目次
掲載日 2011年11月18日
2010年に国が公募した「次世代エネルギー・社会システム実証」を行う地域の一つとして選定された北九州市では、現在「北九州スマートコミュニティ創造事業」が推進されています。その実施主体である北九州スマートコミュニティ創造協議会のもと、全国53の企業や団体が連携し、2010年から2014年までの5年計画で、新エネルギーの導入強化、建築物・構造物の省エネシステム導入、地域エネルギーマネジメントシステムによるエネルギーの効率的利用、交通システム等社会システムの整備に代表される38の実証事業が行われています。
北九州スマートコミュニティ創造協議会は、そうした多様なプロジェクトに参画するメンバー間の情報共有や共同作業の支援、進捗状況ならびに活動履歴の一元管理などを目的として、クラウド型(SaaS*型)コラボレーション・サービスである「LotusLive」を採用し、2011年10月より本格展開を開始しました。
お客様ニーズ

北九州市
環境局 環境未来
都市推進室 スマート
コミュニティ 担当課長
柴田 泰平氏
多様な事業が複雑に関連し合う環境下でのコミュニケーションやプロジェクト管理が課題に
約100万人の人口を擁する政令指定都市の北九州市は、1901年に操業を開始した官営八幡製鉄所(後の新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所)を中心に「鉄の町」と呼ばれ、四大工業地帯の一つとして日本の産業を支えてきました。また、産業界と行政、市民が一体となって大気汚染などの公害問題に取り組み、克服してきたことでも同市の名は広く知られています。
現在では、低炭素社会への転換を進め国際社会を先導していく、政府の「環境モデル都市」に認定されるなど、環境都市を目指す多様な活動を展開しています。2010年4月には、次世代の低炭素社会を実現し、環境関連技術や国際競争力を向上させ、その成果をアジアへ広く発信していくことを目指す経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証」の舞台に選ばれ、「北九州スマートコミュニティ創造事業」を開始しました。
同事業を推進する北九州スマートコミュニティ創造協議会の事務局として、プロジェクト全体の進捗管理にあたっている北九州市 環境局 環境未来都市推進室においてスマートコミュニティ担当課長を務める柴田 泰平氏は、事業について次のように説明します。
北九州スマート
コミュニティ創造
事業 俯瞰図
(1.29MB)
「北九州スマートコミュニティ創造事業は、太陽光発電のほか新エネルギーの導入に加え、工場で副次的に発生する水素や廃熱までを含め、エネルギーを地域の中で効率的に活用する新たな仕組みを構築し、低炭素社会の実現をまちづくりの一環として取り組むものです。全国53の企業や団体が参画し、『八幡が変われば日本が変わる。日本が変われば世界が変わる。』のスローガンのもとで、スマートな次世代エネルギーや社会の実現を目指す38の実証事業を2010年から2014年の5年間で実施する計画です」
38の事業は、さらに特定の実証テーマを持った複数のプロジェクトに分かれて活動しており、その円滑な推進を担っているのが、北九州市に置かれた事務局(環境局環境未来都市推進室)の職員、参加企業から出向しているメンバーと支援企業による推進体制です。後者には、プロジェクト・マネージャーやプロジェクト・マネジメント・オフィス、アドバイザーがおり、その下に各テーマのプロジェクト・リーダーとサブリーダーが配置されています。
プロジェクト体制
と会議体説明
の表
北九州市 環境局で北九州スマートコミュニティ創造事業のプロジェクト・マネージャーを務める専門官の丸山 文隆氏は、各プロジェクトの推進体制を次のように説明します。
「現在、20の実証テーマから順次実行している状況にあり、全体として75名のプロジェクト・リーダーとサブリーダーが柱となってプロジェクトを推進しています。その活動を支える中心的な会議体がプロジェクト・リーダー会議です。プロジェクト・リーダーとサブリーダー、プロジェクト・マネージャーが月1回の頻度で北九州または東京に集まり、全体の進捗管理や情報共有、課題の検討などを行っています」(丸山氏)
こうした大規模かつ複雑性を持った事業の運営は容易なことではありません。柴田氏は、事業推進の具体的な課題として、次のような点を挙げています。
- 多面展開するプロジェクト間の意思疎通の困難
各プロジェクトは開発主体が異なるほか、複数の企業・団体が共同で取り組むケースもあり、相互に関連し合っている。関係するメンバー間の密な意思疎通が成り立っていないと、プロジェクトは円滑に進まない。 - メンバーが全国各地に分散する地理的な問題
参加企業や団体は関東、中部、関西、九州など全国各地に分散しており、メンバーが頻繁に集まるのは現実的に難しい。 - メールによる情報共有の限界
当初、主なコミュニケーション手段としてメールを利用していたが、申請書や計画書などの添付文書がときに1,000ページを超える大容量となり、各企業・団体のメール環境の制限から受信できないケースが生じていた。 - ドキュメントのバージョン管理の煩雑化
