掲載日 2011年3月1日
紛争や自然災害による被災、貧困といった社会的課題を抱える国や地域で暮らす人々の生活の復興や教育を支援するため、NPO(Non-Profit Organization:特定非営利活動法人)やNGO(Non-Governmental Organizations:非政府組織)によるさまざまな国際協力が行われています。
その一翼を担い、草の根レベルで問題解決や支援に取り組むチャリティ・プラットフォーム、ピースウィンズ・ジャパン、国境なき子どもたちの3団体は、2010年10月に新たなコミュニケーション基盤としてIBM LotusLive™ Engageを導入し、使用を開始しました。
遠隔地間での情報共有、共同作業の効率化といったコミュニケーションの課題解決に加え、今後は組織外とのチャネル拡大にも役立てていくなど、将来に向けNPO/NGO全体の活動基盤の強化を目指しています。
お客様ニーズ

ピースウィンズ・
ジャパン
国内事業部広報
長妻 勉 氏
国際協力の現場で直面するコミュニケーションの課題
緊急人道支援や復興、開発支援を行う国際協力NPOのピースウィンズ・ジャパン。海外の恵まれない子どもたちへの教育支援を主な活動とする、国
境なき子どもたち。そして、両団体を含め多くのNPO/NGOの活動を資金面中心に支援するチャリティ・プラットフォーム。
これらのNPO法人では、多数の職員やボランティア参加者が活動しており、人材の出入りが多いことに加え、本部と支援現場が離れているため、関係
者同士のコミュニケーションや情報共有が難しいという課題を抱えています。また、企業のように専門のIT管理者を置けないため、情報共有の課題を
IT製品やサービスを利用して解決することが困難な状況にあります。
「特に紛争地や発展途上国で支援活動を行う際に、常に直面するのがコミュニケーションの問題です」と語るのは、ピースウィンズ・ジャパンの国内事業部で広報を担当する長妻勉氏です。
「世界各地の事業地との連絡や報告、相談を基本的にメールで行ってきたのですが、その件数が膨大になり、作業の進捗状況や必要機材の手配などを管理するにも苦労していました」
さらに、同法人の松倉弘泰氏が言葉を続けます。

ピースウィンズ・
ジャパン
フェアトレード部
松倉 弘泰 氏
「目的のメール1件を探し出すのにも、手間と時間をかけているのが実情です。個人の単純ミスからファイルの添付漏れなどが発生することもあり、組織全体として情報の共有レベルを一定以上に保つことがとても困難でした」
国境なき子どもたちの広報を担当する清水匡氏も、次のように話します。
「例えば、メールをフォルダ分けして管理するにしても、人それぞれにフォルダ名も違えば、分類基準も違います。そうしたことから、同じ事務所のスタッフ同士でも情報共有は難しいというのが本音です」
そして、チャリティ・プラットフォームの梶川拓也氏が総括します。
「NPO/NGOの存在意義は、経済合理性という価値観だけでは解決できない領域に立ち、さまざまな社会問題を解決していくことにあります。ただその反面、個人の持つ情報や経験、ノウハウをチーム全体で共有し戦力化していくことについては、企業と比べて遅れているというのが実感です。ナレッジという目に見えない資産の共有に支えられているにもかかわらず、それを活用しきれていない、あるいは探すだけで時間を無駄にしていると気づきました。今後の国際協力においてNPO/NGOがより大きな貢献を果たしていくためにも、コミュニケーション基盤を強化し、組織全体で効率性や生産性を向上していく必要があると考えていました」
ソリューション

