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新興国にあるチャンスを一緒につかみたい

コンサルタントとして思うこと

大久保 伸夫の写真1 リーマン・ショック後、世界の産業地図がドラスティックに変わりました。経済成長のエンジンは新興国が担っていることは周知の事実です。新興国ビジネスの重点地域は、中国やインドにとどまらず、「ポストBRICs」を求め、多くの日本企業が新たな成長フロンティアの開拓に乗り出しています。成熟国の豊かな市場が徐々に減衰し、新興国の未開市場が急速に勃興する局面で、日本企業のグローバル戦略は大きな転換点に差し掛かっています。

たとえば、先進国で培った成功体験が新興国では通用しない場合があります。その一つが自前主義からの脱却です。新興国ではすべて自前で事業活動を行うのは困難です。現地市場に精通した有力なパートナーを早期に探索し、アライアンス関係を構築することが成功の鍵を握ります。極言すれば、「何をするか」よりも「誰とするか」が重要です。

最近、転換点に差し掛かっているのは日本企業だけではなく、我々戦略コンサルタントも同じではないか、という問題意識を強く持っています。従来のように、あるソリューション領域に強みを持つ、あるいは得意な業界・業種に深い知見を持つ、ということに加えて、国際経済や新興国の公共政策など、よりグローバルな分析視点を深く有することがコンサルタントに求められていると感じます。たとえば、BRICs各国のマクロ政策を深く理解した上で、日本企業の新興国戦略を立案・実行のご支援をしていくといったことがこれにあたると思います。

最近のメモリアルプロジェクト

大久保 伸夫の写真2 インドを新興国のモデルケースと位置づけ、インド市場におけるGo-to-Market戦略や事業拡大シナリオを策定し、さらには経営管理の仕組みやITインフラの構想をゼロベースで策定するというプロジェクトがありました。「ゼロベース」とは、業績管理指標(KPI)を根っこから変えるという意味合いです。よくあるパターンは、日米欧など既に進出している先進国の拠点で設定したKPIを新興国にそのまま流用する、というケースですが、これでは変化の激しい新興国市場で成功しません。新興国に特有の様々なリスクがあり、それに対応したKPIの設定が必要となるからです。たとえば、投資回収の時間軸。先進国では「3年短黒、5年累損解消」というのが一般的ですが、新興国では10年、15年の期間は当たり前ですので、より中長期で投資回収を行っていく視座が必要となります。

加えて、もう一つ、このプロジェクトの狙いがありました。それはインドで策定した経営管理の仕組みやITインフラの構想をテンプレートにして、今後の新興国ビジネスのグローバル標準となる業務フローを作りこむ、というものです。既に拠点として大規模の事業を展開する北米や日本、もしくは中国の現地法人のやり方をテンプレートにするのではなく、インド発新興国標準、もしくはインド発世界標準を作りこむ、という狙いに共感しました。日本企業の新興国戦略が、構想段階から実行フェーズに移ってきた事ことを体感するシンボリックなプロジェクトだったと感じています。

専門とする経営テーマ

グローバル成長戦略、新興国の市場分析と事業戦略、M&A戦略、事業開発

得意な業界・業種

エレクトロニクス、情報通信、機械、ベンチャー

経歴

大久保 伸夫(おおくぼ のぶお)
パートナー

事業戦略、M&A戦略、組織変革、グローバル成長戦略、新興国戦略などを主な専門領域として10年以上のコンサルティング経験を持つ。大手機械メーカー(欧州駐在)、大手シンクタンクのリサーチ・コンサルティング部門を経て日本アイ・ビー・エム入社。グローバル戦略について経営者向け講演を多数実施。

主な論文は「変貌する欧州の経済構造と求められる日本企業の対応(NRI知的資産創造)」、「クロスボーダーPMI非連続な成長(イノベーション)を実現するために(同)」、「ロシアビジネスにおいて「脱ヘルシンキ」は必要か~ゲーム理論的考察による通関戦略への示唆(同)」、「黒船来航を迎え撃つ日系複写機メーカー~来るべき業界変革への対応力を高める」など。

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