「広報誌Tivoli 2003 NO.1」より転載しています。
ソニーインフォメーションシステムソリューションズ株式会社
メインフレームと分散環境を一元管理
会社概要
ソニーインフォメーションシステム
ソリューションズ株式会社
- 設立 1988年2月
- 資本金 3億円
- 代表者 代表取締役社長 佐藤和朗
- 従業員 740名(2002年5月現在)
- 業務内容 ・ システムインテグレーション事業
・ システム開発事業
・ エンジニアリングシステム事業
・ 情報インフラサービス事業

ソニーインフォメーションシステムソリューションズは、ソニーの100%出資子会社。ソニーグループのITシステムのインテグレーションから構築・運用・保守まですべてを担っている。
同社代表取締役社長佐藤和朗氏が掲げた「ITを駆使してソニーのオペレーショナル・エクセレンスを実現する」を目指して、常に高品質なサービスを提供しているのが同社の特徴。1999年には、品質管理の国際標準ISO9001、同9002、環境マネジメントの国際標準ISO14001の認証を取得している。同社の事業分野は、システムインテグレーション、システム開発、エンジニアリングシステム、情報インフラサービスの各事業を展開している。SI事業では、コンサルティングサービスからシステム企画・構築まで、ユーザーに最適なソリューションを提供している。システム開発事業は、SI事業と連携して、製造、販売、物流、人事、会計分野などのアプリケーションシステムの開発、導入、保守までトータルなサービスを展開。
さらに、エンジニアリングシステム事業は、プロダクト製品の設計・開発に対する技術支援を展開。組込みソフトの開発・設計支援をはじめとして、製品開発に関わるエンジニアリング分野のサービスを行っている。
さて、Tivoli製品と関わりが深いのが、情報インフラサービス事業。マルチベンダー環境で、大型のメインフレームからオープンサーバー環境、更にe-ビジネス環境まで、安定稼働のインフラ環境を強力に支え、同時に卓越したシステム運用管理、全世界レベルのネットワーク構築、運用を一手に引き受けている。
そこで、同社オペレーションサービス部オペレーションサポート課マネージャー宮林朗訓氏に、情報インフラサービス事業におけるTivoli製品の状況についてインタビューした。
ワールドワイドの情報インフラサービスを提供
ソニーグループは国内外で非常に多くのグループ企業を擁するが、情報インフラサービス事業分野では、国内外の各データセンターとワールドワイドなネットワークを基盤とし、ソニーグループ企業の業務系システム、情報系システムへのサービス提供を行っている。そして、この大規模なシステム運用管理の中核となっているのが、Tivoli製品である。

宮林朗訓氏
ソニーインフォメーション
システムソリューションズ(株)
オペレーションサービス部
オペレーションサポート課
マネージャー
「当社は、全ソニーグループに関連するIT環境に対応すべく、サービスを展開しています。ですから、一口でITシステムの概要を紹介するのは難しいですね」と宮林氏は語る。しいていえば、同社は、ソニーグループの情報システム部門だと考えるのが解かり易い。製造・物流・販売・人事・財務といった殆どの業務をカバーしており、形態としてもBtoBやBtoCと様々で、又、海外を含めたグローバルなシステムもあったりと、多岐にわたっているのが同社だ。確かにグループ各企業の特質や経営環境に合致したサービスを展開しているのだから、サービスの質、量とも極めて多彩であることはいうまでもない。
「そこで、Tivoliが関連する部分について紹介したいと思います。現在、ソニーグループのエンドユーザーは数万人。海外とBtoB、BtoCを合わせると10万弱というところでしょうか。サーバー台数は、名古屋だけでも数百相当数になります」という。情報サービス産業の性格上、細かい数字が出せないということだが、名古屋データセンターの設備だけでこのレベルだから、いかに大規模なものかは想像できる。
「現在、東京、名古屋、USの3つのデータセンターをベースに、グループ全体をサポートしていますが、Tivli製品は、その運用・監視システムの中核になっています。3つのセンターそれぞれにTivoliが導入され、ニーズにあわせて各データセンター間でも連携をとっています。」と宮林氏は語っている。
TRUSTの運用管理に大きく貢献
同社では、大規模で複雑な業務系、情報系システムの運用をスムーズに行うために、統合オペレーションシステム(TRUST=Technical
Realization of Unified System)を構築している。TRUST は、マルチプラットフォーム/マルチプロダクトの加速、システム構成・環境の複雑化、システム数、サーバー数の急増、障害対応の複雑化というシステム運用環境の変化によるサービスレベルの低下(作業ミス発生、作業もれの発生、エスカレーション遅れの発生、障害検知遅れの発生、業務によるサービスレベルのバラツキなど)にどう対応するかということで構築されたもの。
「結論としては、こうした問題が存在する中で、人手(スキル、工数)に頼ることでは運用に限界があるということ。したがって、人手を介さず、メインフレーム、分散コンピューティング環境を集中的に障害監視することや障害が発生したときに最適の対応をするためのシステム化を考えたのです」(宮林氏)。
TRUST構築の狙いは次の3つ。
1. 高品質な稼働サービス提供によるユーザー満足度の向上
2. マルチベンダー/マルチプラットホーム環境での統合管理の実現
3. ソニーの情報システム専門会社として、ふさわしい運用基盤の確立
ということであった。
