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コンサルタントとして思うこと
私たちコンサルタントは、お客様から費用をいただいているのですから、いかに効果を出せるかということを重要視しています。しかも、定量的な効果、お客様の儲けにつながる効果になっているように支援しなければなりません。生産領域においては、長期にわたるカイゼンの積み重ねによって効果をもたらすということは重要です。また、お客様の考え方が変わる、新しい視点が入るといった何かしらのプラスアルファが今までにない大きな効果を生み出すことがあります。
私は、「生産」という昔から多くのカイゼンのノウハウが語られてきている領域の中で、そのプラスアルファを生み出す部分でお客様に貢献していきたいと考えています。考え方や業務プロセスに変化を伴うような業務改革を実施し、確実に効果を実現するには、「○○だから○○です」という論理的なつながりを保証し、お客様に納得いただくことが不可欠です。変化を伴う変革のプランは実施すること自体が困難だからです。
その際にベースとなるのは、お客様との徹底的なディスカッションです。なぜ問題となる現象が起こってしまうのか。どの点が合意できて、どこは合意できないのか。その理由や背景は何か。お客様とのディスカッション、またその前後のコンサルタント間でのディスカッションが変革への仮説の検証を支持し、新たな価値と納得感を生むのです。一方、徹底的なディスカッションとはいいながらも、スピード感が大切で、両者のメリハリがポイントとなります。業務改革を進め、効果を着実に上げるには、スピードも重要な要素だからです。
私の担当する生産領域の基本は王道を行くことです。やるべきことがきちんとできるか。日本の企業は、世界の中で業務品質面からも「ものづくり」をリードしてきながら、その継続と伝承の危機にあり、近年は日本の得意としてきた品質においても世間を騒がせる大きな問題が発生しているのは非常に残念なことに思います。生産領域では、製造するものによって、製品特性、製造特性、品質特性、管理特性が異なるため、それぞれにやるべきことの重み付けが違ってきます。お客様個別の特性と現状を踏まえて、やるべきことを論理的に整理していくと、意外とお客様の視点から抜け落ちていることがある場合が少なくありません。日本の製造業のお客様には、他企業との交流や情報の入手を図るとともに、必要に応じて外部コンサルタントを活用し、日本の「ものづくり」の強みをさらに高めてほしい。個人的には、書籍などの外部発表を通じた伝達やコンサルティング支援を通じて、日本の「ものづくり」の発展に貢献していきたいと思っています。
最近のメモリアルプロジェクト
最近のプロジェクトで印象に残っているものといえば、ある電子製品の工場の生産性・品質向上の業務改革プロジェクトです。当初、現場のご担当者は外部の人間が入ってきて一緒にカイゼンできるということに不信感を感じていたため、コンサルティングを進めるのに苦労したのですが、お客様は新しい知的発見を受け入れ、活用する行動力に長けていたのでしょう。現場のデータをベースにしたディスカッションを通じて、いったん課題の本質とやるべきことを納得されてからの動きがとても早かったのです。今まで厳しい目標の達成のために何をすべきかを悩まれていたところに、急にやるべきことが山のように出てくるようになり、お客様自らが次々に実行に移していかれました。一般的にコンサルティングを行ってから具体的な成果が見られるようになるまでにはある程度の期間が必要なことが多いのですが、このお客様では4ヶ月程度という短期間で、製造工程における歩留まり率に明らかに数字で見える効果があらわれてきました。ディスカッションを通じて納得されたことのインパクトの大きさが、行動力の速さ、そして、成果実現のスピードに結びついたのだと思います。お客様自身の想定を超えた結果の数字が出たことで、お互いに成果への喜びを分かち合うことができました。
生産領域では、お客様ご自身が自分たちは精一杯やってきているのだという自負をお持ちですし、実際に智恵と工夫によるカイゼンが積み重ねられていることがひしひしと伝わってきます。そうした高い能力を持つ現場力をさらに飛躍させる業務改革を目指すだけに、現場を含めた中長期の業務改革への取り組みをしっかりと根付かせていくためにも、短期的にできる変革の項目を明らかにして、早い時期に成果を通じた実証を踏まえることの大切さを感じています。
専門分野
生産戦略、業務改革支援 (サプライチェーン、設計、生産準備、生産計画、生産管理、購買、工程管理、製造、生販連携)、品質改善・品質企画、原価改善・原価企画
担当している業界・業種
製造業全般
経歴
中村 実 (なかむら みのる)
インダストリアル・コンサルティングにて、生産およびその周辺領域を担当。シニアマネージングコンサルタント。
日本IBMに工場エンジニアとして入社、メインフレームの製品技術エンジニア、製造業のお客様向け情報システム構築のSE/PMを経て、IBMのビジネスコンサルティング部門に移動、現職に至る。
IBCSでは、生産領域を担当し、生産戦略、生産業務改革、QCDの改善・改革に取り組んでいる。
著書に「ものコトづくり -製造業のイノベーション-」(共著)など。