各プロジェクトで頻繁に更新されるドキュメントのバージョン管理をメール上で行うのは難しく、プロジェクトの進捗管理は煩雑化の一途をたどっていた。
これらの課題を見据えつつ、柴田氏はこのように話します。
「当事業では、各プロジェクトの計画立案からシステムの開発、実証へと進行させ、さらには実証事業全体でも成果をまとめていく必要があります。その進行につれ次第に広範囲かつ密になっていくメンバー間のコミュニケーションを支え、実証事業を円滑に進めて確実な成果を出していくための基盤を早急に整える必要に迫られていたのです」(柴田氏)
ソリューション

北九州市
北九州スマート
コミュニティ創造
事業 プロジェクト
マネージャー(専門
官) 丸山 文隆氏
複数の組織をまたぐ効率的なコラボレーションの新たな手段としてLotusLiveを導入
そうした中、北九州スマートコミュニティ創造事業の参加企業の一社であり、プロジェクトの全体管理のアドバイザーも務めるIBMから紹介されたのがLotusLiveでした。
企業向けクラウド型サービスであるLotusLiveは、複数の組織にまたがる共同作業を前提に開発されたツールであり、ゲスト用のアカウントも即座に発行できるため、今後の参加企業やメンバーの拡大にも柔軟に対応できます。また、各企業や団体が日頃使用しているメールやPCをそのまま利用できる点も魅力的でした。
この話を受けた、北九州市 環境局 環境未来都市推進室のスマートコミュニティ担当係長を務める越智 豊氏は、次のように話します。
LotusLiveの
特長を表す図
「遠隔地からでもメンバー全員が同じ画面を共有しながら議論ができるWeb会議を活用することで、移動コストを大幅に削減すると同時に、会議開催の頻度を高めて情報伝達や意思疎通を確実に行うことができます。また、コラボレーション機能によって各プロジェクトの作業項目やドキュメントの共有化、進捗状況や活動履歴の一元管理などが可能となり、生産性の向上を図れます。こうしたLotusLiveの特長を知り、使ってみることにしました」(越智氏)
こうして北九州スマートコミュニティ創造協議会は、2011年6月に事務局内で試用を開始。そこで得た“手応え”をもとに、Web会議の開催権限を持つ事務局用の「LotusLive Engage」と、ファイル共有や共同作業(ディスカッション、タスク管理)などを主導するプロジェクト・リーダー用の「LotusLive Connections」を導入しました。そして、同年7月に開催されたプロジェクト・リーダー会議における資料の事前配布や共有などでの利用を経て、同年10月より本格展開を開始しました。
導入効果

北九州市
環境局 環境未来
都市推進室 スマート
コミュニティ 担当係長
越智 豊氏
プロジェクト・リーダー会議を基点とするさまざまなコミュニケーションを効率化
2011年10月現在、コミュニティー・エネルギー・マネージメント・システム(CEMS)、ホーム・エネルギー・マネージメント・システム(HEMS)、ビル・エネルギー・マネージメント・システム(BEMS)、産業部門その他、運輸部門の5分野、計24テーマに基づくプロジェクト活動でLotusLiveが活用されています。
導入により、以下のような利用場面において効果を発揮していると丸山氏と越智氏は話します。
ファイル共有
の画面ショット
シリーズ図
- 情報伝達のミスを削減
メールだけでやりとりをしていた際には、メールボックスがすぐにいっぱいになり受信できなくなるといった不都合が生じていたが、LotusLiveではドキュメントへのリンクのみが届けられるため、各企業や団体のメール環境の制限を受ける心配はなくなった。また、更新等の連絡も該当コミュニティに通知することで、メールの煩雑な宛先管理が不要となった上、配信漏れもなくなった。誰が、いつ、どのドキュメントをダウンロードしたのかを把握できる点も、プロジェクト・リーダーの負荷軽減に役立っている。 - バージョンの一元管理による後戻りの削減
各ドキュメントはLotusLiveのファイル機能により一元管理され、即座に最新版にアクセスすることができる。メンバーそれぞれがメールを整理する手間が省力化されたほか、バージョン違いによる作業の後戻りもなくなった。 - 資料の事前共有による会議進行の効率化
以前はプロジェクト・リーダー会議で40~50頁の資料をカラー印刷して出席者に配布していたため、事前準備や会場への持ち込みに少なからぬ労力を費やしていた。そこでLotusLiveのファイル共有機能を活用して、会議に先立って資料を配布し、モバイルPCやタブレット端末からWeb経由で、いつでも、どこでも閲覧できるようにした。その結果、紙やコピー代などのコスト削減をはじめ、資料を持ち運ぶ労力の軽減、メンバーが事前に資料に目を通すことによる会議の効率化など、多くの効果をもたらしていた。 - Web会議の利用による、会議への参加率の維持・向上
開発が本格化し、メンバーの会議への出席がますます難しくなるなか、LotusLiveのWeb会議を活用することで、会議への出席が容易になることが期待できる。アドバイザーとして事業に参加している米国在住の教授ともWeb会議で打ち合わせを実施したが、違和感なく目的を達成できた。
