掲載日 2011年7月7日

福井大学医学部
附属病院福井大学医学部附属病院(以下、福井大学病院)では、電子カルテを中核とした「新総合医療システム」を、IBMのデスクトップ・クラウドとIBM統合医療情報システム(Clinical Information System:CIS)ソリューションで構築しました。
仮想化されたサーバー上に、約25種類にもおよぶアプリケーションを統合、管理。病院内のどの端末からでもアクセスできるようになった利便性向上とともに、アプリケーションの更新、管理や運用面でのコスト削減と、増大し続ける医療データ情報のセキュリティー強化を実現しました。
お客様ニーズ

福井大学
医学部附属病院
医療情報部
総合情報センター
副部長
副センター長
准教授
山下芳範氏
積極的にITを活用し、その成果をほかの医療機関にフィードバック、地域医療に貢献
福井大学病院は、1983年に福井医科大学医学部附属病院として開院。その後2003年の福井大学と福井医科大学の統合を機に、現在の名称に変更されました。
設立以来長年にわたり、地域の拠点病院としての医療活動を続けてきた福井大学病院は、2007年に地域がん診療連携拠点病院および福井県のエイズ治療の中核拠点病院に指定。「最高・最新の医療を安心と信頼の下で」という基本理念を掲げ、専門的で高度な医療の提供を通じて、基幹病院として地域医療への貢献を継続しています。
福井大学病院では、「最高・最新の医療」を提供するため、ITの活用にも積極的に取り組んできました。その歴史について福井大学病院 医療情報部 総合情報センター副部長 副センター長 准教授 山下 芳範氏は次のように語っています。
「福井大学病院では、開設当初からIT活用に取り組んでいますが、当時は汎用機が全盛の時代でした。しかし当時から、独自のスタイルでITを活用していて、分散型のシステムを採用していました。その後クライアント・サーバー型が主流となるのですが、それに先駆けて分散型を導入していたことになります」
このような最先端の取り組みの成果は、ほかの医療機関にもフィードバックされています。
ソリューション
福井大学病院
のデスクトップ
・クラウドの構
成
IBMのデスクトップ・クラウドでサーバーを仮想化、標準化。複雑多岐な医療システムを統合、運用コストを3割削減
このように積極的にITを活用してきた福井大学病院ですが、時代の変化と共にさまざまなシステム上の課題が発生してきており、その状況を山下氏はこう語っています。
「医療機関では、さまざまなITシステムを個別導入している形態が一般的で、福井大学病院においても、医事会計システム、検査システム、伝票処理システムなど、数多くのシステムが個別導入されてきました。扱うデータ量も多くなり、文字データや数値のみならず、脳波などの信号データ、画像データ、動画データなどの蓄積が必要になってきた上、データ連携されていないため、重複データも多く存在していました。
またITシステムの使用場所も、診察室、事務室、検査室、病室などに及ぶようになり、端末の台数も増加しましたので、クライアント・サーバー型で運用することには、膨大なコストが掛かるようになってしまいました」
こうした課題の解決手段として、福井大学病院ではデスクトップ・クラウドに着目しました。その理由は、古い時代の経験に基づくと山下氏は言います。
「汎用機全盛の時代は、システムをホスト・コンピューターで集中管理し、専用端末で使うという形が一般的でした。実はこの形はサーバーを仮想化してアプリケーションを集中管理し、クライアントも仮想化してデータを集中管理するデスクトップ・クラウドに通じるものがあります。福井大学病院では、UNIXマシンで稼働するシステムをX端末で操作していましたので、アプリケーションやデータを集中管理できることのメリットについては理解していました。そこで、複雑多岐にわたる医療システムを統合、集中管理する手段として、デスクトップ・クラウドが候補に挙がったのです。3割程度の運用コスト削減が実現できていると思います」
福井大学病院では、2006年にベンダー更改を実施し、サーバー機器など多数のIBM製品を導入し始めており、このタイミングを機に、電子カルテ・システムを使って、デスクトップ・クラウドのトライアルを実施することにしました。
「デスクトップ・クラウドに対するユーザーの理解を得るため、100台ほどの端末において、トライアルを実施しました。医療の現場ではパフォーマンスが特に重要で、2008年からの本格的なトライアルで、その効果を検証したのです」
このトライアルを通じて、アプリケーションやデータを集中管理できるというメリット以外に、ユーザー側のメリットも確認されました。
「クライアント仮想化により、従来のWindows PCに比較して端末側の起動時間が早くなったことに加え、個人情報の固まりである医療情報が端末側に残らないためセキュリティーの心配が少なくなり、また、医療現場で要望の高いMac PCもサポート可能になりました。
またアプリケーションの更新も集中管理されたサーバー側で容易に行うことができ、ユーザーは常に最新バージョンのアプリケーションが使えるようになったことも大きなメリットです」
導入効果
IBM BladeCenterで、快適なデスクトップ・クラウド環境を実現
トライアルによりデスクトップ・クラウドのもたらす効果を確認した福井大学病院では、本格的にデスクトップ・クラウドに切り替えることを決定しました。導入ベンダーとしては、日本IBMが選ばれましたが、その一番大きな評価ポイントは、パフォーマンスを含めたIBMのサービス、製品の技術力の高さだったと山下氏は振り返ります。
「国立大学において高価なIT機器を導入する際は、綿密な技術評価を行います。しかも常に最先端のものを要求することから、そのハードルは年々高くなっていきます。2006年にサーバーの機器を入れ換えた際にも技術評価を行ったのですが、こちらの高いパフォーマンス要求に応えることができたのがIBMだったのです。今回のデスクトップ・クラウドの導入に当たっても、約25種類に及ぶアプリケーションの処理速度を高い水準で実現しなければならなかったので、ハードウェア製品にも高い処理性能が求められました。そして、その要求を満たすことができたのが、IBMのサービス、製品の技術力だったのです。その技術力については、性能テストをクリアしたことに加え、これまで多くのデスクトップ・クラウド構築の実績がある点も評価しました」
