掲載日 2011年10月19日

株式会社三菱東京
UFJ銀行
システムが大規模なものや多機能なものになるほど、機能の追加や改修による影響範囲は広くなり、確認のためのテストに費やす時間は長くなります。旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行のシステム統合を終えた株式会社三菱東京UFJ銀行(以下、三菱東京UFJ銀行)では、2行合併によるシステムの増加や業務機能の追加による開発負荷の増大に対応するため、システム開発の効率向上が必須でした。三菱東京UFJ銀行は、テスト工程の中でも作業負荷が高い端末打鍵作業に着目して、標準ツールにIBM Rational Functional Testerを採用し、プロジェクトへの導入スキームやテスト専用環境を用意することで、システム開発におけるテストに費やす工数を大幅に削減しました。
目次
お客様ニーズ

システム部
システム企画室
ITリスク管理グループ
テスト推進チーム
チームリーダー
岡 英典 氏
品質を保ったまま効率を向上し、増大する開発負荷に対処
旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行のシステムを完全統合する「Day2」プロジェクトは、総工数が11万5千人月、システム投資額が2,500億円という大規模なプロジェクトでした。このシステム統合によって、それまで旧銀行で各々使われていたシステムや、一方の銀行にしかなかったシステムが、三菱東京UFJ銀行のシステムに組み込まれました。これは、管理するシステムの数が増え、複雑になったことを意味しています。
また、三菱東京UFJ銀行はDay2プロジェクトの期間中、合併によるシステム統合を優先し、個々のサービスのレベルアップや利便性の向上といったシステム改善の案件を一時的に凍結していたこともあり、統合完了後は新たな開発への需要が増大していました。システムの品質を高く保ったまま、いかに効率よく開発を行うかが、システム統合後の大きな課題でした。
三菱東京UFJ銀行 システム部 システム企画室 ITリスク管理グループ テスト推進チームでチームリーダーを務める岡英典氏は、「システムを完全に作り替えるのでなく既存のものをつなげたため、内部の機能が複雑になりました。さらに、商品やサービスも、毎年や毎期の業務ニーズに従ってレベルアップしていかなければなりません。このため、開発の負荷が上がることがネックになると予想されました」と話します。
開発効率の向上という目的を達成するため、岡氏らテスト推進チームは、開発チームがどのような問題を抱え、開発テストをどのように効率化できるかを探るべく、分散系システムを受け持つ開発チームのすべてに対してアンケート調査を実施しました。「結果を分析してみると、ATMでの現金の出し入れや営業店で使用する端末入力など、実機による打鍵テストが開発テストの中で大きな負荷の掛かる部分であることが浮かび上がってきました。システム規模の拡張により、テストのための準備や、改修の影響がないことを確認するためのテスト量が膨大になり、それらをいかに効率よくこなせるかが課題であると分かりました」(岡氏)。
ソリューション

システム部
システム企画室
ITリスク管理グループ
テスト推進チーム
調査役
安斎 勝浩 氏
標準化にあたりIBMの組織的なサポート力を評価し、IBM Rational Functional Testerを採用
三菱東京UFJ銀行は、テストツールを導入して打鍵テストの効率化を図ることが効果的であると考えました。しかし、テストツールの選択は個々の開発チームに任され、標準化されていませんでした。三菱東京UFJ銀行は、テストツールの標準化を図り、開発チームでの利用を促すことがより効果的であると判断し、テストツールの標準化を検討しました。そして、IBMのベンダーとしての組織的なサポート力が高く評価され、IBM Rational Functional Testerが採用されました。「システムに合わせた導入やテストツールを使うための前準備などを考えたとき、サポート力は重要なポイントです。私たちだけでテストツールを標準化し、効率向上のために利用を推奨しても、開発チームのさまざまな課題を解決できなければ、頓挫してしまうでしょう。IBMの高い技術力や組織的なサポート力があれば、きちんとした体制が敷けると考えました」(岡氏)。また、分散系システムでの標準言語であるJavaに対応し、試行プロジェクトで高い効率化を実現していたことも、三菱東京UFJ銀行がIBM Rational Functional Testerを採用する決め手になりました。
三菱東京UFJ銀行は、IBM Rational Functional Testerを標準テストツールとして開発部内に普及するため、プロジェクトへの導入スキームを用意しました。三菱東京UFJ銀行 システム部 システム企画室 ITリスク管理グループ テスト推進チームで調査役を務める安斎勝浩氏は、導入スキームが必要であった理由を次のように話します。「アンケート調査によって分かったことですが、Day2プロジェクトで採用したテストツールのいくつかは、あまり使用されていませんでした。その原因は、ツールを使いこなすことが難しく、次第にツール利用を敬遠したためだと考えました。そこで、導入スキームを作り、段階的にサポートしてテストツールを使ってもらうことにしました」。
作成した導入スキームは、3つのフェーズに分かれます。テストツールの適用性やIBM Rational Functional Testerを試行して実現性を確認するフェーズ1、テストスクリプト作成やテスト実施を計画するフェーズ2、実際にテストスクリプトを作成し、打鍵テストを自動化するフェーズ3の3つです。また、それぞれのフェーズに合わせて、導入計画ガイド、適用計画ガイド、利用ガイドの3種類のドキュメントも用意しました(図1)。
図1 Rational Functional Testerの適用スキーム (405KB)
さらに、三菱東京UFJ銀行は、テストのための専用環境も用意しました。「サーバーを設け、仮想デスクトップ環境を作りました。ユーザーは、仮想デスクトップ環境にログインするだけで、IBM Rational Functional Testerを使ってテストできます。端末へのインストールなどの作業は必要ありません。また、シンクライアント環境ですので、情報セキュリティーも強固ですし、リモートによるサポートも可能です」(安斎氏)。三菱東京UFJ銀行は、このような導入スキームやテスト専用環境をIBMの協力を得ながら実現し、テストツールの利用促進を図りました(図2)。
導入効果