一方、LotusLiveの導入に尽力してきた越智氏は、そのクラウド・サービスならではの導入の容易性や俊敏な展開といった観点から、次のようなメリットを話します。
「仮にパッケージ・ソフトを導入しなければならないのであれば、市役所のIT部門との事前協議や手続きが不可欠であり、大変な手間と時間を費やすことになります。同様の理由から、参加企業や団体の間で同じ環境を整えるのも難しかったかもしれません。その点、LotusLiveはライセンスを申請するだけですぐに使い始めることができました」(越智氏)
将来の展望
アクティビティー機能を活用した共同作業を早期に促進する
さまざまな実証テーマのもとで本格化していく各プロジェクトの活動を見据え、北九州スマートコミュニティ創造協議会では、LotusLiveのより深いレベルでの活用を模索しています。そこで検討が進んでいるのが、Web会議やアクティビティー機能をベースとした共同作業の支援です。
「各プロジェクトのもとでワーキング・グループの活動なども活発化していますが、事あるごとにメンバーが集まるのは困難です。そうした場面でWeb会議を有効活用できればと考えています」と越智氏は話します。
一方のアクティビティーとは、簡単にいえばプロジェクトにまつわる一連の作業を丸ごとカバーする共有空間です。例えばTo Doリストを設定することで、目標達成までのプロセスや作業分担を明確化し、達成状況を容易に把握することができます。新規項目のメンバーへの割り当てや期日、優先順位なども設定することができ、完了した項目にはマークをつけて次の作業に移ることができます。
「プロジェクト・リーダーの立場からすると、十数人のメンバーから寄せられる多様な意見を取りまとめるのは非常に煩雑な作業です。誰かの意見を聞き漏らしたり、微妙なニュアンスを汲み取れなかったりする恐れもあります。それならば、最初から皆で議論し合いながら、同じドキュメントに手を加えていくというスタイルをとったほうが、はるかに効率的で作業スピードも上がります。Web会議とアクティビティー機能を組み合わせれば、複雑にタスクが絡み合う共同作業も上手くコントロールしていくことが可能ではないかと期待しています」と丸山氏は話します。
そして、そうした新たなコミュニケーション環境を一日も早く実践段階に移し、裾野の広いメンバーに定着させていく必要があるというのが、北九州スマートコミュニティ創造協議会における共通認識なのです。
「北九州スマートコミュニティ創造事業の最終的な目標は、地域エネルギー・マネジメントのあるべき姿を具現化し、街づくりを変革していくことにあります。その大前提となる革新的なシステムや技術の研究開発への取り組みが、今まさに佳境に入ろうとしているのです。よりきめ細かいレベルでメンバー間の情報共有や共同作業を促し、プロジェクトの進捗をフォローしてこそ、新たな将来を拓くことができます」と柴田氏は、LotusLiveへの期待とともに今後に向けた意気込みを語りました。
お客様の声
北九州市 環境局 環境未来都市推進室 スマートコミュニティ担当課長 柴田 泰平 氏
「次第に広範囲かつ密になっていくメンバー間のコミュニケーションを支え、実証事業を円滑に進めて確実な成果を出していくための基盤を早急に整える必要に迫られていたのです」
北九州市 環境局 北九州スマートコミュニティ創造事業 プロジェクト マネージャー(専門官)丸山 文隆 氏
「各ドキュメントはLotusLiveのファイル機能により一元管理され、即座に最新版にアクセスできます。メールを整理する手間が省力化されたほか、バージョン違いによる作業の後戻りもなくなりました」
北九州市 環境局 環境未来都市推進室 スマートコミュニティ担当係長 越智 豊 氏
「パッケージ・ソフトを導入しなければならないのであれば、事前協議や手続きに大変な手間と時間を費やしますが、LotusLiveはライセンスを申請するだけですぐに使い始めることができました」
お客様情報
お客様名:
北九州スマートコミュニティ創造協議会
所在地:
〒803-8501 福岡県北九州市小倉北区城内1-1
URL:
産学官民の英知と志を結集し、地域エネルギー・マネジメントのあるべき姿を具体化し、ライフスタイル、ビジネススタイル、さらにはまちづくりを変革することで、次世代のあるべき社会システムの構築・実証を目指す。新エネルギーの導入に加え、エネルギーを地域で使いこなす機能を持つ「地域節電所」という日本初のシステムを導入することをはじめ、産業都市という特徴を生かした産業リソースの活用、地域や市民が積極的にエネルギー管理に参加する仕組み等の先進的な取り組みを実施。将来的には、成果をパッケージ化し、全国さらにはアジア地域へ展開することも視野に入れ、活動を推進している。
製品・技術情報
ソフトウェア
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参考資料
- お客様導入事例 北九州スマートコミュニティ創造協議会(1.56MB)
- この事例のPDFがダウンロードできます。
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