掲載日 2011年10月19日

アイコクアルファ
株式会社自ら製造現場を持ち、もの作りの難しさを知るアイコクアルファ株式会社(以下、アイコクアルファ)は、統合NC切削加工シミュレーションシステム「G-Navi」の品質を維持するために、数多くのテストケースをIBM Rational Functional Testerで自動化して作業者スキルによるテスト操作のばらつきをなくしました。これにより、G-Navi開発でのテスト期間は50%短縮され、テスト工数は75%減と大幅に削減されました。
目次
お客様ニーズ

MS事業部
Rationalサポート
エンジニア
山本 司氏
課題は工数増加への対応と作業者への依存
複雑な形状の製品を短時間で正確に作るとき、NC(Numerical Control:数値制御)加工が用いられます。NC加工では、CAD(Computer Aided Design:コンピューター支援設計)による設計データを基にNCプログラムが生成され、その内容に従って製品が作られます。このため、設計データやNCプログラムに何らかの問題が潜在していると、実際の製品作成時に加工機械が正しく動作しなかったり、治具と製品が干渉してしまったりという不具合が生じます。
現在、このような実機での不具合発生を避けるため、NCプログラムに従って加工機械の動作をシミュレーションするソフトウェアが提供されています。アイコクアルファのG-Naviは、航空機部品などのNC加工の経験を基に同社が商品化した機械動作シミュレーションソフトと切削加工シミュレーションソフトを統合した、統合NC切削加工シミュレーションシステムです。G-Naviを使用することで、治具が製品と干渉することなく、意図したとおりに加工機械が動作するかどうかをシミュレーションで確認できます。
NC加工での機械動作をシミュレートするG-Naviにおいて、細心の注意を払わなければならないことは、シミュレーション結果と実際の機械や治具の動作が同じであるということです。これが異なっていたときには、重大な事故につながる恐れがあります。アイコクアルファ自身がNC切削加工シミュレーションシステムを導入する以前に、NCプログラムの設定ミスによる事故で多大な修理費による損失と長期間にわたる生産現場の停止を経験したこともあります。そのため、現場での事故を無くすためのソフトウェアであるG-Naviの品質は最優先であると考えています。アイコクアルファ MS事業部 Rationalサポートエンジニアの山本司氏は、次のように話します。「G-Naviの不都合によってシミュレーション結果どおりに加工できないという問題は、生産に支障をきたす問題であり、生産現場に大きな影響を与えるものになります。このため、社内の品質管理をきちんとし、G-Naviの不具合を社外に出さないことを目標にしています」。
品質を最優先に2002年から販売されている統合NC切削加工シミュレーションシステムG-Naviは、新たな機能追加などのために年3回程度のバージョンアップを繰り返しています。「お客様からの要望に応え、競合製品との差別化を図ってG-Naviの価値を上げるためには、定期的にバージョンアップしていく必要があります。しかし、バージョンアップのために機能を追加すると、その動作確認のためのテストケースも増やさなければなりません。品質を確保するためにしっかりテストをしていこうと思っていますが、バージョンアップによってどんどんテストケースが増えていきます。実際にバージョンアップごとに、多大な工数を費やしてテストを繰り返さなければなりませんでした」(山本氏)。
また、バージョンアップごとのテストは、複数の作業者によって実施されます。このため、同じテストシナリオを使っても作業者によって操作が異なってしまうことがあり、テストの品質が均一にならないという問題もありました。このようにアイコクアルファは、ソフトウェア開発でのテストに関して2つの大きな課題を抱えていました。1つは、テストケースを増やしてテストの網羅性を上げたいが、現状以上の工数増加への対応が難しいこと。そしてもう1つは、テスト内容を示す文書の曖昧さにより均一になっていないテストの品質を、作業者のテストスキルに依存せずに維持することでした。
ソリューション

MS事業部
G-Navi開発部門
シニアマネージャー
東野 千春氏
信頼性と将来性からIBM製品を選択
これらの課題を解決するため、アイコクアルファは、開発プロセスの見直しや改善、品質管理担当者の配置とともに、テスト工程を見直して単純なテストから順に自動化を試みることにしました。そして、アイコクアルファは、いくつかのテスト自動化ツールを評価し、IBM Rational Functional Testerを採用しました。アイコクアルファ MS事業部 G-Navi開発部門 シニアマネージャーの東野千春氏は、選定理由を次のように話します。「5、6種類の製品をリストアップし、スペックを基に2つの製品に絞った後、実際に評価しました。どちらの製品も機能差はほとんどありませんでしたが、提供機能は時間とともに変わっていくため、選択のポイントを将来性や信頼性としました。IBM Rational Functional Testerは、IBM製品であるという信頼感があります。また、機能にも柔軟性があり、カスタマイズもできます。このような理由からIBM Rational Functional Testerに決めました」。
2010年4月にIBM Rational Functional Testerが導入されました。アイコクアルファ MS事業部 G-Navi開発部門で出荷前テストを担当する横山裕治氏は、導入時の印象を次のように話します。「バッチ処理でテストを自動化したことはありましたが、IBM Rational Functional Testerのようなテスト自動化ツールは触れたことがありませんでした。作業者が直接操作するときと同じ方法でボタンなどをクリックしてテストを進められる点は、非常に優位だと思いました」。
テスト自動化によるテスト期間短縮・テスト回数増加 (143KB)
導入効果