統合オンライン・
コラボレーション・
ソリューション ―
LotusLive Engage
IBMとのコラボレーションのもとLotusLiveの使用を開始
もっと有機的にチームが連携するために、新たなコミュニケーション基盤を活用していこう ― そんな意気込みとともに、3団体は、IBMがパブリック・クラウドを通じて提供しているコラボレーション・サービスのLotusLive Engageを導入。2010年10月より使用を開始しました。
LotusLive Engageは、ユーザー間でのファイル共有やタスク管理(アクティビティー)を提供するLotusLive Connections、Webブラウザー上で複数の参加者での画面共有を実現するLotusLive Meetingsといったサービスから構成された統合コラボレーションのプラットフォームです。
これらのサービスは、ローカルにアプリケーションをインストールする必要のないSaaS(Software as a Service)形式で提供されるため、独自にサーバーなどを構築・運用することなく、迅速かつ容易に使用することができます。ニーズに応じて機能は選択できるため、メールは既存の環境を利用するなど、柔軟な使い方ができることも大きな特徴です。さらに、ゲスト・アカウントを発行して、外部のユーザーとともに共同作業をすることも可能です。

国境なき子どもたち
広報
清水 匡 氏
「Webにアクセスできる環境さえあれば、世界のどこからでも情報を共有できるのは非常に便利です。個人のPCを持ち歩かなくても、例えば現地スタッフや宿泊先のPCからLotusLiveにログインができれば、コミュニケーションの機会は確実に広がると考えました」と清水氏。
「これまで個人のPCや複数のファイル・サーバーに散在していた情報を、一元化して管理できるようになることも大きなメリットです。情報を探す時間を短縮できますし、途中からプロジェクトに参加する人への引き継ぎも効率化できます」と長妻氏も話します。
しかし、実際の活動現場では緊迫した状況に置かれている人々の支援が最優先であり、こうした組織の運営のレベルアップへの取り組みには目が向きにくいところがあります。また、NPO/NGOは参加者それぞれのボランティア精神に基づいて運営されており、企業のようにトップダウンで利用を促すことが組織的に難しいという側面もあるといいます。

