掲載日 2012年2月1日

株式会社三菱東京
UFJ銀行 資本、企業、消費者、情報など、さまざまなものが国や地域の境を越えて拡大しグローバル化しています。このような現象にITシステムも対応していかなければなりません。しかし、日本と時差があり祝祭日も異なる国々での利用に応えるためには、ITシステムは年間を通して安定稼働し続ける必要があります。株式会社三菱東京UFJ銀行(以下、三菱東京UFJ銀行)は、同行のデータウェアハウス(DWH)基盤である「ZEUS」をIBM WebSphere Virtual Enterpriseで拡張し、世界各地からの利用に対応できるシステム「グローバルZEUS」を実現しました。
目次
お客様ニーズ

システム部
副部長
星出 康拡氏
サービスを停止せずに運用し続けることの難しさ
三菱東京UFJ銀行は、収益管理、リスク管理、マーケティングなどに活用するため、個人口座数約4,000万、国内法人取引先約50万社のすべての取引データを格納するデータウェアハウスを中心にしたシステムZEUSを運用しています。ZEUSでは、取引データの収集に加えてデータの抽出や分析のため、定型検索、BI(Business Intelligence)、ETL(Extract, Transform, Load)などのさまざまなツールが用意されています。三菱東京UFJ銀行は、このZEUSの機能をより一層高め、グローバルなITシステムインフラとデータマネージメント体制を構築しようと考えました。三菱東京UFJ銀行 システム部 副部長の星出康拡氏は、当時の状況を次のように語ります。「ZEUSはもともと国内向けのシステムでした。しかし、グローバルにビジネスを展開する当行では、世界各地でトータルにサポートし、経営情報の高度化という視点で取引内容を把握・利用するシステムが必要でした」。
しかし、システムによるサービスを世界各地に提供するということは、そのシステムを年間を通して運用し続けなければならないことを意味しています。「これまでは国内ユーザーによる利用が中心でしたので、日本での利用時間に合わせてデータを作成し、システムをメンテナンスすることが可能でした。しかし、海外ユーザーにも対応するとなると、時差によって利用時間が違い、祝祭日も異なるという問題が生じてきます。この点に対するアーキテクチャーをどのように作るかが課題でした」(星出氏)。
三菱東京UFJ銀行 システム部 上席調査役の井澤淳一氏も、年間を通した運用におけるアプリケーション・サーバーの課題について、以下のように説明します。「1つ目の課題は、計画停止です。ライブラリー修正とも呼んでいるアプリケーションの入れ替えでは、アプリケーション・サーバーによるサービスを1時間程度停止しなければならないことがクリティカルな問題でした。もう1つの課題は、可用性に関するものです。障害が発生したときは、システムの処理を縮退してサービスを提供します。その際、サービスレベルの復旧を優先するため、本来取得すべきトレースログなどのデータを収集できず、障害の原因究明に苦労したこともありました。サービスレベルを落とさず、トレースログなどの必要なデータを収集したり、性能を劣化させないようにすることも大きな課題でした」。
ソリューション

システムの概要

システム部
上席調査役
井澤 淳一氏
意見交換と評価を繰り返し、IBM WebSphere Virtual Enterpriseを採用
ZEUSには、国内向けにサービスを提供していたときから、運用に関するさまざまな課題が存在していました。データがアップロードされる一方でデータが照会されたり、照会自体も負荷の高いものと低いものが混在していたりと、ZEUSはさまざまな利用状況が複雑に関係するシステムでした。今回構築されたグローバルZEUSでは、これらの課題を解決するためにIBM WebSphere Virtual Enterpriseが採用されました。
星出氏は採用理由を次のように話します。「今回のプロジェクトは、私たちがこれまで調査してきた解決策を実装できる案件でした。世界のトップバンクを目指す当行は、必要であれば先進的なものもきちんと評価し採用しています。そのために、日本国内にとどまらず米国のIBM研究所にまで出かけていき、どのようなロードマップの上で作られている製品なのか、それがどこまで活用できるのかについて、十分に開発者と意見交換するというプロセスを採りました」。
「アプリケーション・サーバーに関する課題は以前からあったものですが、それに対応できる製品がありませんでした。計画停止時間を短縮する努力は続けていましたが、その結果は1時間が限度であるというのが実情でした。これ以上縮める手立てがないというときに、IBMより、IBM WebSphere Virtual Enterpriseの提案を受けました。その後IBMの研究所の開発者とも意見交換し、評価を繰り返してきたことで、『この製品であれば大丈夫だろう』と判断し、導入を決断しました」(井澤氏)。
具体的には、(1)アプリケーションのエディション管理によって、サービスを停止せずにアプリケーションの入れ替えができること、(2)アプリケーション・サーバーの障害発生時に問題解析のためのデータを自動で収集したり、障害発生時やメンテナンス時にトランザクションを安全に停止できることの2点が、導入の決め手となりました。
実際に評価作業を担当した三菱東京UFJ銀行 システム部の五耒麻美(ごらい・あさみ)氏は、評価ポイントを次のように話します。「さまざまな機能を試すため、数カ月間にわたってテストを実施しました。IBMには単純に動作を確認するだけでなく、トラブルが発生したときにどのような処理が行われるかもフェーズ分けし、そのフェーズが失敗したときにどのようなリカバリー方法があるかといった点も含めて、すべてきちんと回答していただきました。回復手段が用意されていることも確認できたため、IBM WebSphere Virtual Enterpriseを使っていっても安心だと判断しました」。
「当行で初めて採用する製品でしたので、パンフレットに書かれている機能がどこまで当行の利用形態に適合するのか分からず、不安がありました。しかし、半年間くらいかけてIBMの方々に真摯に対応してもらったことで理解することができ、納得して導入を決断することができました」(井澤氏)。
導入効果