システム部
システム企画室
ITリスク管理グループ
テスト推進チーム
調査役
臼井 実 氏
ツールの標準化、導入スキーム、専用環境によって大幅な効率向上を達成
三菱東京UFJ銀行は、IBM Rational Functional Testerを標準テストツールとし、導入スキーム、関連ドキュメント、テスト専用環境を提供することで、開発テストの大幅な効率向上を達成しました。三菱東京UFJ銀行 システム部 システム企画室 IT管理グループ テスト推進チームで調査役を務める臼井実氏は、効果の度合いを次のように話します。「定量的な効果としては、打鍵テストの自動化によって、実施や検証作業で73~79%、再鑑作業で47~50%の効率向上が図れました。また、定性的な効果としては、回帰テストや無影響確認テストなどの単純ですが時間のかかる作業をIBM Rational Functional Testerに任せられたことで、開発チームのモチベーションの低下抑止に役立っています。さらに、打鍵テスト自動化のための事前検討の時間も減らせ、省力化できたと思っています」。
このような大きな効果があったことについて、岡氏は次のように話します。「効率を向上させなければならないと分かっていても実際に行動するためには、それまでのやり方を変えるスピード感やモチベーションが必要です。その部分を意識した活動が、今回のツール標準化、スキームやドキュメントの作成、専用環境の提供になっています」。
同様に安斎氏は「テスト自動化のニーズはありましたが、いつから何をやりたいかは挙がってきていませんでした。ガイド類をそろえ、まずアセスメント、その後に試行してもらうというアプローチが利用促進に一番つながりました」と話します。また、臼井氏も、導入スキームやテスト専用環境の効果を次のように話します。「開発チームは、自分たちで導入したツールを工夫しながら使わなければならず、そのためのスキル習得も大変だと思っています。導入スキームやテスト専用環境を紹介すると、話を聞いてみようということになり、かなり多くのユーザーから関心が寄せられました」。
現在、三菱東京UFJ銀行では、導入したIBM Rational Functional Testerのライセンス数の8、9割が常に提供中の状態です。しかも、その用途は、システム改修に関する打鍵テストだけでなく、OSなどのセキュリティー・パッチ適用に対する動作確認や、ライブラリーのデグレード発見などさまざまです。
将来の展望
他テストや上流工程など、より一層の展開を検討
テストツールの標準化と利用促進によって大きな効果を得た三菱東京UFJ銀行は、その利便性と効率化をより一層広げていこうと考えています。また、打鍵テストの自動化に加えて、負荷検証などの他テストへのツール導入や標準化も図っていきたいと思っています。「日々変化するシステムをテストするためには、事前準備としてスクリプトを手直しするのでなく、より上流の工程、例えば設計書に変更が加えられた段階で、その内容を自動的に反映するなど、視野を広げた検討も必要だと思っています」(岡氏)。より一層の開発効率の向上を目指す三菱東京UFJ銀行は、個々のツールに加えて、将来を見据えた高いレベルの提案をIBMに期待しています。
お客様情報
お客様名:
株式会社三菱東京UFJ銀行
所在地:
〒100-8388東京都千代田区丸の内二丁目7番1号
URL:
株式会社三菱東京UFJ銀行は、旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行の合併によって2006年1月に設立されました。同行のシステム部 システム企画室は、チャネル、国内勘定、情報などのシステム開発担当部署と並列に設けられ、企画、IT推進、人事教育など部内を横断して担当しています。同室 ITリスク管理グループ テスト推進チームは、開発工程のうちテスト部分にフォーカスして、テストに関する企画、推進、ツール選定、環境調整などを受け持っています。
製品・技術情報
ソフトウェア
参考資料
- お客様導入事例 株式会社三菱東京UFJ銀行(1.45MB)この事例のPDFがダウンロードできます。
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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