MS事業部
G-Navi開発部門
横山 裕治氏
テスト自動化によって工数を削減し品質を均一化
IBM Rational Functional Testerを導入したアイコクアルファは、それまでのテストケースを整理し、約3,000件のテストをスクリプト化して自動で実施できるようにしました。また、これらのうち、作業者による判断を必要とせずにすべてをシステムに任せて夜間や休日にも実施できる「完全自動化」と呼べるテストが50%にも及びました。山本氏は、IBM Rational Functional Testerの導入効果を次のように話します。「テスト工数は大幅に削減できました。従来、3,000件ほどあるテストを約2週間かけて4名の作業者で実施していました。現在は、これが約4日間、2名の作業者で行えるようになっています。つまり、テスト期間が2分の1になり、テスト工数は4分の1になりました。また、テスト期間が短くなったため、開発グループへのテスト結果のフィードバックも早くなりました」。
IBM Rational Functional Testerの導入によって、テストの品質も均一化できました。「以前のように、作業者によって操作が異なるということはなくなりました。それまで紙に書かれていたテストシナリオの内容がスクリプトという明確な状態で残るため、どの作業者がテストを行っても同じ操作になります」(山本氏)。
テストの自動化は、当初予想していなかった効果ももたらしました。「スクリプト化によってテストスキルが蓄積されることは予想していませんでした。従来、テストスキルの蓄積はテスト専任者に任せていました。どのようなテストをどのように行っているかという実態が、管理する側からは見えづらい状態でした。これがシステム化によって明らかになりました。また、テスト専任者に任せていたテストのスケジュールも、システム化によって計画的に行えるようになりました」(東野氏)。
アイコクアルファは、IBM Rational Functional Testerによるテスト自動化をより効果的にするために、いくつかの工夫も施しました。「G-Naviがシミュレーションソフトウェアであるという性質上、あるイベントが起こったときに別の動作に移らせるといった条件分岐が必要になります。この部分はマクロを作って対応しました。また、『ファイルを開く』や『データをコピーする』といった、テストで頻繁に行う操作はライブラリーにしました。これによって、テストスクリプトを生成するために必要な操作を最初からすべて行わなくてもよくなり、スクリプトを作る作業がかなり楽になりました」(横山氏)。
このような導入効果や工夫によって、テスト工数が削減され、テスト品質が均一になり、テストが計画しやすくなったことで、それまでのバージョンアップでは繰り返すことが難しかった全テストケースの実施が、1つのバージョンアップで複数回実施できるようになりました。
将来の展望
開発工程のあらゆる場面で品質向上を目指す
今後、アイコクアルファは、よりユーザーの利用環境に近づけたテストケースを増やしていこうと考えています。また、G-Navi以外のソフトウェア開発にもIBM Rational Functional TesterをはじめとしたRational製品の活用を検討しています。「テスト工程は、ソフトウェア開発の最終工程です。この部分だけ良くなっても、前工程である設計に問題があってはどうしようもありません。設計などのソフトウェア開発のあらゆるステップの中で良いものを早く作る仕組みが重要ですし、Rational Team ConcertやRational Qaulity Managerをはじめ、そのためのツールがRational製品にはたくさんあります。それらを使って総合的に品質を上げていきたいと思っています」(東野氏)。
さらに、アイコクアルファは、IBMのビジネスパートナーとしてもRational製品を拡販していきたいと思っています。「元来、現場で培ってきた技術を社外に提供してきました。実際に使ってみて『良い』と感じたものをお客様に紹介していきたいと思っています。今後も、現場の声やお客様の声に耳を傾け、できるかぎりお客様の近いところでサポートしていきます」(山本氏)。
お客様情報
お客様名:
アイコクアルファ株式会社
所在地:
〒495-8501愛知県稲沢市祖父江町森上本郷十一、4番地1
URL:
2013年に創立70年を迎えるアイコクアルファ株式会社は、自動車部品の精密冷間鍛造、フレキシブルなハンドクレーンであるラクラクハンドの製造販売、同時5軸マシニングセンタによる航空宇宙機体部品やエンジン部品などの切削加工とともに、製造業で使用されるCAD/CAMシステムの販売やサポート、NC関連ソフトウェアの開発や販売を事業の柱としています。今回の取材先であるMS事業部が取り扱うCAD/CAMシステムやNC関連ソフトウェアには、同社の現場で培われてきた技術やノウハウが生かされています。
製品・技術情報
ソフトウェア
参考資料
- お客様導入事例 アイコクアルファ株式会社(1.43MB)この事例のPDFがダウンロードできます。
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は初掲載当時のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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