宮本 龍也をご紹介いたします。
コンサルタントとして思うこと
2009年よりグリーン・サプライチェーン担当として環境に関わっていますが、実はもともと環境にとりわけ関心を寄せていたわけではなく、今までは関連記事なども読み飛ばしていたのが正直なところです。ただ、ロジスティクスの専門家としてIBMの環境ビジネスの立ち上げに参画し、実際にさまざまなデータや取り組みに触れるようになってから、実はSCMの領域でやるべきこと、できることが数多くあることに気づかされました。
従来の温暖化ガス排出の取り組みは、会計でいえば単独決算のような扱い、つまり国や単一企業という単位で閉じていることが多く見られます。そのため、どうしても単独での排出量が多いオフィスや工場、データセンターの省エネといった領域に目が向きがちです。もちろんそれらも重要ですが、SCMの視点で企業の事業領域を見ると、一企業単独で閉じた存在ではなく、サプライヤー、製造委託先、物流事業者、流通チャネルなど社外のパートナーが連なるまさにサプライ「チェーン」としてその対象領域が広がります。CO2排出を削減するには、パートナーを含めたサプライチェーン全体でCO2排出量を可視化し、削減の方策を探ることが、効果的なアプローチであるといえます。製品のライフサイクルでCO2排出量を表示するカーボン・フットプリントの取り組みは、ひとつの契機になると考えています。
ただ、サプライチェーンのグリーン化といっても、特殊なことを求められているわけではないと思います。グリーン化とは、消費エネルギーの徹底した削減であり、それはオペレーション・コストの削減と同義です。グリーン対応を契機に、まだまだ企業内で閉じているサプライチェーンを企業間での取り組みに変え、例えば企業を超えた共同物流や、納入時間指定や納入頻度などのビジネスルールの見直しなど、徹底的な効率化を図る動きが広がることを期待しています。またその取り組みを効果的にサポートできる体制を整備していきたいと考えています。
最近のメモリアルプロジェクト
印象に残っているプロジェクトは、グローバル展開されている製造業のグローバル・ロジスティクス改革です。このお客様にとって最大市場である欧州では、各国の販社が抱える在庫が問題となっていました。
そこで、欧州域内における需給計画・発注の機能・権限と在庫所有を地域統括会社に一元化する計画系の変革に加え、倉庫の統廃合と顧客直送の実現、物流オペレーションの3PLへの包括委託という実行系の変革を、並行進行していたERP導入と連携と取って実現するという大規模なプロジェクトでした。私はPMとしてプロジェクト構想立案から、新欧州中央倉庫が稼働開始するまで2年間という長期間にわたり欧州でプロジェクトに携わる機会に恵まれました。
IBMとしては日本からのメンバーだけではなく、欧州6カ国から集まったSCMコンサルタントやロジスティクス専門家に加え、日独EPR導入チームを合わせたグローバル・チームを編成して、お客様の支援にあたりました。このグローバル・チームでの活動経験も私にとって貴重な体験でしたが、それ以上に自身で企画・立案した机上の変革施策が現地で実際の業務として運用され、新たに建設した中央倉庫が稼働を始め、そして結果として大幅な在庫削減を実現できたことは、充実した達成感とともに何物にも変えがたい経験でした。
このプロジェクトではOrder Fulfillmentの業務プロセス設計、倉庫配置、3PLとの折衝や契約締結、販社や統括会社の内部折衝など、変革を実現するためのさまざまな活動を、ときにはお客様に代わって矢面に立ちながら実行してきました。変革は実行し、たとえ小さくとも実現できてこそ価値を生むのだと思います。変革のパートナーとして、構想立案で終わりではなく、そこをスタート地点としてその実現までをお客様とご一緒できるようなコンサルタントでありたいと思います。
専門分野
グリーンSCM、ロジスティクス、プロキュアメント、サプライチェーン戦略などのSCM業務変革
担当している業界・業種
製造業(電機電子、自動車、部品業界)、小売・流通業、物流業、消費財、通信・メディア業
経歴
宮本 龍也(みやもと たつや)
マネージング・コンサルタント
日系の総合電機メーカーにて資材調達やSCM/PSI管理に携わった後、2001年日本IBMにSCMコンサルタントとして入社。多数のグローバル・ロジスティクスなどのSCM改革プロジェクトに従事。ロジスティクス・リーダーを経て、現在サプライチェーンにおける規制化学物質やCO2削減などの環境対応を進めるグリーン・サプライチェーン・ソリューションのリーダーを務める。
