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SOAで実現するマスター・データ管理




インフォメーション・サービスで実装するマスター・データ管理
SOAがマスター・データ管理に適する理由
マスター・データ管理のコンセプト
SOA環境でマスター・データ管理を実装する技術要素
独立したマスター・データ管理システムの効果



インフォメーション・サービスで実装するマスター・データ管理

SOA導入前、企業システムのほとんどは、顧客データや商品データなどのマスター・データを、業務アプリケーションごとに個別管理していました。このような環境では、「住所や契約などの顧客属性を変更する」、「商品マスター情報を登録する」というような業務ニーズが複数のシステムで重複して実装されています。企業システムの複雑化に伴って引き起こされたデータの不整合やメンテナンスに要するコストの膨張は、顧客志向型経営の推進や新商品の早期投入にあたっての弊害でした。
IBMは、マスター・データ管理をSOAにおけるインフォメーション・サービスの一つとして位置付けています。インフォメーション・サービスによってマスター・データを個別の業務アプリケーションから切り離し、企業レベルの戦略的な情報資産として統合管理できるようにします。既存のシステム・コンポーネントを再利用しながら、それらシステム・コンポーネント間のマスター・データを連携できるため、新しいビジネスエリアへの進出や、企業買収に伴うアプリケーション統合など、ビジネス環境の変化に迅速に対応できるようになります。


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SOAがマスター・データ管理に適する理由

SOAによるシステム構築では、「新規顧客を登録する」、「顧客情報を参照する」といったニーズを「サービス」として取り扱います。「サービス」は、複数の業務プロセスが共用・再利用するコンポーネントとして実装されるので、特定の業務アプリケーションに限定されることのない、企業レベルの基盤機能として位置付けられます。マスター・データの管理を「サービス」化すると、業務取引を管理するシステム・コンポーネントとマスター・データ管理のシステム・コンポーネントとを分離できるため、企業レベルでのマスター・データ管理を実装しやすくなります。
さらにSOAによるシステム構築では、システム・コンポーネントの独立性を維持しつつ、企業レベルでは有機的かつ一体化した状態の企業システムを利用できます。インフォメーション・サービスによる標準的なインターフェースを利用してマスター・データにアクセスするので、どのシステム・コンポーネントからでも、一元的な情報を利用できるようになります。


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SOAにおけるマスター・データ管理のコンセプト

SOAでのマスター・データ管理の基本的な考え方は、マスター・データを業務システムや取引システム、データウェアハウスでの管理から分離することです。マスター・データは独立したリポジトリーに格納し、SOAによるビジネス・サービスで管理します。
マスター・データ管理の実装にあたっては、そのドメインと利用パターンに着目します。ドメインとはデータの質的な分類のことで、顧客、商品、サプライヤー、契約、口座などがあります。利用パターンによる分類には、以下の3つがあります。

  1. Collaborative MDM
    マスター・データの作成プロセス、同期のプロセスを管理します。Collaborative MDMはマスター・データの定義にフォーカスしています。
  2. Operational MDM
    業務プロセスやアプリケーションにおける、マスター・データの利用と更新を管理します。マスター・データには、SOAサービスを利用してリアルタイムでアクセスします。この利用パターンは、マスター・データのインスタンスであるオペレーショナルなマスター・データにフォーカスしています。
  3. Analytical MDM
    正確で一貫性のある、最新のマスター・データをデータウェアハウスやCRMアプリケーション、ビジネス・インテリジェンス環境に提供します。
IBMは以上3つの分類を包括し、Multiform Master Data Managementというコンセプトを提供しています。 イメージ図(1)

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SOA環境でマスター・データ管理を実装する技術要素
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右の図はSOAを構成するシステムとの連携の代表的な例です。インフォメーション・サービスによるマスター・データ管理は、以下の3つの技術要素によって実装されます。



  1. プロセス・サービス
    リクエストされた業務プロセスとサービスの組合せをXPDL(XML-based Process Definition Language)やBPEL(Business Process Execution Language)で記述し、業務システムやマスター・データ管理システムに処理を実行させます。サービスのアクティビティーは実行基盤がモニターし、ビジネス・プロセス最適化のための改善に役立てます。IBMはIBM FileNet® Business Process Manager(BPM)IBM WebSphere® Process Serverなどを提供しています。
  2. エンタープライズ・サービス・バス
    サービスはエンタープライズ・サービス・バスを介して呼び出されます。エンタープライズ・サービス・バスに接続した業務システムは、独立性を維持したまま、機能を組み合わせて利用できるようになります。Webサービスなどのシステム間連携手段により、XMLで表現されたメッセージはHTTPやJMSといった標準技術を介して通信されます。IBMはWebSphere Enterprise Service Busなどの製品を提供しています。
  3. インフォメーション・サービス
    マスター・データ管理システムは、WebSphere Application Serverなどのアプリケーション基盤をベースに実装され、ビジネス・サービスを提供します。これには企業レベルでの利用に適したスケーラビリティーとパフォーマンスの実現が求められます。
    インフォメーション・サービスにはWeb サービスを利用します。マスター・データ管理の場合、データレベルの粒度のビジネス・サービスではSOAに対応しにくいため、業務プロセスにあったハイレベルな粒度のビジネス・サービスが必要です。IBMはWebSphere Customer Centerなどのマスター・データ管理製品を提供しています。

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独立したマスター・データ管理システムの効果

アプリケーションから独立したマスター・データ管理システムの効果は、システムの柔軟性の向上、システムコストの削減だけではありません。整合性のとれた情報が整備されることで、お客様への最適な商品提案による売上の増大や、コールセンターや店頭での顧客応対の満足度を高めることができます。CRMアプリケーションやデータウェアハウスには、前提条件としてビジネス・データの情報統合が必要です。情報統合が不十分なため、「Garbage In, Garbage Out」の状態に陥ることは少なくありません。マスター・データ管理システムは、整合性のとれたマスター・データの情報源となり、CRMやデータウェアハウスが本来の機能を発揮しやすい環境を整えます。
SOAによるシステム構築のように、企業システムのアーキテクチャーの変化は、企業が抱えていた構造的な問題を一気に解決する契機となります。企業レベルでのマスター・データ管理は、営業推進、コンプライアンス、不正取引防止、システム対応力強化など、さまざまなビジネスやシステムの課題を解決に導きます。多方面にわたる導入効果が期待できるマスター・データ管理システムは、企業システムの最適化に向けて検討する価値のあるものといえるでしょう。


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