世界に一つの企業であることの価値
IBMでは、事業や地域を横断して経営資源を一元化し、真に統合されたグローバル企業を「Globally Integrated Enterprise (GIE)」と定義しました。GIEとは、世界中に展開する活動拠点を一つのインスタンス(Global One)で、統合・最適化することで、あたかも一つの会社と見なし、明確なガバナンスによる迅速な意思決定、事業展開を可能とします。
GIEとは何か?そのメリットとあるべき姿への道筋、そしてそのためにIBMが果たす役割とSAP社製品を中核としたソリューションについて、ご紹介いたします。
真に統合された21世紀型グローバル企業とは
IT技術の革新に伴うコミュニケーションの爆発的増大により、世界のフラット化・スモール化が急速に進展しています。ビジネス環境においても、マーケット・ニーズは日々刻々変化し、市場競争はますます熾烈なものになっています。こうした市場の変化に対して、従来型の世界展開した各拠点に権限を委譲する多国籍化モデルでは、ガバナンスや業務プロセスに無駄や重複が生じ、意思決定や事業遂行がマーケット・スピードに対応しきれないという問題が生じています。
そこで登場したのが世界中に展開する企業拠点を、あたかも一つの会社と見なし、統合・最適化する「GIE(Globally Integrated Enterprise)」という考え方です。GIEは、分散化された経営資源を常に最適化した状態に保ち、地球規模での需要予測、供給管理、最適生産を可能とする21世紀型グローバル企業のあるべき姿といえます。
「GIE」という発想自体は、決して新しい考え方ではありません。これまでも多くの企業が実現したいと思いながら、到達することが困難な目標でした。それが今、テクノロジーの進化により可能となったのです。ITインフラストラクチャーの飛躍的発展と革新的なソフトウェアとの組み合わせが、地域や事業部門を横断して、同じ仕組みで全体をサポートする「世界で一つのインスタンス(Global One)」を現実のものとしました。
「GIE」となることでもたらされるビジネス・メリット
よりよいコントロール
- 生産性向上の加速
- オペレーション・コストの削減
- 売上機会損失の軽減
よりよい意思決定
- 情報の可用性と品質向上の確保
- よりよい資本管理
迅速な事業遂行
- 事業・ブランドを横断し、整合性のとれた事業オペレーションの確立
- より付加価値の高い活動へのシフト
「見える化」のメリットを最大化する予測型経営
めまぐるしく変化するマーケット・ニーズへの迅速な対応のためには、自社の現状や市場動向を正確に把握する経営の「見える化」が重要であり、すでに多くの企業で実践されています。そもそもPLやBSといった財務諸表も一種の「見える化」であり、「ダッシュボード」などの導入により、その「見え方」にまで踏み込んでいる企業もあります。
しかし、現状の「見える化」が明日のビジネス・プロセスにダイレクトに反映されている企業はまだ少ないのではないでしょうか。特に多国籍化されたグローバル企業においては、業務プロセスの重複やローカルごとに微妙に異なるシステム構成、あるいはビジネス慣習の違いなど、さまざまな要因が迅速なレスポンスの妨げとなっています。
こうした課題を克服し、「GIE」を実現するソリューションが 「IBM Global One」です。現状の正確かつ迅速な情報収集・分析によって得られた明日の需要予測に基づき、世界で統一された戦略を確立し、最適化されたビジネス・プロセスをライバルに先駆けて実行するという「見える化」のメリットを最大限に生かす予測型経営を可能とします。
これまでの「見える化」への投資は、それ自体収益に直結することは少なかったかもしれません。それが真に統合されたGIEとなることで、「見える化」のメリットが直接的に企業競争力を高め、ビジネス・メリットに反映され、ROIの改善につながります。
企業文化を変革するチェンジ・マネジメント
しかしGIEの実現は、容易なものではありません。より高度な「見える化」や「システム統合」といったテクノロジーだけでは解決できないさまざまな課題もあります。各拠点や事業体ごとに業務プロセスやビジネス・ルール、価値観に違いがあり、単純に一つの仕組みを押し付けることは困難です。これらの多様性を理解した上で、その力を集約し最適化するためには、これまで培った企業文化を変革する「チェンジ・マネジメント」の実践が不可欠です。
IBMのチェンジ・マネジメント・プログラムは、「現状分析」「ビジネスケース策定」から「システム化計画」「実装」「定着化」、さらに「運用」まで一連のプロセス全体をサポートし、GIEを目指す企業の皆様をご支援します。(図1)
図1:IBMのチェンジ・マネジメント・アプローチ

このチェンジ・マネジメント・プログラムの実践を通して、世界中の拠点における「人」「プロセス」「テクノロジー」を一つのルールで標準化し、一つのプラットフォームに統合する「Global One Instance」(図2)が実現します。企業はGIEとなることで、世界中のあらゆるビジネス・チャンスに対し、強固なガバナンスと明確な戦略に基づいた「最適な場所で、最適な時期に、最適な価格」で展開するグローバル・ビジネスが可能になります。
図2:Global One Instanceの確立が、GIEへの道を開く

IBM自身を実験室として得た経験・ノウハウを提供
現在IBMでは自らがGIEへと変貌を遂げるため、全世界規模でSAP社の製品を中核としたパッケージ活用型の業務改革に取り組んでいます。地域や事業を横断するプロセスの標準化・簡素化に挑戦し、IBM自身のオペレーション・コスト削減はもちろん、「オポチュニティ(営業機会)から発注まで」「発注から入金まで」「財務会計・管理会計」といった窓口の一元化や契約プロセスの統一など、お客様、ビジネス・パートナー様へのサービス・レベル向上に生かしています。
しかし、これまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。IBMは15年の歳月をかけて、失敗の中から一つ一つ課題を解決してきました。そして、この経験こそが、お客様にさらなる価値を提供するIBMの大きなアドバンテージとなっています。
IBM自身が実験室となることで獲得した資産・ノウハウをお客様の業務改革に生かすことで、はるかに短時間で効率的にGIEへの道が切り開かれると確信しています。
またGIEは現在多国籍企業と呼ばれる巨大企業のみならず、これから本格的にグローバル・ビジネスを展開しようとしている企業にも大きなメリットをもたらします。全社的に標準化された仕組み「Global One Instance」の確立により、新たに拠点や事業を立ち上げる際にも、より迅速に低コストで統合展開が可能となります。
IBMではお客様に「統合の価値」と「イノベーション」をお届けするため、今回の業務改革プロジェクトをはじめ、IBM自身を未来の実験室として、今後もさまざまなプロジェクトにチャレンジし、その実証結果をお客様に提供してまいります。
