2日目の基調講演、最初のスピーカーはIBMソフトウェア・グループのボス、スティーブ・ミルズ(Steve Mills)
Rationalの各種ツールを初め、WebSphere Application Server, DB2 Universal DatabaseといったIBMソフトウェア製品の総責任者である。
今回の講演では「ソフトウェアを開発する」というRationalユーザーと同じ立場から、IBMにおけるソフトウェア開発の現状を紹介した。
自分と同じ立場で語るスティーブに共感を覚えたのか皆さん熱心に聞き入っているが、はたしてその内容は・・・
IBMにおけるソフトウェア開発の特徴は、まず何と言ってもその規模の大きさがある。
IBMは年100以上のソフトウェア製品を出荷しているが、それらは全世界に広がる70以上の開発拠点で2万人以上の人間が開発している。
単に、拠点・人員が多いという事だけではなく、これらの拠点・人員の過半数は、過去にIBMが買収した企業の開発拠点・人員でもあり、文化、価値観も異なっている。このような状況の中で開発を進めていくためには当然様々な課題があり、それを解決するための変革が必要であった。
変革には様々なチャレンジが必要であったが、次の4つの観点を拠り所としその変革を進めてきた。
1. アウトサイド・イン デザイン(Outside-in Design)
何よりもまず、開発しようとしているS/Wの価値をビジネスの観点から捉えなければならない。そのためにはビジネス上の以外関係者に焦点をおき、ビジネス・ユースケースを明確にしてから製品を開発する事が大切である。
2. アジャイル
1980年代はやはりウォーターフォール型の開発スタイルを採用していたが、90年台になると反復型開発に移っていった。
そこでは Rational Unified Process をカストマイズして使用していた。近年はアジャイル、リーンといった開発形態を採っている。
アジャイル、というとIBMのような大規模開発となじまない、と感じる方もいらっしゃるかもしれないが、Agile at Scale と表現されるように、アジャイルは決して小さなグループだけにしか適用できないものではない。
3. コンポーネントと再利用
コンポーネントの再利用が中々進まない、というユーザーは多い。しかし再利用というのはその必要性に迫られれば否応無しに促進される。
我々には時間が無い。すべてを自分のチームで揃えることは不可能だ。現にIBMでは数多くの再利用が実現している。例えば、以下のような例がある。
- WebSphere Application Serverは、セッション制御・トランザクション制御を必要とする100以上の他のIBM製品で再利用されている。
- DB2およびDerbyは、データの永続性を必要とする400以上の他のIBM製品で再利用されている。
4. コミュニティー
現在、1000以上の社内プロジェクトがアクティブな活動をしている。製品開発でこれらプロジェクトの成果が必要になった場合、その成果・コードは自由に利用できるようにしている。部門間振替のような費用は発生しない。
(レポーター注:オープン・ソース・コミュニティーにおけるプロジェクトと同様なものがIBM社内には1000以上ある、と考えて頂ければ解り易いであろう)
最後にIBMの製品開発においても積極的にRationalツールを使用している事例が紹介された。例えば、
- DB2バージョン9の開発の際、数カ国にまたがる十数箇所の拠点で1000名の開発者がRationalツールを使って効率的な開発が出来た
- Tivoli製品の開発においては、Rationalツールを使った最初に開発した製品が過去の製品に比べて200%のROI向上した
- WebSphere 製品の開発においても、Rational Build Forge 等のツールが有益であった
等々、残念ながら詳細はお伝えしきれないが、自分たちが提供する製品を自ら利用して製品開発する、というIBMの姿勢を垣間見る紹介であった。
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