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New Intelligenceで変わる世界と新たな価値

特集 New Intelligence

タブの始まり

ERPなど多くの企業システムが活用されている今、企業活動のあらゆるデータは企業内に蓄積されています。経理財務面でNew Intelligenceを実現するには、これらのデータ活用が必要不可欠となります。では、現状で企業内に蓄積されたデータは活用されているのか、活用するためにはどのような仕組みが必要になるのか。IBMビジネスコンサルティング サービス(IBCS)でフィナンシャル・マネジメントと新たに組織されたビジネス・アナリティクス&オプティマイゼーションのリーダーである赤阪正治に話を聞ききました。

変化の激しい時代だからこそデータに基づくアクションが求められる

データ活用の前提となる正しいデータが入手できているか

赤阪正治の写真
IBCS 執行役員 パートナー
赤阪正治
世界同時不況によって金融市場を中心に低迷した状態が続いていますが、もっとも注目すべき点はあらゆる商品・市場の変動幅が大きくなっていることであると赤阪は指摘します。「今回の危機で特に注目したいのは、為替や株式市場を中心とした金融市場、原材料などの商品市況の価格変動率であるボラティリティが、金融危機以前と比較して高まっていることです。これは短期的な現象ではなく、今後も高い水準が断続的に続くと見ています」(赤阪)。

振れ幅が大きければ、企業は需要予測が立てにくくなり、結果として生産・在庫管理が困難になってきます。このため企業には、過去の相関関係やトレンドを短いサイクルでモニターし、きめ細かなアクションをいち早くとる「予測(フォーキャスティング)」が今まで以上に求められています。このような状況を踏まえたうえで赤阪は、「ERPのような仕組みを導入することで日本企業の業務のシステム化・効率化は進みましたが、社内のシステムに蓄積されているデータの活用は進んでいないのが実状です」と課題を指摘します。

企業活動によって業務上必要となるデータはシステムに逐次入力され、データは蓄積されているものの、経営者は依然として「必要なデータが入手できない」のが悩みです。その理由は4つあると赤阪は分析します。
「第1に、そもそもどんなデータが蓄積されているのかよく分からない。第2に、蓄積されたデータが特定できたとしても販売管理システムや在庫管理システムなど、システムごとにデータが分散しており、データの収集が困難である。第3に、経営者に届くまでに時間がかかっていて鮮度が落ちているケース。第4に、データの定義がバラバラだったり、使いづらい形に途中で加工や集計がなされてしまうといった報告プロセスそのものに問題があるケースなどもあります」(赤阪)。データを活用する以前に、こうした問題を抱えてしまうケースも多いといいます。

赤阪は「外部の情報はインターネットやメディアなどを通して収集しやすくなってきましたが、肝心な内部の情報を正確に収集できなければ、適切な判断を下すことはできません」と、特に内部情報の収集能力の重要性を強調しています。

【予測(フォーキャスティング)】
予算実績対比だけでなく予測重視の予算管理を行い変化に素早く対応する

変化の少ない時代:「過去を見て打つ手を考える」・集計/分析、変化の激しい時代:「現在と未来を見て打つ手を考える」・仮説/検証 実績把握の迅速さは必須

Intelligence実現のためにクリアすべき3つの前提条件

赤阪は、「実際にデータを活用するためには、さらに2つの前提条件をクリアにする必要がある」と言います。1つは、データに対するリテラシー(データ活用能力)です。「同じデータを見ても、そこから知見を引き出すインサイト(洞察)があるかないかは、データを活用する個人の問題意識やスキルによって違ってきます。データを有効に活用するためには、データに対するリテラシーが必要なのです」(赤阪)。

もう1つは、データに対してアクションがとれるような仕組みが作られているかどうかです。「どこまで売り上げが落ちてきたら撤退するのか、どのようなルールで社員・組織の業績を評価し、メリハリを付けた報償制度を設計・運用するのか。あらかじめ、こうした仕組みを決めておかないと、データを見ても迅速なアクションを起こせません。色々なメーターがあるのにハンドルやブレーキが付いていない車を運転しているようなものです」と赤阪は考えます。

