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開催レポート

Day1 基調講演:「Real Insights, Real Results」(リアルな洞察、リアルな結果)

2009年のIBM Rational Software Conference (RSC)がいよいよはじまった。今年は、世界的な経済的不況や新型インフルエンザによる影響がありながらも、40以上の国々から3200名以上のソフトウェア関係者が参加する例年以上に盛況なカンファレンスとなった。会場は、アメリカはフロリダにあるWalt Disney World Swan and Dolphin Resortである。

今年のテーマは「As REAL as It Gets!」

基調講演のホストは今年で4年目となるIBM Rationalマーケティング&ストラテジーの責任者であるスコット・へブナー(Scott Hebner)。RSCの開催自体は、1998年の開催以来続いており、今年で12回目にもなる。12回連続で参加している根強いRationalのファンも数多くいて、惜しみない拍手が贈られる。

会場の様子1

今年のテーマは、「As REAL as It Gets!」。スコットは、それが意味するのは、ソフトウェア・システムに対する投資から、いかにして最高のリアル・リザルト(つまり、ビジネス結果)を達成するかということ、と説明する。今年は、18以上のトラックに渡る500以上のセッションを誇り、特に、IBM Rationalに統合されたTelelogic社のユーザー・カンファレンスを同時開催しているのが特徴である。また、アメリカ国内5ヶ所でのカンファレンス同時開催も行っている。

Rationalの戦略:Visionを実践するフェーズに突入

ダニー・サバーの写真 最初のスピーカーは、IBM Rationalの総責任者(General Manager)であるダニー・サバー(Dr. Danny Sabbah)。ダニーは、IBM Rationalの戦略は、基本的にこれまでのものと大きな変更はなく、これまでの戦略の流れを継続して確実に実現していくことを確約した。そして、特に2009年の戦略として、下記を強調した。

Rational戦略のプレゼンテーション

そして、この戦略は、IBMが提唱しているSmarter Planetにも則っていることを補足した。スマートな地球を実現するには、ソフトウェア&システムに多大な投資が必要である。ソフトウェア&システム・デリバリー(注:このデリバリーという言葉はディベロップメントと対照的に使われ、開発だけでなく、より広い範囲でのソフトウェア開発におけるアクティビティーを意味しており、Rationalの守備範囲の拡大を明示している)を効率的に管理する能力こそが、スマートな地球で成功できる企業であるか否かを左右し、その能力をサポートするのがIBM Rationalであるということだ。

そして、ソフトウェア&システム・デリバリーの能力を改善させるアプローチとして、MCIF (Measured Capability Improvement Framework)を紹介した。MCIFは組織におけるソフトウェア&システム・デリバリーのプロセスの改善をサポートする、製品、サービス、メソドロジーの組み合わせである。

MCIFの基本的な流れとしては、下記の通りである。

  1. ビジネスの数値目標とオペレーションの数値目標を設定する
  2. それに応じて、適用するプラクティスを優先順位付けし、適用戦略を立てる
  3. プラクティスの適用をRationalのツールやプログラムで加速させる
  4. 適用結果に対して定常的にレポート、分析しアクションをとる

MCIF実践の鍵となるのは、ソフトウェア開発だけに通用する狭い範囲のメトリクスをとるのではなく、ビジネスやユーザーに理解できる形でメトリクスをとること。そして、それをビジネスの視点から定常的に計測し評価していくことだろう。MCIFを実現するために、Rationalはサービス、組織のアジリティー(俊敏性)を高めるプラクティス群、そしてJazzプラットフォームをベースとした製品群を提供している。

最後に、ダニーはRational自身の製品開発における、MCIFのアプローチによる成果を披露した。大規模開発におけるアジャイル適用(Agility@Scale)を推進し2000人以上がアジャイル開発を行っていること、また、アジャイル開発をサポートするRational Team Concert (RTC) の適用を推し進め、リリースのサイクルタイムが削減し、予定通り出荷できる率が飛躍的に高まっていることを説明した。特にRTCなどから得られるメトリクスを、新製品であるRational Insightによりリアルタイムにあらゆるビューで可視化し、ビジネス上の判断を早期に下していく、というアプローチは、これまでVisionとして描かれていたものがついにリアルになったという観点で説得力があった。


図:Rational InsightでのRational内部の開発状況の見える化

見える化を推進する新製品発表とディベロッパー・クラウドのプレビュー

ジェイミー・トーマスの写真ダニーに続いてRational製品開発とカスタマーサポートの責任者であるジェイミー・トーマス(Jamie Thomas)が登壇した。ジェイミーは、ソフトウェア・デリバリーをビジネス・プロセスとして捉えたときに、組織において様々な課題があることを指摘し、それらの課題を克服するためには組織的な変革が必要だと説く。そして、それを実現するものがMCIFであると強調して、MCIFのより詳細な流れを解説した。そして、そのMCIFをサポートするプラットフォームとしてJazzを紹介し、Jazzに統合された下記の新製品群を発表した。

また、IBM Rational Software Delivery Services for Cloudのプレビュー版を発表した。このディベロッパー・クラウドと呼ばれるクラウド型サービスでは、RationalのソリューションがSaaS形式で利用可能となり、顧客にとってはコスト削減やリソースの柔軟な利用が可能となる。よりフォーマルなプレビューは6月後半に発表が予定されているとのことだ。

さらなるイノベーションが重要なSystems(複合製品)開発にもソフトウェアが大きな鍵を握る

トム・ホークの写真ジェイミーに続いて登壇したのは、IBMグローバル・インダストリアル・セクターの総責任者(General Manager)であるトム・ホーク。トムは、昨今の経済状況を踏まえた上で、電気、自動車、航空・防衛産業などのインダストリアル・セクターにおいて、最重要課題はやはりコスト削減ではあるものの、より「スマート」な製品を作り出すためのイノベーションは次世代のリーダー企業にとっては必要不可欠であることを説いた。そして、製品開発においても、特に、組み込みソフトウェアこそが、そのイノベーションと差別化には欠かせないものであることを強調する。そのソフトウェア開発のために、各インダストリーにおけるアセットとフレームワークにIBMが継続的に投資をしていくことを説明した。さらに、このインダストリーのエリアに対しても、Rational Software Platform for Systemsとして、Jazzプラットフォーム上に新しい製品や既存製品の統合を行っていくことを約束して、初日の基調講演を締めくくった。

ソフトウェア・デリバリーの投資対効果を見える化する

まとめると初日の基調講演のポイントは以下となる。

MCIFは、ソフトウェア&システム・デリバリーを継続的に改善しリアルな結果(Results)を実現するための、Rationalが培ってきたリアルな洞察(Insight)であった。「Real Insights, Real Results」のテーマに沿って、多くのメッセージが濃密に詰め込まれた基調講演であった。

(Rational エバンジェリスト 玉川 憲)

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