




ここ数年、ロジカルシンキング・ブームといってもいい状況があり、クライアントの中にも、課題を構造的に分析したり、それを論理的な構成で資料にまとめ、説明できる人が増えました。これ自体は良いことですが、新たな問題もでてきています。自社や担当事業について客観的に分析した後、思考を転換し、その結果から自社・自分にとっての意味合いを見出し、統合し、主体的にアクションを起こす必要があります。しかし、客観的分析のままでとどまり、自社のことを他人事のように捉える傾向を感じます。
この状況からの私が思うことは2つあります。第一に、我々コンサルタントは、単純な分析思考を超える何かをつかむ必要があること。「物事をわかりやすく整理してくれた」、「本質的な課題を特定してくれた」、ということだけで満足が得られた時代は、とうの昔に終わりました。思考の柔軟さ、引き出しの多さを通じて、インパクトある面白い解決策を提示することが、より強く求められています。Beyond
Analysis、分析の先にある統合や創造を追及していきたいと考えています。
第二に、物事を主体的にとらえて面白さを追求し続けたいと考えています。客観思考・分析思考だけで冷めた気持ちになっていては、何も変えることができないのは、コンサルタントも同じです。先が見えないことへの挑戦、自分が知らないことに触れること、そして実際に変化を起こすことは、面白いものです。
IBMとの事業統合の後、我々独自の価値とは何かを常に考えてきました。今、それを、クライアントの新規事業戦略コンサルティングの領域で、実現しています。
面白そうなシーズを持っていても、それをどうやって事業に仕立てて出したら良いか悩んでいるクライアントは多くいます。だからこそコンサルティングファームに期待するのです。「ある市場で使えそうだが、自社にはその市場に対する知見がないのでビジネスプランに現実感がない」、「画期的な新製品を出すためには、当社のもつ技術だけでなく、どうしてもあと1つ、この要素技術が不可欠」、「製品・サービスの企画としてはいいものができたが、それをどうやって狙っている市場にリーチさせるかが問題」…このような悩みです。
我々独自の価値とは、戦略コンサルティングの過程で、IBMのもつ組織能力を有効活用し、リアリティある戦略を構築することです。IBMは情報技術に限らない幅広い研究開発活動を実施しており、優れた研究員と開発技術者がいます。また営業部隊には、担当業界に関する深い理解と、業界内主要企業との強いネットワークをもつ人材がいます。こうしたメンバーと接することで、スキルの領域は違いますが、「顧客の成功に貢献したい、そして面白いことがやりたい」という価値観を共有できる多くの仲間がいることに気が付きました。
新規事業に必要な要素技術のミッシングピースをIBMの保有技術で埋めるか、他企業との技術提携の調整をする。適切なチャネルを持たず市場にリーチできない状況を、営業部隊との連動で打破する。IBMグループならではの価値を追求することで、本当の成果をクライアントに提供する。この領域のチャレンジはしばらく続きそうだと感じています。
事業戦略、技術シーズの事業化、プレM&A戦略、シナリオ・プランニング、意思決定分析
産業財、消費財、医薬、電力
池田 和明 (いけだ かずあき)
戦略コンサルティングサービス 事業戦略コンサルティングサービスのリーダー。
戦略策定および企業価値評価の分野で、10年以上のコンサルティング経験を持つ。大手製造業、医薬、電力企業などに対し、プロジェクトリーダーとして同分野のコンサルティングを多数実施している。近年は新規事業戦略とプレM&A戦略に注力している。
また、新規事業、M&A、そしてシナリオ・プランニングに関する経営者向けの講演を多数実施している。著書としては、『実践シナリオ・プランニング』(共著、東洋経済新報社)、『キャッシュフロー経営入門』(共著、日経文庫)など。公認会計士資格を保有。2001年より、早稲田大学大学院理工学研究科で非常勤講師として『企業戦略論』を担当。
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