日本の旅行業界をつねにリードし、2012年には創業100周年を迎える株式会社ジェイティービー(JTB)。そのJTBグループのIT戦略の要となっているのが株式会社JTB情報システムで、JTB基幹予約システムをはじめ、グループ各社の情報システムの企画・開発・運用を行っています。今回、JTBが、業務効率向上をめざして「電子カルテシステム」を構築する際に、既存の「JTBお客さま情報システム」で利用していたIBM DB2® を共有することを計画。DB2のバージョンをV9.5へ移行しました。これにより、バックアップ時間の大幅な短縮や、圧縮後のデータ容量を3分の1に低減。ITインフラの効率的な活用、開発コストの削減に貢献しています。
お客様ニーズ

国内システム1部
担当部長 高橋 稔 氏
ミドルウェアのバージョンアップと新システムの開発コスト削減が課題
JTBでは、旅行の契約に至った場合、旅行内容の詳細や食事の好み、オプションツアーの有無など、さまざまな情報を管理する「顧客カルテ」を作成します。しかし、この顧客カルテは顧客の話を聞きながら担当者が専用の用紙に手書きし、紙ベースで管理しているため業務負担が大きく、管理も煩雑で必要な顧客カルテの検索も容易でないという課題を抱えていました。
そこで、顧客カルテの電子化を決定。システムを構築するにあたり、開発コストを抑えるために、既に稼働している「JTBお客さま情報システム」のインフラを有効活用することを検討しました。
株式会社JTB情報システムの国内システム1部 担当部長である高橋稔氏は、「お客様情報と顧客カルテは、データベース構造が似ているので、インフラを共有できるのではないかと考えました。そこで、まず、既存のJTBお客さま情報システムのミドルウェア群をバージョンアップし、そのインフラ上に電子カルテシステムを構築することを決定しました」と話します。
JTBお客さま情報システムは、JTBに来店した個人顧客が旅行の申し込み用紙に記入した、住所、氏名、連絡先などの基本情報を、窓口の担当者が端末から入力し、顧客情報として管理するためのものです。アプリケーションサーバ製品であるIBM WebSphere® Application Serverやデータベース製品のIBM DB2、システム間連携のためのメッセージング製品であるIBM WebSphere MQなど、IBMのミドルウェア製品群で構成されています。
「JTBお客さま情報システムは、開発から 5年以上が経過しています。IBM DB2に関しても、V8.2のサポート終了が迫っていたため早急な対応が必要でした。しかし、JTBお客さま情報システムは基幹システムの一部であり、システムを停止するタイミングは年末年始しかありません。2008年秋よりプロジェクトをスタートさせ、2009年末から2010年始に移行するというスケジュールを立てました」(高橋氏)
ソリューション
データ圧縮技術で IBM DB2 V9.5の採用を決定
年末年始に予定どおり移行を実施
データベースに関しては、現在稼働しているIBM DB2 V8.2からどのバージョンに移行するのが最適なのかが重点的に検討され、2008年末にV9.5の採用を決定しました。採用を決めた最大の理由は「データ圧縮技術」です。
しかし、心配な点もありました。移行に伴い、既存のプログラムにどれくらい影響があるのかや、膨大なデータを年末年始の短期間で移行できるのか、といったことです。 そこでまず、2009年1月から3月までの期間、テスト環境を利用してバージョンアップの影響を調査する検証テストを実施。テスト環境にV9.5を導入し、お客さま情報システムを動作させたところ、SQL文の一部に修正が必要だったものの、ほとんど影響がないことが確認できました。
「テスト環境での移行はうまくいったのですが、テスト環境と本番環境ではシステムの規模も性能もまったく違います。1400万件のお客様情報と3000万件の旅行実績を年末年始の2日間という限られた期間で本当に移行できるのかを確認することが必要でした」(高橋氏)
そこで2009年6月に、日本IBMのソフトウェア・コンピテンシー・センター(SWCOC)に、CPUやメモリ、ディスク装置など、本番環境とまったく同じシステム構成とデータを準備し、移行テストを実施。テストの結果、約1日で移行を終了できるという確証を得ることができ、予定どおりに2009年の年末から2010年の年始にかけてバージョンアップを実施しました。大きな問題もなく、予定よりも早い時間で移行作業を完了することができました。
