掲載日 2011年9月9日

エーザイ株式会社
新分野への進出とグローバル化を機に事業構造を転換。事業体制もより効率的でリーンな形へ
hhc(ヒューマン・ヘルスケア)を企業理念に掲げ、世界のヘルスケアの多様なニーズに応え続けているエーザイ株式会社(以下、エーザイ)。同社はいまビジネスの転換期を迎えています。
エーザイはこれまで、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」とプロトンポンプ阻害剤「パリエット/アシフェックス」を主力製品に、急成長を続けてきました。しかし近年、自社開発の新しい抗がん剤「ハラヴェン」を日米欧で発売するなどがん領域への参画を加速しており、「グローバル・トップティアのハイ・パフォーマンス企業」の実現を目指して事業のグローバル展開もこれまで以上に積極化しています。
これらの方針は、2011年~2015年度を対象にした中期戦略計画「はやぶさ」に明記されています。そしてこの「はやぶさ」には事業構造の転換だけではなく、「効率的かつリーンな事業体制への転換」も重要課題として掲げられています。
目次
お客様ニーズ

エーザイ株式会社
システム企画部
部長
近江 有 氏
ストレージ容量への要求が大規模化。これに低コストで対応することが重要課題に
「事業構造や体制の転換を図る上で、ITに対しても効率化と低コスト化が求められています」と、エーザイシステム企画部 部長の近江 有氏は説明します。特にストレージに対しては、高可用で大容量のストレージをより安価にというニーズが高まっていました。
エーザイではITシステムへの投資効率を高めるため、すでに2004年からサーバー群の物理統合や仮想化統合に着手しており、ストレージの共通化が推進されてきました。2005年にはブレードサーバーによるx86サーバーの集約や、システムインフラのメニュー化もスタート。約350台に上るサーバー群と統合されたス
トレージをリソース・プールとして集約し、アプリケーション・チームのニーズに合わせて提供する体制を整えてきました。
しかし近江氏は、「ここ2~3年はストレージ容量への要求が大規模化し、従来のストレージ製品では十分な対応が困難になっていました」と言います。ストレージ容量への要求は、2010年だけで20~30TBに達しており、大容量ストレージへの要求は今後も大きくなると見込まれていました。このニーズに対して低コスト
で対応するには、新たなストレージ・システムの導入が不可欠だと判断。そのために採用されたのがIBM XIV Storage System(以下、XIV)でした。
ソリューション

株式会社インテージ
テクノロジー本部
情報ネットワーク部
マネージャー
佐々木 均 氏
高可用性を低コストで実現できるXIVを採用。柔軟かつ簡単な災害対策環境の実現も大きな魅力
次世代ストレージ環境の構築に向けた検討が本格的に始まったのは2010年10月でした。2カ月後の12月にはXIVの採用を決定。2011年1月にはシステム構築に着手し、2月下旬にはアプリケーション・チームへの提供を開始しています。システム構築に要した期間はわずか1カ月。驚くべきスピードだと言えるでしょう。ここでXIVが採用された理由は大きく3つありました。
第一は、高可用性を維持しながらコスト低減が可能なことです。容量当たりのコストを下げられるだけではなく、バックアップや災害対策を含めた時のトータル・コストも、XIVなら大幅に下げられると判断されたのです。これまでのストレージ運用ではローカル側のバックアップ、遠隔地へのバックアップ、遠隔地バックアップのバックアップと、合計3種類のバックアップを行っており、バックアップなしの状態に比べ4倍の容量が必要でした。しかしXIVのスナップショットとリモート・ミラーリング機能を活用すれば、この容量を2.5倍程度にまで圧縮することが可能になります。
第二は新たなバックアップ運用が可能になることです。XIVでは、より柔軟かつ簡単に複数パターンの災害対策環境を容易に構築できるようになったことで、静止点バックアップはもちろんのこと、非同期ミラーリング機能によって、サービスを停止させずにバックアップを取得する環境が整備できます。
そして第三は運用が容易になることです。従来は事前のストレージ設計に大きな負担がかかっていましたが、XIVはデータ配置が自動化されていて、全てのデータが全てのディスクを均等に使うようになっているので、専門知識がなくても容易にプロビジョニングが行えます。これによって運用コストが削減され、プロビジョニングのスピードも向上すると期待されています。
導入されたXIVはまず、医薬事業部の社内ポータルサイトおよびドキュメント管理システムに適用されました。このシステムはMicrosoft SharePoint Serverをベースにしたもので、ちょうどこの時期にバージョンアップを実施。これを機にストレージの移行が行われました。移行後のサービスは2011年5月にスタートしています。
導入効果

