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臭いものにはフタをせず後出しジャンケンもしません

コンサルタントとして思うこと

伊藤 哲朗80年代後半から、会計領域におけるプロセス改善や管理会計の高度化、およびそれらと一体で進めるシステム導入に携わっています。90年代半ばまでは、会計領域のプロジェクトでは「経理不要論」や「グローバルスタンダード」、「ERP」などのキーワードが混ざって議論され、結果としてゴールの分かりづらいものが散見されましたが、ここ数年は「経理のミッション」「プロセス・スキルの汎用化・標準化」「支えつつ加速するための仕組み作り」として、冷静に議論がされるようになったと思います。

さらに経理としては、会計ビッグバンへの対応やJ-SOXへの準備などを行わなければならず、「やりたいところまでやりたい方法でやる」ということが困難になりつつあります。経理や情報システム部門はコストセンターと捉えられるため、体制増強が容易ではありません。経理に対するビジネスニーズが高まれば高まるほど、やりたいところまでからやるべきところまで、やりたい方法から可能な方法で、という流れは必然的といえるでしょう。

プロジェクトでは、まず経理のミッションを必要に応じて再定義し、必要な機能を定義します。そして、運用可能なプロセスをデザインし、それらを支えるシステムを開発します。そのシステムを継続し運用していくとさらなる高みが見えてくる。理想を言うとこのようになりますが、実現するための主役はキカイではなくヒトです。ヒトは常に効率的に議論し、合理的な判断をするわけではありません。これらを前提にすると、ゴールはひとつであっても、その実現方法とアプローチはかなり幅広いものになります。ですから現実には、効率的だったり堂々巡りの場合もある議論を通じて、合理的だったり政治的だったりする判断をしながらゴールを目指すことになります。こういったことを楽しめる能力がコンサルタントには必要ですね。

最近のメモリアルプロジェクト

伊藤 哲朗数年に及ぶプロジェクトのPMを担当した、大手製造会社のERPプロジェクトへは当初サポートとしてアサインされました。このプロジェクトは、ITインフラの刷新と業務プロセスの標準化、経営情報の可視化を主な目的として、ひとつの製品事業部と経理業務および購買業務を対象にしたものでした。

サポートに入ってまず気づいたのは、チームによって検討内容やゴールに対する認識が微妙に異なっていることでした。違いはチーム間の役割分担やプロジェクトの想定スコープ、スケジュールなどさまざまでしたが、これらのギャップはプロジェクト初期段階で確実に認識を合わせ、その後プロジェクト完了まで継続して管理していかなければなりません。当時すでにお客様を含めて50名以上がプロジェクトに関与していましたが、その中には「問題に気づいていない人」、「気づいているのに進めてしまおうとしている人」、「気づいているが反対している人」などさまざまでした。問題に気づいていても及ぼされる影響を考えると言い出せなかったり、流れがあるとそのままにしてしまいたいこともあると思います。しかしプロジェクトの規模が大きくなればなるほど、問題が顕在化した時の影響は大きいものになります。そこでまずは「臭いもののフタを取る」ことからはじめて、「このまま進めると…」というレポートを「こうすれば…」という提案と共にお客様メンバーと共同で作成しました。サポートとして入ったからできたともいえる思い切った提案でしたが、数カ月の検討期間を経てその提案が承認され、最終的にはプロジェクト計画が修正されました。

状況やタイミングによっては、違うオプションもあったかもしれません。ゴールへの道はひとつとは限りません。反対もあるでしょう。しかし、失敗しそうになってから、あの時だめだと思っていたなどという「後出しジャンケン」よりは、最初にぶつかったほうがよいことが多いですよね。

専門分野

フィナンシャル・マネジメントを中心としたビジネスコンサルティング、システムコンサルティングおよびプロジェクトマネジメント

担当している業界・業種

製造業。現在のお客様は素材・窯業

経歴

伊藤 哲朗(いとう てつろう)
アソシエイト・パートナー

監査法人系システムコンサルティング会社を経て、1997年プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社に入社。C&L、IBMとの統合を経て、IBM ビジネスコンサルティング サービス株式会社 EAフィナンシャル・マネジメント所属。会計分野を中心に、BPRおよびシステム導入を含むプロジェクトマネジメントを数多く経験。現在も同様の大規模プロジェクトにてPMを担当。関与期間は4年を超えている。


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