「Tivoli製品については、われわれのTRUST構築のコンセプトに基づいて日本IBMの提案により、それを中核としたシステムが構築されたということです。もちろん、運用・監視のシステム化について、すべてTivoli製品ということではありません。いろいろなツールを組み合わせ、中核にTivoliがあるということです」(同)。ここにも、オープン指向、他社製品や多彩なOSにも親和性のあるTivoli製品が評価されていると言っていい。Tivoliが、同社の運用・監視のシステム基盤を強力に支えている。
「現在、図に示したように、USデータセンター、東京データセンターにもTivoliが導入されており、集中監視が必要な部分は連携する仕組になっています。メインフレームについてはAMOEMF-I(IBM)により、障害情報をログから抽出、吸い上げた情報をTivoli側に渡すという形になっています。このAOEMF-I
は現在では、Tivoli対応製品になっていると思います。UNIX、Windowsサーバーについては、Tivoli
Distributed Monitoring(現Tivoli Monitoring)をメインに、部分的にTivoli Manager for MQ (現Tivoli Monitoring for MQ)を採用しています。又、名古屋データセンター内でのネットワーク監視にはTivoli NetViewを、セキュリティー関係では、Tivoli Access Managerシリーズも導入しています。いづれにしても、Tivoliに全て集約するようになっています。尚、蛇足ですが、東京及びUSデータセンターもあわせると、Oracle・Sybase・SAP/R3・ExchangeといったTivoli
Managerプロダクト(現Tivoli Manager for)も導入されています。」
要するに、全ての障害関連情報がTEC(Tivoli Enterprise Console)に集中するようになっているのだ。また、障害が発生した場合には、音声で通知、あるいはパドランプ点滅、また関係者にメールを発信したりもする。そして、ルールに従いアクションを起す仕組みである。
障害履歴については、ARSというツールを使用し、IBMと共同でシステム設計・作り込みを実施し、トラッキング管理を充実させている。さらに、障害対応にはナレッジデータベースを活用し、指示するアクションを貯めこむためにソリューションビルダーというナレッジ管理ツールも連携させている。
「障害発生時にワンタッチ(ボタン検索)でナレッジデータベースを検索、該当するものがあれば即作業者に指示が行くというわけです。(同)」
現在、24時間365日の運用・監視を担っている中で、安心・安全稼働を力強く支えているのだ。障害が発生すれば即座に担当技術者に指示、自動的に障害対応ができるというわけである。複雑で多彩なシステムで構成されているグループ企業のIT環境を一元管理する仕組みがここにある。
今後のTivoliの卓越したサポートに期待
4年前に構想し、翌年よりサポートを開始した障害監視のためのTRUSTシステム、今後の課題について聞いた。
「1998年当時にわれわれが考えた障害監視、対応の自動化については、一応の成果をみていますが、今後は、短期的なアクションと長期的なアクションの2つの方向があると考えています。
短期的なアクションとは、既存の延長線上でのサービス範囲の拡大というところで、例えば、障害検知から障害予測・未然予防に踏み込んだ監視自動化へのアプローチです。これは是正対応から予防対応に踏み込むことを意味します。長期的なアクションとしては、これからのビジネスや技術の動向により、かなり大きく変わるのではと考えています。」
同社ではすでに技術動向調査に注力している。2001年には、3年後の技術動向を調査した結果「3年後には監視用プロトコルの標準化が進み、様々な管理ツールがシームレスにつながり、同様に管理対象(例えば障害監視、セキュリティー監視、ストレージ管理など)が統合される。その時のキーワードは集中と連携。」と予測しているが、宮林氏は「2002年はもっと動きがスピードアップしているという感じを受けています。キーワードは仮想化(バーチャル)で、ネットワークやストレージに関しては先行していますが、今後アプリケーションシステムやサーバー含めてITインフラが仮想化していくと思います。それによりITの概念が、個別から共用へ、そして共用から仮想化へと大きく変革する可能性を秘めていると感じています。」と指摘している。
確かに、システム監視、運用の分野は、同社の予測通りの動きを示している。そのため常に高品質で最適のソリューションを追求する同社の姿勢が、この早い変化にどう対応するのか、大いニ注目されるところである。
正に日進月歩のITの世界。Tivoliについて宮林氏は、つぎのように語っている。
「これまで、ユーザーは、ソフトのプロダクトを選び検証して、採用するかどうかを決めてきました。しかし、いろいろなプロダクトがシームレスに連携する方向へ進んでいる今、Tivoliに期待するのは、このような状況下で、これからどのようなサポートをしていただけるのかということです。今やプロダクトそのものよりも、いかに有益なサービス機能がタイムリーに提供できるかが重要になっていると考えるからです。もちろん、Tivoliを高く評価していますので、今後の展開を大いに注目しています。われわれのサービスは、ユーザーのニーズに後追いで対応するのではなく、ユーザーのニーズを先取りして、それに備える必要があるからです。」
ソニーグループ企業のIT環境を支えるソニーインフォメーションシステムソリューションズ。24時間365日安定稼働を支え、「ITを駆使してソニーのオペレーショナル・エクセレンスを実現する」という同社は、すでに超大規模システム運用の複雑性を克服するためのTRUSTを成功させている。その上で、業界動向をいち早く察知し、それに備えようとしているといえる。同社情報インフラサービスの今後が大いに注目されるところである。


