IBMが主催するグリッド・コンピューティングとオートノミック・コンピューティングのさらなる普及に向けた、大学生・大学院生対象の論文コンテスト「グリッド/ACスカラーズ・チャレンジ2005」で北米と、日本で開催された。今回、残念ながら日本では優秀賞は出なかったが、2名の奨励賞受賞者が選出された。
「2005 IBM North America Grid Scholars Challenge」の日本バージョンである。
12月2日、「グリッド/ACスカラーズ・チャレンジ2005」の表彰式が、IBMアカデミック・イニシアティブによる学生向けイベントの第二弾「IBM Grid/AC TechEx for Student」のイベントの一環として行われ、約80名の学生が大和研究所に集結。グリッド、オートノミック・コンピューティングに関する講演や研究所内見学ツアーや、大和研究所の若手技術者によるポスターセッションなどが催された。熱気あふれたイベントの様子は以下をご覧ください。
講演
「企業が必要とする人材の育成」
執行役員 ソフトウェア開発研究所 所長 岩野 和生
海外での留学経験、米国IBMでのオートノミック・コンピューティング立ち上げへの参画など、自らの経験を交えながら、「今、企業が求める人材について」紹介。企業、そしてこれからの社会が求める人材とは、高い倫理観と高い志を持ち、自らの世界観を持つ人物。さらに、それを達成しようとする強い意志が必要。
- 受け止める力を持て。日頃から"物事の本質は何か?"と考えて、その本質を捉え、先に進む力。 - そういう力がイノベーションを起こす。

「Autonomic Computing 最新動向-夢は、ヒトが呼吸をするようにシステムを動作させること-」
ソフトウェア開発研究所 オートノミック・コンピューティング事業推進 部長 洪 政国
大規模かつ複雑になるIT環境に、ITインフラや管理コストは増大の一途。さらに急速に変化するテクノロジー。もはや人間の手では対応しきれない。そういった背景からオートノミック・コンピューティングの概念は生まれた。目指すは、生物の”自律神経”。自律神経系の作用をシステムで実現することだ。AC事業推進は今年7月に設立されたオートノミック・コンピューティング テクノロジーセンター(ACTC)と共に、オートノミック・コンピューティングを実現するためのテクノロジー、製品、ソリューションを開発しつつ、標準化に取り組み、オートノミック・コンピューティングの普及に努めている。目標は、”ポリシーを元に全て自律で行う”レベルまでオートノミック・コンピューティングを成長させること。つまり、ヒトが呼吸をするように作用するITシステムの実現である。
「Grid Computing 最新情報-プラグを挿して電気を使うかの如く-」
テクニカルサポート 技術理事 関 孝則
「Grid」とは、電力伝送網「Power Grid」に由来する。発電場所や伝送経路を気にすることなく電気を使っているように、計算資源や情報資源の地理的・組織的障害を意識せずにコンピュータを使用できること。これがグリッド・コンピューティングの目指す世界である。2002年2月22日、IBMはGlobusプロジェクト(現在はGlobusアライアンス)と共同で、Webサービスをベースにした Grid Computing のモデルを標準化団体に提案。異機種混合でかつ分散するシステム環境の中、ネットワークを介する全てのユーザーに、一定のレベルでサービスを提供するために...IBMのグリッド・コンピューティングは今、世界中で様々なイノベーションを引き起こしている。

ティータイム - ポスター・セッション / 大和研究所 見学ツアー
若手大和研究所社員11名によるポスター・セッションを開催。セッションが始まると、待ってましたと言わんばかりに学生から説明員に質問が集中。それぞれのブースで活発な議論が始まった。
ポスター・セッション内容は、以下の通り。
- 最新オートノミック・ソリューション
- Java の実行時最適化技術
- BlueGene におけるアプリケーションチューニング
- IBM eServer Blue Gene Solution の紹介
- Printing Systems 電子帳票ソリューションのご紹介
- 統合型ユーザーシナリオを使用したデザイン手法
- IBM版 Java2 SE 開発・テストチーム
- デジタルメディア通信インフラのためのソフトウェアシステム (IBM P2G)
- オートノミック・コンピューティングとACTCの取り組み
- 情報統合ミドルウェアと大和ソフトウェア開発研究所の取り組み
ポスター・セッションと同時進行で行われた見学ツアー。音響試験室や今、話題のRFIDソリューションセンターなどをご紹介した。多くの質問が飛び交い、ポスター・セッション会場に負けない活気を見せた。

WPM(電子帳票システム)のViewerの開発、保守のブース
発表!グリッド/ACスカラーズ・チャレンジ2005
惜しくも優秀賞は逃したものの、江尻真一郎さんほか計2名に奨励賞が授与された。
- 江尻真一郎さん (東京電機大学) : 「Globus Toolkit(*1)の新しい使い方: ファッションコーディネートアプリケーション」
「こんな服が欲しい!」頭の中でばっちりイメージされたものを、店から店へ渡り歩き、あるいはインターネット上をさまよう・・・誰しも一度はそんな経験をしていないだろうか。
江尻さん提案の”ファッションコーディネートアプリケーション”を利用すれば、そのような事態が起きることはもうない。自分のイメージするコーディネート・ファッションを絵に書いて、あるいはファッション誌の写真をそのまま入力し、グリッドで結んだ企業間コンピュータの商品データから検索することができる。また、イメージする色・形・素材などから商品を検索し、それらをアプリケーション上でコーディネート、すなわちバーチャルな試着をすることもできる。
*1 Globus Toolkit : グリッド・コンピューティングの実現に必要な機能(認証やリソース管理、サービスのデータ管理など)を実装しているオープンソースのミドルウェア。 Globusアライアンスが開発を進めている。

奨励賞を受賞した江尻さん
