧BI環境からCognos 8 BIへの移行に際しても多くの問題に直面することが予想されており、プロジェクトマネジメントの観点からIBMのリーダーシップやサポートは欠かすことができず、大きな期待を寄せたポイントでした」
導入効果

経営企画本部
システム企画グループ
主事 薗田 邦裕氏
BI本来の考え方を社内ユーザーに広く啓発
Cognos 8 BIが持つレポーティング、データ分析、データ検索、ダッシュボード、スコアカードなどの豊富な機能は、Webベースのユーザー・インターフェース上でシームレスに活用することが可能。この特長を生かすことで、自由なデータ検索やレポートのカスタマイズ、マーケティング分析や経営分析、営業担当者向けの情報
提供サービスなど、さまざまな業務に改善や革新をもたらすことができます。
もっとも、このCognos 8 BIをベースとした新たなBI環境への移行は、すんなりと実現するものではありません。そこには大量の“地道な”作業が待ち構えていたのです。
同じBIのカテゴリーに位置づけられる製品とはいえ、旧環境のBIツールとCognos 8 BIでは、根底を流れる思想そのものから違っています。旧BIツールの文化に染まってきた国際紙パルプ商事のユーザーが、あらためてCognos 8 BIのコンセプトを理解し、新しい一歩を踏み出すためには、スタートラインとして旧BI環境で築いてきた資産をそのままの形で持ってくることが必要でした。同社経営企画本部システム企画グループのメンバーがIBM側の5名のメンバーと合同プロジェクト・チームを組んで協働し、旧BIツールのデータ・モデルに基づいて作られた帳票やテンプレートを一つずつ、Cognos 8 BIのデータ・モデル上で作り直していく作業を行いました。このプロセスで移行対象となった帳票やテンプレートは、最終的に4,000本にまで膨らんでいきました。
まさに地道な作業の繰り返しでしたが、その中にも少しずつ光明が見えてきました。この作業が結果として個々の資産を棚卸しするのと同等の効果をもたらし、社内ユーザーに対してあらためてBIの持つ価値を啓発するきっかけとなったのです。
「もともと自力で帳票作成やデータ分析を行っていたパワー・ユーザーはもちろん、配布された情報を単に利用するだけだった一般ユーザーたちの間にも、BIとはいかなるものなのかという“気づき”が広がっていきました。Cognos 8 BIならではの考え方やデータ・モデル、機能をある程度理解した上で、われわれシステム企画グループのスタッフに対して、こんな形でデータを集計したい、こんな帳票を作れないだろうかといった相談を持ち込んでくるようになったのです。これは以前にはほとんど見られなかった積極的な展開です。今後の情報活用の活性化に向けた大きな前進であり、間接的ながらもCognos 8 BIを導入することで得られた成果です」と薗田氏は、顔をほころばせます。
将来の展望
ダッシュボード機能によるKPI(重要業績評価指標)監視を早期に実現
2010年12月現在、旧BI環境からのサービスの移行は、全体の約70%まで進んだ段階にあります。残り30%の作業をできるだけ早期に完了することが、国際紙パルプ商事におけるさしあたっての目標です。
そしてその先に、いよいよCognos 8 BIのさまざまな機能が持つメリットに焦点を当てた、本格的な活用が始まります。
「率直なところ、当社におけるこれまでのBIツールの活用方法は、定型的な帳票作成のレベルにとどまっていました。たしかに業務上の負荷軽減といった側面での貢献は果たしているのですが、それだけではBI本来の導入効果を引き出せているとは言えません。われわれが情報系システムに対して当初からのテーマとしてきた、経営の意思決定や営業戦略の立案といった場面での活用をいかに後押しし、実際のビジネスで成果を上げていくのか。そのためにもCognos 8 BIが持っているアドホックなデータ検索や自在に切り口を切り替えられる柔軟な分析、シミュレーションなどの機能をうまく使いこなしていけるよう、各拠点のユーザーに対する教育やサポートがますます重要となっていきます」と八木氏は、今後の展開に向けた計画を練っています。
例えば、Cognos 8 BIのダッシュボード機能を活用した経営層向けの情報サービスも、そうした中で準備を進めている取り組みの一つであり、経営陣がKPIをリアルタイムに近い形で確認・監視し、状況変化に応じた素早い判断を下すとともに、組織に対して的確なアクションを指示できる体制を、一日も早く実現することを目指しています。
Cognos 8 BIの導入を契機として、国際紙パルプ商事における情報系システムは新たな進化を遂げようとしています。
お客様情報
1999年から3度の大合併を実施。紙の総合商社として成熟した国内流通の安定化を図るとともに、完全分社化された海外部門子会社(DPIC)管轄の19の拠点、国際紙パルプ商事直轄の中国現地法人会社1社2拠点の計21拠点を通じて、「日本の紙を世界に」「世界の紙を日本に」というスローガンのもと、着実な実績を上げている。また、地球規模で環境問題への関心が高まる中、植林や資源の再利用などで他産業をリードする循環型産業の一員として、その取り組みを強化している。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、ibm.com、CognosおよびDB2は、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。
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他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。