システム部
五耒 麻美氏
停止時間を極小化し、メンテナンスコストも低下
このように評価期間を経た後、三菱東京UFJ銀行は2011年にグローバルZEUSの運用を開始しました。井澤氏は、IBM WebSphere Virtual Enterpriseの導入効果を次のように話します。「計画停止に必要な時間が無くなり、サービスを停止せずにアプリケーションを入れ替えられるようになりました。また、現在までに障害が1件も発生していないため効果を実感できていませんが、テスト結果から判断するかぎり、障害が発生してもかなりの部分はメンテナンスフリーで対応できると考えています」。
五耒氏も、「通常では、新規トランザクションの割り振りがラウンドロビン式に順番に行われます。IBM WebSphere Virtual Enterpriseでは、スレッド数やCPUの状態によってリソースの状況を判断しながらトランザクションが割り振られます。サーバー間での負荷分布の偏りやレスポンスタイム遅延など、障害が発生している疑いのあるサーバーへトランザクションが割振られる可能性が低くなることにより可用性が向上する、という点が進化していると思います」と、導入効果を話します。
三菱東京UFJ銀行は、アプリケーション・サーバーのチューニングや制御もIBM WebSphere Virtual Enterpriseに任せています。「当初は多少不安もありましたが、実際使用してみると細かなチューニングも必要なくメンテナンスフリーで、稼働状況には満足しています。まだ定量化はできていませんが、おそらくメンテナンスコストは削減されているのではないでしょうか」(五耒氏)。
「当行にとって、オートノミックに委ねるという点は、かなり大きな転換でした。これまでは、すべてのパラメータを知り、チューニングし尽くすことで、システム基盤への責任を負っていました。これをIBM WebSphere Virtual Enterpriseに任せるということは、かなりの思い切った決断が必要です。しかし、その決断が功を奏して、当初の期待以上にうまく機能しています」(井澤氏)。このように三菱東京UFJ銀行がIBM WebSphere Virtual Enterpriseを評価する理由は、長い期間をかけてIBMと意見交換し評価を繰り返してより強固な信頼関係を築き上げることができたことが大きな要因です。
将来の展望
機能を生かし利用範囲を拡大
星出氏は、今回取り組んだIBM WebSphere Virtual Enterpriseを用いたグローバルZEUSという経営情報の高度化のためのシステムの完成を、次のように総括します。「今後、仮にリーマン・ショックのような金融危機が起こったときにも、当行のお客様のリスクや全体でのエクスポージャーがどのようなものになっているかが早期に分かるようになりました。これまではデータの範囲や収集頻度の関係で、緊急時は手作業で個別報告しなければなりませんでしたが、グローバルZEUSにより日次でシステム的に収集・利用できるようになったことが銀行経営にとって非常に大きなメリットです」。
また、井澤氏は将来の展望について、IBM WebSphere Virtual Enterpriseの機能をさらに活用したいと話します。「グローバルZEUSでは、まだ活用していない機能がいくつかあります。その1つが優先順位に関する機能です。今後グローバルZEUSの利用範囲を拡大していく段階で、さまざまな業務を取り込んだときに優先順位の制御をより高度化していく必要があります。また、利用者が増えることで負荷の急増が予想されます。それに備えて自立的に処理性能を上げていく機能も生かしていきたいと思っています」。
三菱東京UFJ銀行は、グローバルZEUSで期待どおりの効果を実現できたことで、よりミッションクリティカルなシステムにもIBM WebSphere Virtual Enterpriseを導入し、その機能を生かしてさらに利用範囲を拡大していこうと考えています。
お客様情報
お客様名:
株式会社三菱東京UFJ銀行
所在地:
〒100-8388東京都千代田区丸の内二丁目7番1号
URL:
株式会社三菱東京UFJ銀行は、2005年10月に創設された、信託、証券、カードなど約300社で構成される三菱UFJフィナンシャルグループの中核会社です。資産規模は国内最大級、個人口座数約4,000万、国内法人約50万社と取引しています。同行のシステム部は、経営目標を実現していくためのさまざまな施策をIT面から支え実現していく役目を担っています。
製品・技術情報
ソフトウェア
参考資料
- お客様導入事例 株式会社三菱東京UFJ銀行(2.25MB)この事例のPDFがダウンロードできます。
事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
IBM、IBMロゴ、ibm.com、DB2、およびWebSphereは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。