つまり、経営管理の領域でデータを活用してNew Intelligenceを実現するためには、

  1. 正確で意味のあるデータを適切なタイミングで入手できる仕組みがあること
  2. データを見てインサイトを持てるリテラシーが備わっていること
  3. データに対して迅速なアクションが取れる仕組みが備わっていること

この3点がクリアされていることが前提条件となります。

赤阪は「ERPからデータを引き出すためには、データの定義やプロセス設計といったテクノロジー面での仕組みが必要です。しかし、企業は時々刻々と変化しますから、この仕組みは作ったときから陳腐化し始めます。どれだけフレキシブルな仕組みを作ることができるかが重要です」と説きます。

また、データに対するリテラシーを高めるために有効なのが、管理会計のPDCAサイクルを徹底することです。内部の意思決定のための管理会計では、予算と実績だけでなく予測も必要とされます。「予算データ、予測データ、実績データの事後検証を行い、ある程度以上の差異が発生した場合、その原因を分析・報告させる。このような活動を継続的に行うことで、経営管理の精度が上がるだけでなく、会社全体としてデータに対する感度が高まり、リテラシーも向上してきます」(赤阪)。
最後のデータに対するアクションについては、変革のためのプロセス策定やチェンジ・マネジメントなどが重要です。

【データのバリュー・チェーン・ギャップ】

1:正確で意味のあるデータを適切なタイミングで入手できる仕組みがあること。2:データを見てインサイトを持てるリテラシーが備わっていること。3:データに対して迅速なアクションが取れる仕組みが備わっていること。

New Intelligenceにはシステムと文化の両方が必要

「実績を集める仕組みができ、データに対するリテラシーを備えていたとしても、数字の使い方は難しいものです。数字を強烈に前面に押し出して強引な経営を行うと、社員やお客様の反発を受けることもありますし、悪化するデータに対応することなく、儲かっていない商品を放置しておけば企業体力の低下につながります」と赤阪。正しいデータをタイムリーに経営者に提供するのは当然ですが、それを受けてどうアクションを起こすかは経営判断であり、経験値が必要とされます。同じデータであっても経営者によって判断は大きく違ってくるでしょう。

「どういう市場でどんな企業を相手に戦っているかによって、企業がとるべきアクションは違ってくるはずです。アクションの早い企業と競合するグローバル市場において戦っているならば、当然素早い判断とアクションが求められます。ただ、結果としてどのような判断・アクションを取るにせよ、正確なデータを取得し、判断することが長期的に見て重要なポイントです」と赤阪。データがなくても判断することはできるかもしれませんが、再現性という面からもデータに基づく判断が重要と説きます。

財務会計の観点から見ても、企業は株主や規制当局ばかりではなく、世界中の潜在的な投資家や金融機関に対して正しい切り口の情報をタイムリーに発信することが求められます。国際会計基準(IFRS)適用への流れにより、日本企業へのプレッシャーは益々強くなることが想定されます。また、SOXをはじめとした内部統制の議論からも、企業から発信される情報は信頼性の高いものでなくてはなりません。そのためには、どんなデータを集めるかだけでなく、どう発信するかが重要になります。そうした姿勢も企業文化に左右されます。

「データを活用して経営に貢献するためには、システムだけでも文化だけでも十分ではありません。双方のバランスをとりながら進めていく必要があるのです」と赤阪。自ら事業会社として製造・金融・サービスといった多面性を持ち、自社でさまざまな実験的な取り組みを行ってきたIBMは、「過去の経験を活かしながら、コンサルティングから実装まで総合的にサービスを提供していける」(赤阪)という強みを活かし、経理財務領域にとどまらず、幅広い経営管理の分野においてデータ活用の提案に積極的に取り組んでいきます。


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