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インターネットの普及は、企業と顧客の関係を確実に変化させてきました。お客様はブログやSNS、Webサイトなどからの多くの情報を基に購買行動を起こし、企業はさまざまなチャネルを通してお客様とコミュニケーションできるようになっています。こうした変化はカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)の世界をどう変えていくのでしょうか。その先にはどのようなNew Intelligenceが実現されるのでしょうか。IBM ビジネスコンサルティング サービス(IBCS)でCRMサービスを担当する浅野智也に話を聞きました。
New Intelligenceの実現が顧客と企業の双方に大きなメリットをもたらす
技術の進化がもたらした新たな顧客と企業の関係

IBCS 執行役員 パートナー
浅野智也
「技術の進化はCRMの世界にもさまざまな変化をもたらしています」と浅野。お客様に対して満足度の高い製品やサービスを提供するというCRMの目的は変わらないが、お客様と企業それぞれで大きな変化が起きており、目的を達成するためのアプローチには変革が必要だといいます。
「Webや携帯端末の普及により、個人が情報を入手しやすくなり、製品やサービスに対して詳しい情報を持ったお客様が増えています。また、ブログやSNS、評価サイトなどお客様同士が情報を交換する仕組みも発達し、購買行動に大きな影響を与えるようになってきました」と浅野氏はお客様サイドの変化を指摘します。
これに対して企業側も努力を重ねています。浅野は「社内に蓄積された顧客情報以外にも、非公式な情報も含めて広く情報を収集するようになり、蓄積した膨大な情報をビジネスインテリジェンスの技術を駆使して加工・分析し、解を導き出す活動を強化しています」と語ります。お客様の変化に対して企業側のアプローチも高度化しています。
こうした状況の中で浅野が注目するのが、“ネットワーク顧客”と言われる特殊な富裕層の出現です。「従来のピラミッド型のセグメントとは異なる顧客層で、特定の分野に強いこだわりを持ち、好きなものには投資を厭わないという特性を持っています。また、ネット上で独特のポジションを占めて情報を発信し、トレンドを生み出す影響力を持っています」と浅野氏は説明します。
IBMが隔年で行っている「IBM Global CEO Study 2008」の調査結果を見ると、CEOの多くがこうした新たな顧客層の出現をチャンスとして積極的にとらえようとしていることが分かります。実際にYouTubeを使ってチョコレートのプロモーションを成功させたキャドバリー社のように、ネットワーク顧客を意識したCRMを展開している企業も増えています。
New Intelligenceを実現するための3つのオファリングを提供
「Smarter Planetでは、スマートな企業・組織になるための4つの方向性が示されていますが、中でもNew IntelligenceはCRMとの関連性が強い分野です。New Intelligenceによって、今までできなかったことができるようになってきます」と浅野は、CRMで実現するNew Intelligenceの重要性を説きます。
IBMは、CRMのゴールに向けたアプローチの中でNew Intelligenceのエリアに関連する3つのオファリングを提供しています。インターネット上のお客様の生の声を活用する「COBRA」、顧客ニーズの予測に基づいたマーケティングを行う「EBM」、そしてお客様の購買行動を把握して店舗を設計する「動線分析オファリング」です。
「COBRAはCorporate & Brand Reputation Analysisの略で、ブログやSNSサイト、評価サイトなどからネット上の噂や口コミ、風評などを収集して分析し、脅威に対してアラームを発したり、製品やサービスに対する示唆を見出す仕組みです」と浅野は説明します。
例えば、リアルタイムに蓄積される膨大なデータに対して、製品名と「大好き」といった切り口で分析をかけ、分析結果を数値化して示すというものです。データの検索、データの整備、データのマイニング、加工・表示といった技術によって可能になりました。自社の製品がネット上でどこをどう評価されているのか、お客様はどんなシーンで活用しているのか、といった顧客動向を掘り下げて理解するのにも有効です。
【Smarter Planetの実現に向けたCRMのオファリング】


*1 COBRA:Corporate & Brand Reputation Analysis
*2 EBM:Event Based Marketing(イベント・ベースド・マーケティング)
テクノロジーを駆使することでより効率的なCRMが実現できる
2つめのEBMは、お客様の行動の変化を基に顧客を理解し、そのニーズに合った製品やサービスを提案する仕組みです。「今までは、いつ誰がそのサービスを必要としているかが分からなかったために、一斉にダイレクトメールを送付する、といった手段しかありませんでした。今はお客様の情報を重ね合わせることでお客様のニーズをつかみ、それに合わせて情報を提供することができるようになりました」と浅野は説明します。
例えば、普段はそれほど預金残高のないお客様に1000万円単位の振り込みがあった場合、それは退職金ではないかと推測できます。退職金であればハイリスク・ハイリターンの運用は避けたいと考えるでしょうから、安定度の高い金融商品をダイレクトメールやATMの画面で提案することになります。EBMによってお客様は自分とは関係ない情報に煩わされることがなくなり、企業も効率的なアプローチを実現できます。
3つめの動線分析オファリングは、店舗でのお客様の購買行動を把握することによって店舗を改善し、確実な購買を促そうというものです。スーパーマーケットなどでRFIDタグを取り付けたショッピングカートを使って実際のお客様の動きを計測します。
「今は実験段階ですが、どの売り場にどれくらい滞留したのか、最終的に何を買ったのか、といったデータを収集・分析し、効率的に買い物をしてもらえる店舗を設計していきます」と浅野は説明します。
これらのオファリングが示すように、新しいテクノロジーによってCRMでNewIntelligenceが実現されることは、お客様と企業の双方に大きなメリットをもたらします。お客様との関係強化はコスト削減と平行して企業の大命題の1つとなるため、今後の成果が期待されます。
