掲載日 2011年10月7日

株式会社
ニッセイコンピュータ24時間365日、生命保険の業務を支える
堅牢な情報システムを運用
日本生命グループの一員である株式会社ニッセイコンピュータは(以下、ニッセイコンピュータ)は、1967年の設立以来、日本生命の保険業務の基盤となる情報システムの運用を支えています。日本生命のお客様の膨大な個人情報を守る重要なシステムであることから、システムの堅牢性やセキュリティー対策にも高度な運用が求められています。そのため同社では、プライバシーマークの認定やISMS(ISO/IEC 27001に基づいた情報セキュリティマネジメントシステム)認証、ISO9001(品質マネジメントシステム)認証などを取得しています。
生命保険会社の多くは情報システムの開発および運用をグループ企業へアウトソーシングしていますが、日本生命グループでも、システム開発を担当とするニッセイ情報テクノロジー株式会社(以下、ニッセイ情報テクノロジー)と、情報システムの運用および保険業務サービスを行うニッセイコンピュータの2社で日本生命の情報システムを支えています。
「私たちには日本生命の情報システムを24時間365日運用し、お客様の個人情報などをきちんと管理していく責務があります。プライバシーマークなど各種認定はもちろん、常に業務の改善を繰り返すことで、より高品質なサービスの提供を目指しています」と運用企画室 担当部長 白石 眞一氏は説明します。
目次
お客様ニーズ

運用企画室
担当部長
白石 眞一氏
“改善”から“改革”へ
より質の高いシステム運用を目指す
お客様ニーズの多様化により、生命保険を支える情報システムに求められる要件も多様化しています。そのためオペレーションは複雑化し、運用負荷は高まる傾向にあります。そこでニッセイコンピュータでは、2005年度より運用の効率化を実現する運用“改善”プロジェクトに取り組んできました。そして2010年度からは、さらなる運用の高度化、品質や効率の向上を目的に、運用“改革”プロジェクトをニッセイ情報テクノロジーとともに始動しています。同社では実際に現場担当者の生の声を聞くことから始め、現場が抱える課題や運用プロセスの問題点などを洗い出しました。運用企画室の森 温美氏は、現場での取り組みについて次のように話します。
「運用担当者や事務担当者からのヒアリングや、実際に事務プロセスを体験することで、それぞれの担当者にどれだけの負荷がかかっているかを可視化する作業を行いました。そこから幾つかの課題が明らかになり、運用プロセス改善のヒントを得ることができました」。
ニッセイコンピュータでは、まず運用の“改善”を行い、次いで“改革”に取り組むという二段階で運用業務の効率化・高度化を図っていますが、この2つには明確な違いがあります。これまでの情報システムの運用は、安定稼働が一番の目的でした。そして、その安定稼働のため、運用を見直す“改善”を繰り返してきました。これに対して運用の“改革”とは、安定稼働は当然のこととし、その上でお客様にどのようなサービスを提供できるのか、どうしたらサービスの価値を高めていくことができるのかなど、当たり前の先にある運用の新しい価値を実現することを目的としています。この運用改革プロジェクトでは、3か年計画に沿って、運用プロセスの標準化や自動化などの統制強化を推進するとともに、運用を担う人材の育成にも積極的に取り組んでいます。
「情報システムの運用負荷が高くなると、運用に関するトラブルも多くなります。また、証跡管理など情報システムを適正に運用していることを証明する仕組みも求められるようになったことから、運用に人の手がかかりすぎていないか、ミスを誘発するような仕組みになっていないかなど運用の “改善”を推進してきました。そして運用の“改革”では、業務プロセスを根本から見直すことで、運用しにくいオペレーションや、そもそも開発側の論理で作られている仕組みなどを見直すことから始めています。開発のガバナンスも運用の視点で統制していくように立ち位置を変えていく必要があるでしょう。その上で自動化できるところは自動化を進め、効率良く、ミスが少ない仕組みに変えていくことが重要だと考えています」(白石氏)。
ソリューション

参考:Watsonツ
ールの特徴
頻発するアラートの相関関係を分析する
「監視メッセージ最適化サービス」
運用の改革に向けてニッセイコンピュータでは、日本IBMの「監視メッセージ最適化サービス」を活用し、運用の現状の数値化・可視化に取り組みました。
この監視メッセージ最適化サービスは、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器など、情報システムを構成するさまざまな機器やアプリケーションから発せられるエラーや警告などのシステム・メッセージを、IBMのワトソン基礎研究所が開発したツールを活用し、複数の機器やアプリケーションにわたる相関関係を時系列で抽出します。次に、IT運用に関して豊富な経験と知識を持つ日本IBMの専門家が、抽出された相関関係を分析し、システム・メッセージの最適化や削減を目的としたサービスです。
例えばネットワーク障害が発生した場合、関連する機器A、B、Cがそれぞれアラートとして個別にシステム・メッセージを通知します。しかし、これらのメッセージを個別に見た場合、その原因がネットワーク障害だと即座に判断することは困難です。あるいは、Dというディスク機器で障害が発生した場合、そのディスクを利用するEというアプリケーションがエラーとなりアラートを発することもあります。しかし、このアプリケーションのアラートだけでは、アプリケーションの不具合なのか、ディスクに障害が発生しているのかを特定することは困難です。そこで、その他のディスク関連機器からのシステム・メッセージを複合的に分析することによって、根本原因がディスクの障害であると判断できます。
このように1つの事象には、関連した複数のシステム・メッセージが通知されます。複雑化した情報システムは、通知されるシステム・メッセージも膨大です。そこで監視メッセージ最適化サービスによって不要なシステム・メッセージを特定し、対応が必要な事象にのみ注力することが可能になります。
「運用の現状把握を進めていくと、システム・メッセージへの対応業務がとても多いことに気付きました。しかし、この対応業務を見直すにしても、何が重要なメッセージで、何がさほど重要ではないかという判断ができませんでした。システム・メッセージの一覧を見ただけではわからない中、対応すべき重要メッセージの選択が出来ないのかとIBMに相談したところ、Watsonツールを利用したサービスでメッセージの分析と最適化が可能だと知りました。これは自分たちにはない発想でしたから、非常に驚きました」(白石氏)
導入効果