導入効果
バックアップ時間は51分から14分へ短縮
フロントアプリのレスポンスも向上
IBM DB2 V9.5に移行した効果を、高橋氏は次のように語ります。「バックアップの時間やディスクサイズ、圧縮したデータへのオンラインアクセスのレスポンスなどを検証してみましたが、すべてに良い結果が出ています」
たとえば、バックアップの時間は51分から14分の3分の1に短縮され、データのサイズは105GBのデータが26GBに圧縮されました。また、顧客情報はテーブルサイズが26.4GBから3.7GBに、旅行実績は48.3GBが5.6GBに圧縮されています。
高橋氏は、「圧縮率が高ければディスクの容量も少なくてすみます。お客様情報は、毎年100万件程度増えています。これに伴い旅行実績も増えているので、運用面を考えるとディスクの効率化は不可欠です」と話します。
また想定してなかった効果としては、テーブル容量が小さくなったことで、データの入出力(I/O)のためのバッファプールの消費量も少なくなり、I/Oのボトルネックが解消されたことです。これにより、20秒程度かかっていたレポート出力のオンライン処理が3分の1の時間で終了するようになりました。
高橋氏は、「フロントエンドのアプリケーションは修正していないので、利用者は気づいていませんが、レスポンスは確実に良くなっています」と話しています。
さらに、動的にメモリの割り当てを最適化するSTMM(セルフチューニングメモリ管理)機能を利用することで、REORG(再編成)とRUNSTATS(統計情報の更新)を高速化することもできました。
「移行作業ではREORGとRUNSTATSが必要ですが、基本情報や旅行実績のデータは大量なので、その時間がとれるかが課題でした。6月のテストでは、STMMは使用しなかったのですが、本番で利用するとテストで315分かかっていた再構成が3分の1の108分に短縮できました」(高橋氏)
こうして、2009年3月にお客さま情報システムをIBM DB2 V9.5に移行しても問題がないという結論が出た時点で、テスト環境を利用して電子カルテシステムの構築も開始されました。
「お客さま情報システムと電子カルテシステムのインフラを統合できたことで、電子カルテシステム構築のコストも大幅に削減することができました」(高橋氏)
今後の展望
次バージョンのDB2にも移行を予定
BI システムへの適応にも期待
JTB情報システムでは2010年4月に、お客さま情報システムと電子カルテシステムのデータベースを本番システムに統合する予定です。さらにその後の展望について高橋氏は、次のように語ります。
「IBM DB2 V9.7が2009年にリリースされています。現バージョンの圧縮技術はデータ部分にだけ対応していますが、IBM DB2 V9.7では索引部分の圧縮もできるので、その機能に期待しています。索引部分も圧縮できれば、よりリソースの低減が可能になります」
また今回の移行作業では、顧客情報を分析するためのビジネス・インテリジェンス(BI)システムに関しては未対応のため、今後、新しい BIシステムを導入することも検討しています。
高橋氏は、「トレンドや顧客の嗜好などを取り入れた BIシステムを構築したいと考えています。そのときにはIBM DB2 V9.7に移行する計画です」と今後の期待を話しています。
お客様情報
日本の旅行業界をつねにリードし、2012年には創業100周年を迎える株式会社ジェイティービー(JTB)。そのJTBグループのIT戦略の要となっているのが株式会社JTB情報システムです。JTBをはじめ、広告、イベント、金融/保険、ホテル/リゾート、不動産、教育/健康、物流など、幅広い分野で活躍するJTBグループ各社のシステム開発およびJTBの基幹システム運用、コンピュータ機器類、パッケージソフトウェアの販売などを展開しています。
製品・技術情報
ソフトウェア
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事例は特定のお客様での事例であり、すべてのお客様について同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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