松山 雅樹をご紹介いたします。
コンサルタントとして思うこと
2007年11月に公表されたIPCC 第4次評価報告書によれば、人為的なCO2排出量は72億炭素トン/年と推計され、地球の吸収力31億炭素トン/.年の2倍を超えました。エネルギー供給、産業、輸送に起因する排出を合算すると58.4%に上ります。
2008年9月のリーマン・ブラザース破綻に端を発する金融危機は、世界経済を大混乱に陥れました。低所得者層向けの住宅ローンは相応の回収リスクを伴う債権ですが、これを小口化して債券市場に流し込む金融商品が発達し、市場全体に見えないリスクが撒き散らされました。結果、住宅バブルの崩壊を契機に不良債権の山となり、金融危機につながりました。
人間社会は、個人、企業、あるいは国家が、それぞれの立場で豊かさや利便性を追求してきました。人・物・金・情報が縦横無尽に地球上を行き交う状況となった現在、部分最適の積み重ねはどこかで社会的損失を生じさせているのです。今こそ地球規模で持続可能な社会を実現する21世紀型の社会システムが必要ではないでしょうか。
21世紀型社会システムに求められる要件を2つ挙げてみましょう。ひとつは最適化の範囲を地球全体とすること。もうひとつは目的関数を従来の経済効率に加えて「社会的損失の極小化」とすることです。社会的損失とは、温室効果ガスの排出、食品の廃棄、エネルギーの損失、安全性の低下、信用の喪失など、人間社会全体にダメージを与える種々の無駄や価値の崩壊を指します。
私は、はじめからもっとスマートに事を進めれば社会的損失を減らすことができるのではないかと考えます。多くの情報を検知し、ネットワークを通じて情報を収集し、最適化計算を駆使することで、経済効率と社会効率を両立できる解が得られる領域が多くあるでしょう。たとえばイタリアのある電力会社は遠隔検針と制御が可能な電力メーター(Smart Meter)を導入し、障害管理や配電ネットワークの見える化、電力供給量の最適化を行っています。その結果、この企業は競争力を高めつつ、社会的損失の抑制を実現しているのです。
21世紀型社会システムへの移行が進むと、企業経営も変わらざるを得ません。消費者は商品のQCDに加えてカーボン・フットプリントを選択基準に加えるでしょう。企業は戦略を練る段階から競争の軸として環境負荷を考慮することになります。
さて、皆さんの会社は、そのような社会において選択される商品・サービスを提供しているでしょうか?また、そのような社会に適応できる戦略オプションが検討されているでしょうか?戦略の後付けでCSR対応しているような企業は時代遅れになりつつあります。
最近のメモリアルプロジェクト
2006年某月、ある国内企業がIBMとのアウトソーシング契約を延長しました。急激な成長と、それを達成するためのグローバル化を実現するためには、自社のコア機能を徹底的に絞り込んで内部リソースを集中させ、ノンコア機能は徹底的にアウトソーシングする必要があるという結論に達しました。
世の中ではアウトソーシング・サービスの良し悪しが議論になっています。私に言わせれば、アウトソーシングのQCDがいかに経営に貢献するかと考えるのは本末顛倒であり、企業として何がしたいからアウトソーサーに何を任せたいのか、という整理が先にあるべきです。
本プロジェクトでは、その考え方がCIOと一致し、新しいアウトソーシングのパラダイムを定義できたと思っています。結果として、アウトソーシング領域でもストレッチな改革目標を背負うことになりましたが、達成すれば経営への貢献はおのずと明確になるため、現場の士気も高揚しています。
専門とする経営テーマ
事業戦略、IT戦略、ソーシング戦略、グリーン戦略、法人営業改革
得意な業界・業種
製造、電力・ガス、メディア
経歴
松山 雅樹(まつやま まさき)
パートナー ビジネス・トランスフォーメーション リーダー
大手鉄鋼メーカー研究所、IT企画部門を経て、1998年プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社に入社。IBMとの事業統合を経て現職。製造業の企業を中心にさまざまな業種の企業に対して事業戦略、IT戦略、ソーシング戦略、などの分野のプロジェクトを数多く実施。最近は、攻めの環境戦略を立案するプロジェクトを重点的に提案している。著書として、『戦略キャンプ -2泊3日で最強の戦略と実行チームをつくる』(共著、ダイヤモンド社)。