サーバーには、パフォーマンスや可用性、拡張性、運用効率を飛躍的に向上したIBM
BladeCenterが選択されました。近年CPUは目覚ましい進化を遂げてきましたが、その進化にメモリー搭載容量の向上が追いつかず、CPUの利用率はわずか10%程度にとどまっていました。IBM BladeCenterを使うことでその課題を解消し、数多くのサーバーをブレードに集約。その半分に相当する12枚をデスクトップ・クラウドで活用するアプリケーションの稼働に割り当てました。
IBM CISを含む18社のソフトウェア・ベンダーの約25種類のアプリケーションをサーバー仮想化環境に統合
デスクトップ・クラウド環境の構築に際しては、約25種類にも及ぶ複雑多岐にわたるアプリケーションを仮想化環境に統合する作業に多くの時間が割かれました。山下氏はこう語っています。
「約25種類のアプリケーションは、18社ものソフトウェア・ベンダーにまたがっていましたので、その移行作業は大変でした。しかし、日本IBMに各ベンダーを取りまとめ、移行プロジェクトをしっかり管理していただいたので、安心して作業を進めることができました」
このように困難な移行作業でしたが、逆に、多くの成果も生まれたと山下氏は言います。
「今回のアプリケーションを仮想化環境へ移行したことによって、今まで気が付かなかったプログラムのリソースの使い過ぎなどの無駄な個所が見えてきました。近年、マシン性能が飛躍的に向上したため、アプリケーションに多少無駄な処理があったとしても、力任せで動かすことができます。しかし、デスクトップ・クラウドの同じ仮想化環境で動かすことによって、各アプリケーションを見える化し、パフォーマンスのチューニングを促し、リソースの効率利用を推進できたことは、非常によかったと思います」
医療現場、事務・管理部門のユーザーや患者様の利便性向上、満足度向上などの成果を達成
福井大学病院のデスクトップ・クラウドは、2011年3月にサービスインしました。活用開始後の成果については、まずはアプリケーションやデータの管理効率が向上したことが挙げられます。
「アプリケーションの管理の効率化については、トライアルの段階で感触を得ていましたので、予想通りの効果が上がっていると考えています。今後は次の更新までその効果を測定し、長期的にみて本当にどの程度の効果が上がるのかを評価したいと思っています」
ユーザーからも快適な動作や端末の自由度が向上した点などについて好意的な評価が寄せられています。
「従来はマシンによって端末の用途が決まっていましたが、デスクトップ・クラウドでは、どの端末からでも使えるようになります。この点については運用面の戸惑いもあったようですが、基本的にはユーザー部門からは前向きな評価の声が寄せられています」
さらにデスクトップ・クラウド導入で、Windows PCに加え、Mac PC、iPad、スマートフォンも利用可能になり、医療現場の要望に応えることができました。
「病棟で起き上がることが困難な患者様に対して、ベッドサイドでiPadを使って画像などの診断結果を提示しながら説明を行うことは大きなインパクトがあったようです。患者様もこれまで経験のなかったことですので、未来的だとか、最先端の医療を実感されたようで、非常に好評です」
そして何よりも大きなメリットとして、セキュリティーの強化が挙げられます。病院で扱う個人情報の管理には非常に厳格なセキュリティー対策が求められます。従来のクライアント・サーバー型では、システムごとに保存されたデータに対して厳格なセキュリティー運用が要求され、そのために多くの手間も掛かっていました。デスクトップ・クラウドでは、システムごとに散在していたデータがサーバー側に一括管理されるので、セキュリティーが強化されると同時に、ユーザーの負担を軽減することにもつながっています。
将来の展望
地球の反対側でのミラー・サイトの構築、運用も視野
今後の展望としては、東日本大震災を機に事業継続強化を図っていきたいと山下氏は語ります。
「福井大学病院では、ITシステムをこれまで敷地内に設置していました。しかし、次のステップとして、外部のインフラを利用することも考えています。大学では制度上の問題もあり、学外にサーバーを設置することは難しいのですが、例えば地球の反対側にシステムを設置し、そこをミラー・サイトとして活用できれば、事業継続の向上につながると思っています。万が一、大規模地震などの自然災害に見舞われたとすると、現在のITシステムが全部、使えなくなる可能性があります。現代の医療においては患者様のデータに基づきが診療行われているので、現行のシステム内でミラーリングは行っていても、システム全体が壊滅してしまったら医療を継続するための大切な情報をすべて失ってしまうことになります。遠隔地にミラー・サイトを運用していれば、そうした心配をする必要はなくなるのではないでしょうか」
常に先を見据えて最新技術を取り込んでいる福井大学病院は、今後も地域の医療活動のリーダーとして貢献を続けていこうとしています。
お客様情報
福井医科大学医学部附属病院として1983年に開院。2003年の福井大学と福井医科大学の統合より名称を変更。「最高・最新の医療を安心と信頼の下で」という基本理念の下、専門的で高度な医療の提供を通じて、基幹病院として地域医療への貢献を継続しています。
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、ibm.com、およびBladeCenterは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。
現時点でのIBM商標リストについては、http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。
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