最近の消費者は、自分自身を含めて随分とわがままになったと感じています。これは、商品やサービス情報を容易に入手できることはもとより、商品やサービスに対する評価情報が迅速に広がっていることのためと考えられます。つまり、顧客満足度や顧客接点の改善に企業が努力していること、インターネットの普及などに起因しているのでしょう。 消費者は、企業が提供する工夫を凝らした商品・サービスに素直に反応し、「これができるのなら、こういうこともして欲しい」と望んでいます。人間は何かを決定したり、判断したりする場合、「過去の経験や第三者による評価などを使って効率的に決定を下す」とする「Cognitive Miser(認知的倹約家)」という考え方があります。あらゆる情報を収集した上で論理的に判断を下すのではないということです。この考え方に従えば、購入や使用時点の消費者の心理行動を的確にとらえ、ストレスをなくす努力をすれば、消費者が自社の商品/サービスを選択してくれるということになります。ここに、お客様の満足度をさらに改善するためのヒントがあると思います。つまり、価値ある顧客体験を提供することが主目的で、商品/サービスはそのための手段と考えるということです。 私は最近、マーケティング領域のコンサルティングを提供する際には、「どのようにしたら最善の顧客体験を企画できるか」、「どのように顧客情報やITを活用すれば、顧客体験をより良いものにするとともに、客観的で科学的に改善のサイクルをまわすことができるか」、「競合他社に打ち勝つことができるプロフィット・モデルを、このような観点を通じてどのように構築するか」という3つの点を心に留めています。チャレンジングですが、それだけにやりがいのあることだと思います。
ここ数年、購入支援のためのWebサイトの企画や、サービス利用促進・利用効果向上施策策定といったプロジェクトを実施しています。利用者にとって価値のあるサイト・コンテンツや機能、サービス利用向上支援策を検討するうちに疑問がわいてきました。提案した内容が的確に実施されれば、確かに利用者にとっては価値があり、売上に貢献するでしょうが、やがて競合事業者も対抗上同様な策を講じるはずです。 どの企業のWebサイトやサービスを利用しても同じように快適なのですから、利用者にとってはさらに好ましい状況が実現しますが、企業にとっては消耗戦でしかありません。対抗策の連続となり、より容易に利用者の事業者間移動が起こることになるからです。これでよいはずはありません。 競争戦略の第一人者であるハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・E・ポーター教授は、「戦略とは同じことを他と異なったやり方で実施することだ」と述べています。様々な利用者支援策、他社とは異なっていると認識できることで、印象付けることができ、結果として記憶に残る一貫した味付けが必要です。効果的なこの味付けが、「ブランディング」であると考えています。ブランド・アイデンティティーで統一された顧客体験の提供により、利用者は他との違いを感じることができるはずです。その繰り返し体験によって、この企業の商品/サービスをなぜか選んでしまうという「感情的ロイヤルティー」が醸成され、真のロイヤリストが生まれます。 現在のマーケティングにおける主要テーマは、マスマーケティング、ターゲッティド・マーケティング、ワン・ツー・ワン・マーケティングを経て、ブランディングを機軸とした顧客体験提供へと変わりつつあると考えています。
マーケティング戦略/施策策定、Webを主体としたデータベースマーケティング、リコメンデーションなど各種予測モデル構築、顧客情報分析とその活用
消費財(含む、耐久消費財)、サービス、BtoC全般
新藤 実 (しんどう みのる) CRMコンサルティング、マーケティング・インテリジェンスのリーダー、アソシエイト・パートナー。 日本IBMアプリケーション・ソフトウエア開発部門より、1997年日本IBMコンサルティング事業部へ異動。PwCコンサルティングとの事業統合を経て現職。 BtoC業態を中心に、顧客データを活用した商品・サービスのマーケティング戦略/施策策定(含む、顧客情報分析、各種予測モデル構築)プロジェクト、および、施策実施システム構築プロジェクトの支援を実施。戦略策定からシステム構築支援までを一貫して担当。
まずはお気軽にご相談ください。