株式会社インテージ
テクノロジー本部
情報ネットワーク部
鹿野 博幸 氏
TCOを従来の半分以下に削減。プロビジョニング作業が3日から半日に
それではXIVの導入によって、具体的にどのようなメリットが得られているのでしょうか。まず第一に着目したいのが、バックアップ手法の多様化が可能になったことです。
これまでのインフラ提供でも、バックアップ取得と災害対策は標準機能として提供されていましたが、バックアップはサービス停止を必要とする“静止点型”のみでした。XIVの導入後はこれに、サービスを停止せずにバックアップを取得する“非同期バックアップ”が追加されています。バックアップに必要な容量も削減されました。エーザイでシステム構築・運用を担当している株式会社インテージ(以下、インテージ)の佐々木均氏は「以前に比べて3分の2程度の容量でローカル・バックアップと災害対策が可能になっています」と説明します。
運用効率も向上し、アプリケーション・チームにインフラを提供する際の準備時間が、大幅に短縮しました。その最大の理由としては、XIVの自動データ分散アルゴリズムによってストレージの割り当てが容易になったことが挙げられます。
「以前はプロビジョニング作業に3日間かかっていましたが、今では半日で終了します」と語るのはインテージの鹿野 博幸氏。また鹿野氏は、使いやすいGUIが用意されていることも運用性向上に寄与していると指摘します。「ストレージのマッピングも一目で把握できますし、どうすればやりたいことができるのかもわかりやすくなっています。これなら専門エンジニアの手を借りることなく、データセンター運営管理者が設定することが可能です」。
さらに「筐体がコンパクトなこともXIVの特徴です」と佐々木氏は付け加えます。「最初見たときにはこの中に数十TB入っているとは信じられませんでした」。
これらのメリットが得られた結果、大幅なコスト削減が可能になりました。運用負担の軽減等も含めれば、TCOは従来の半分以下になると試算されています。
今回のXIV導入では、短期導入を実現したことも注目すべきポイントです。これについて近江氏は、「IBMのスペシャリストである山中氏が当社に常駐し、最初の段階からプロジェクト全体の調整作業を行ってくれたことが大きいと思います」と言います。これに対しIBM アドバイザリー ITスペシャリストの山中 友紀子は「今回は導入スピードを高めるため、早い段階からXIVの運用イメージをお客様にご理解いただくようにしました。またインテージ様の積極的なご参画も短期導入の支えとなりました」と説明。インテージとIBMが良好な形でチームを組めたことが、今回の導入を成功に導いた重要な要因だと指摘しています。
将来の展望

日本アイ・ビー・エム
株式会社
GBS事業
AIS エンタープライズ・
インテグレーション
ビジネスプロモーション1
アドバイザリー
ITスペシャリスト
山中 友紀子
今後は対象アプリケーションを積極的に拡大。ITのコスト効率をグローバル規模で最適化
今後はXIVの適用対象となるアプリケーションを、積極的に増やしていく予定です。新しいアプリケーションを立ち上げる場合や、バージョンアップ等によるリ
ニューアルを行う場合には、原則としてXIVを使用する方針だと近江氏は説明します。
XIVの上で次に動くアプリケーションとしては、SAP ERPが挙げられています。エーザイでは現在、日本、米国、欧州で個別にSAP ERPを運用していますが、
これらを日本側のシステムをベースに、グローバル規模で標準化する取り組みが進められています。2011年9月にはその第1弾として、インド向けのSAP ERP
がXIV上で稼働する予定です。その後もアジア地域への展開が計画されています。
医薬品申請を電子化した電子申請システムの再構築も視野に入っています。1つの医薬品を申請するためには、4トントラック2台分の書類が必要になり、
この他に臨床試験に関する生データもあるため、このシステムには膨大なデータが蓄積されています。大容量データの蓄積を効率的に行う上で、XIVは高い
効果を発揮すると期待されています。
「ITのコスト効率をグローバル規模で高めていくには、IBMの力が不可欠です。これからもグローバルパートナーとして、積極的に協力してほしいと思います」(近江氏)。
お客様の声
エーザイ株式会社 システム企画部 部長 近江 有 氏
「ITのコスト効率をグローバル規模で高めていくには、IBMの力が不可欠です。これからもグローバルパートナーとして、積極的に協力してほしいと思います」
株式会社インテージ テクノロジー本部 情報ネットワーク部 マネージャー 佐々木 均 氏
「XIVのスナップショットと非同期のリモート・ミラーリングによって、以前に比べて3分の2程度の容量で、ローカル・バックアップと災害対策が可能になっています」
株式会社インテージ テクノロジー本部 情報ネットワーク部 鹿野 博幸 氏
「以前はプロビジョニング作業に3日間かかっていましたが、今では半日で終了します。使いやすいGUIが用意されていることも運用性向上に寄与しています」
日本アイ・ビー・エム株式会社 GBS事業 AIS エンタープライズ・インテグレーション ビジネスプロモーション1 アドバイザリー ITスペシャリスト 山中 友紀子
「今回は導入スピードを高めるため、早い段階からXIVの運用イメージをお客様にご理解いただくようにしました。またインテージ様の積極的なご参画も短期導入の支えとなりました」
お客様情報
お客様名:
エーザイ株式会社
所在地:
〒112-8088東京都文京区小石川 4-6-10
URL:
1936年、合資会社桜ヶ岡研究所として創業、1955年に社名をエーザイ株式会社に改称。自社開発製品であるアルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」とプロトンポンプ阻害剤「パリエット/アシフェックス」を主力商品とする製薬企業です。企業理念として「ヒューマン・ヘルスケア」を掲げ、患者様やその家族、生活者のベネフィット向上を目的としたビジネス活動を展開。日本・米国・欧州・アジアに研究開発や販売拠点などを展開し、世界のアンメッド・メディカル・ニーズ充足に向け取り組んでいます。
ビジネス・パートナー
企業名:
株式会社インテージ
所在地:
〒101-8201東京都千代田区神田練塀町3番地インテージ秋葉原ビル
URL:
1960年 3月設立、東証 1部上場(証券コード: 4326)・国内最大手のマーケティングリサーチ企業 です。リサーチノウハウ、データ解析力、システム化 技術と、これらに基づく情報評価力をコア・コンピタ ンスとして、グループ各社と共に事業を展開。経営 およびマーケティング上の意思決定に役立つ情報(Intelligence)を提供し続けています。
製品・技術情報
ハードウェア
参考資料
- お客様導入事例 エーザイ株式会社(670KB)この事例のPDFがダウンロードできます。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、ibm.com、およびXIVは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。
MicrosoftはMicrosoft Corporationの米国およびその他の国における商標です。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。