運用企画室
森 温美氏
システム・メッセージの85%を削減し
運用行動プロセスの負荷が40%削減可能と分析
これまで同社では頻繁にシステム・メッセージがメールで通知され、夜中に起こされることもあったといいます。結果的には対応の必要ないメッセージも多いのですが、メッセージを見ただけで原因を判断することは難しく、運用担当者には大きな負担となっていました。今回システム・メッセージを分析したことで、これまで運用担当者が個別に判断していた事象を、運用ツールなどでシステマティックに判断できるようになります。
ニッセイコンピュータで「監視メッセージ最適化サービス」を実施した結果、定期保守に伴う通知など、障害以外のメッセージが数多く検知されていたことが判明しました。こうした結果に基づき、メッセージ出力の設定を変更することで、サーバーなどから生じるエラーや警告のメッセージを従来に比べて85%割程度抑制し、運用担当者のメッセージ出力に伴う行動プロセスの負荷を40%以上削減できると分析しています。
「1つの事象が起こったら、関連して複数の事象が発生することがあります。たとえば、パイプに穴が開いたら水が漏れて、床が濡れてしまいます。床が濡れる原因は水漏れですし、水漏れの原因はパイプに穴が開いたことにあります。監視メッセージ最適化サービスは、その根本の原因を見つけてくれるサービスです。エラーの前後関係や相関関係から、どこに問題があるのかがすぐに把握できることはもちろん、全体のメッセージや傾向も可視化できることはとても有効だと感じました」(白石氏)。
「今回のシステム・メッセージの分析結果を最大限に活用して、今後は運用担当者の負荷を大幅に削減する運用の自動化とワークフロー化につなげていきたいと考えています」(森氏)。
将来の展望
安定性や継続性といった“守り”の運用から
新たなサービス提供を実現する“攻め”の運用へ
ニッセイコンピュータでは、情報システムが24時間365日、安定稼働することを前提として、運用をしています。人や機械のトラブルを完全になくすことはできませんが、そのトラブルを迅速に解決できるよう日々改善を重ねています。また機械にできることは機械に任せて自動化することで、より質の高いシステムでサービスを支えるため、改革に取り組んでいます。同社は今回の運用改革プロジェクトを通じ、安定性や継続性といった“守り”を重視した運用から、レスポンスタイムの向上や新たなサービス提供などを積極的に実現する“攻め”の運用にシフトしようとしています。
「これまでの運用改善プロジェクトは、贅肉を落としてスリムになるダイエットのようなものでした。これからの運用改革では、運用の筋肉となる障害の予兆検知や、業務の質向上につながるシステマティックな仕組みの導入などを実現していきます。そのためにも、IBMにはワールドワイドの多様な経験から、効果的なソリューションを実装するパートナーとして期待しています」(白石氏)。
今後ニッセイコンピュータでは、運用改革の施策を本番稼働システムに適用していく際、エラーや警告などのメッセージに応じて運用担当者が取るべき手順など関連情報を自動的に監視画面上に表示する仕組み、そのためのインシデントのナレッジ・データベース化など、さまざまな仕組みを実装していく予定です。同社では、これまでの属人的な経験やスキルに依存せずにシステムを安定稼働させながら、運用業務全体の効率化・品質向上を目指しています。
お客様情報
お客様名:
株式会社ニッセイコンピュータ
所在地:
〒541-0042 大阪府大阪市中央区今橋3丁目1番7号 日本生命今橋ビル
URL:
1967年の設立以来、日本生命グループ会社の中核として保険業務を支えるITシステムの運用を担当。堅固でセキュアなデータセンターを基盤とし、 システムオペレーション、運用管理を始め、保険証券発送事務等のアウトソーシング、サポートセンター業務などに従事。現在では、ニッセイ情報テクノロジーとの協業により、多くの企業、団体のシステム運用アウトソーシングを担当している。
製品・技術情報
参考資料
- お客様導入事例 株式会社ニッセイコンピュータ(497KB)この事例のPDFがダウンロードできます。
- プレスリリース ニッセイコンピュータ、情報システム運用の高度化・効率化を推進
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。