チャリティ・
プラットフォーム
梶川 拓也 氏
そうした中で3団体が高く評価するのが、IBMのサポートです。LotusLiveのスムーズな活用開始にあたっては、各団体の担当者とIBM社員とが意見交換を行い、それぞれの団体に合ったLotusLiveの活用シナリオについて共同で検討を重ねました。
「我々にとって、ベンダー側の作り手視点でないサポートは大切な要件です。IBMの担当者は、LotusLiveを現場でどう役立てることができるかを、ユーザーの視点で一緒になって考えてくれました。そうした姿勢の背後にはおそらくIBMの『良き企業市民たれ』というカルチャーがあるのでしょう」と梶川氏は話します。
導入効果
アクティビティーを活用し、血の通った共同作業を実現
LotusLiveの使用にあたり、3団体がまず着目したのがLotusLive Connectionsのアクティビティーの機能です。
例えば、清水氏は次のように話します。
「実際に使い始めて納得したのが、アクティビティー機能による情報の見やすさ、整理のしやすさです。この特長を活かし、支援を行う国やプロジェクトごとにアクティビティーを作成して作業項目や情報を分類すれば、現場での不便や混乱を最小限に抑え、チームをまたいだ共同作業も円滑に進むのではないか、というのが今の考えです。例えば、外部から助成金をいただく場合、申請書や報告書を作成するのですが、付随する手続きの効率化が課題となっています。プロジェクトごとに実施期間も報告のタイミングも異なり、経費の振り分けも複雑になります。また、活動過程で発生する情報をプロジェクトの責任者、海外事業部の助成金担当者、経理部門の担当者の間で、きちんと共有できていなければなりません。アクティビティーを利用することで、こうした業務を大幅に効率化できるのではないかと期待しています」
この考えに対して、強い賛同を表すのは梶川氏です。
「煩雑化するタスクに悩まされてきたのは、我々も同じです。その意味でも短期的な効果として期待できるのは、ToDoの漏れがなくなることでしょうね。誰が、いつ、何をすべきか。個人単位のタスクを管理するとともに、組織全体としての活動を“見える化”することができます。実はこの問題を改善するため、あるワークフローのツールを使ったことがあるのですが、どこかしっくりこない面がありました。これに対してLotusLiveは、各自の所感なども含め共有すべき情報を集約していくことにより、単なる骨組みだけでない、血の通った、何か手触り感を持ちつつ共同作業を行えるように感じます。そこに情報を蓄積していくことで、将来的にはナレッジの共有や連携作業の促進といったレベルにまで発展していけたらと考えています」
アクティビティー機能以外にも、団体内でのファイルの共有(統合管理)や、インスタントメッセージを用いたスタッフ間のコミュニケーション、IBM社員とのWeb会議の実施など、業務効率を高めるために、3団体ではLotusLiveを積極的に活用されています。
将来の展望
社会全体としての幅広い連携、人と人との関係づくりを促進していく
3団体ともまず少数メンバーから使用を開始し、効果的な使い方を検証した上で、徐々に適用分野やメンバー数を拡大していく計画です。そうした過程にあって、今回LotusLiveを取り入れたことで、組織運営のあり方にも少しずつ変化の兆しが見え始めました。
「今後NPO/NGOが生き残っていくためには、やはり企業流の経営手法やビジネス・モデル、あるいは広報におけるアピール手法といったものも学んでいかなければいけない時代を迎えています。その意味でも、早期にLotusLiveを導入したことが、良いきっけになればと思います」と清水氏。
「使えば使うほど、可能性が広がっていくのがコミュニケーション基盤なのだと思います。現地のネットワーク事情の関係から難しい面もありますが、LotusLive Meetingsをはじめリアルタイムの双方向機能なども、今後の活用に大きな価値を感じます。
LotusLiveを上手く使いこなしていくことで、組織としての意思決定のスピードアップや、外部に対するコミュニケーション接点の拡大などを図っていけたらと考えています」と長妻氏は話します。
これまでのNPO/NGOは、どちらかといえば団体ごとの活動が基本でしたが、個別の活動には限界があります。今後は、複数のNPO/NGOが交流し、補完し合って活動していく。さらには政府機関や企業、一般市民のサポートも拡大していくといった、多方面における関係づくりが求められます。また、そうした社会全
体としての幅広い連携によってこそ、今後のボランティアを主体とした国際協力や支援は成り立っていくといっても過言ではありません。そこでの多様なコミュニケーションを促進し、支えていく一つのエンジンとして、LotusLiveが大きな役割を担おうとしています。
「我々自身の組織の活性化のためにLotusLiveをより積極的に活用していくのは当然のこと、ピースウィンズ・ジャパンさん、国境なき子どもたちさんの両団体がより大きな成果を出せるように、IBMと一緒になってサポートをしていく考えです。今回の取り組みが成功事例となれば、おのずと他のNPO/NGOにもLotusLiveの導入が広がり、NPO/NGO全体の底上げにもつながってくると思います」と、梶川氏は今後のLotusLiveの発展に期待をしています。
お客様情報
支援を求めるNPOと、世の中の役に立ちたいと考える人々。その間に立って、「寄付をもっと身近に、もっとわかりやすくすること」を目標として2007年に発足。日本における寄付文化の創造を自らの理念・使命として、質の高いNPO情報を公開する“CharityNAVI”(チャリナビ)、個人が寄付を集める人になれるサイト“JustGiving”の展開、企業やNPOとの連携などに取り組んでいる。
紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人びとに対する支援活動を行うNGOとして1996年に設立。日本に本部を置き、世界20カ国・地域で支援活動を行ってきた。自然災害の被災地や紛争地で緊急人道支援を行うほか、被災後にも復興・開発のための長期的な支援を実施。また、「フェアトレード」(公正な貿易)の推進にも取り組んでいる。
日本と諸外国の子どもたちがお互いの理解を深め、友情を育み、共に成長していくことを目的に1997年よりアジアの国々で活動を開始。開発途上にある国々のストリート・チルドレンや人身売買の被害に遭った子ども、大規模自然災害の被災児など、恵まれない子どもたちが社会の一員として認められ、社会参加できるようになることを目的に援助の手を差し伸べている。
製品・技術情報
ソフトウェア
参考資料
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、 IBMロゴ、ibm.com、およびLotusLiveは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。
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