
第6回 「運用改善はどこから始めたら良いのでしょう?(その2)」
前回は「運用改善はどこから始めたら良いのでしょう?(その1)」として多くの実装経験から、よくあるエントリーポイントを挙げて見ていきましたが、今回は同じテーマで別の観点でのアプローチ方法を見ていきましょう。
代表的な課題と改善の想定
前回は、ITILのアセスメントを実施した結果からのエントリーポイントのイメージでお話しましたが、逆に代表的な課題からボトムアップ的に分析し、課題解決としての管理項目の洗い出しから次フェーズの実装計画をたてるのも1つの方法です。その実装計画の中でアセスメントを実施するフェーズが盛り込まれるケースもあるかもしれません。下記にお客様からよくうかがう課題を挙げてみます。
- アベイラビリティー・パフォーマンス向上
- コスト節減
- 運用効率化、運用統合
- ITIL導入、コンプライアンス対応
下記にそれぞれの内容例と検討/改善が想定される項目を挙げてみます。
アベイラビリティー・パフォーマンス向上
- システムダウンが多く、ビジネスインパクトが出ている。
- エンドユーザーからクレームがくる。
- 対応が後手に廻っている。
- 運用品質を改善したい。
これらの内容を改善するには、サービスレベル向上、監視/問題管理/変更管理プロセスの改善などが想定されます。
コスト節減
- コスト節減のプレッシャーがかかっているが、運用のコストが増大しており、どう減らしたらよいかわからない。
- 運用にかかっているワークロードを減らし、より付加価値の高い仕事に廻したい
これらの内容を改善するには、TCO削減のための分析、オンデマンド・ソーシングに対応できるシステム検討、運用プロセス全般の見直しとプロセス時間の短縮化の検討による改善が想定されます。
運用効率化、運用統合
- システムやセンターの統合、更改、新サービスの提供を行いたい。
- ダウンサイジングにあわせて、複雑で非効率になっている運用を見直したい。
これらの内容を対応するには、サーバー・ストレージ・データセンター統合/移転の検討、ITガバナンスに対応できる運用管理改善、EA、SOAによる運用の標準化, IT 部門の役割/ソーシングの見直し、アプリケーションの評価検討による改善が想定されます。
ITIL導入、コンプライアンス対応
- ITILを勉強して取り入れたい。
- 運用改善の中長期計画を作成したいが自社でまとめられない。
これらの内容を対応するには、対監査性の向上のためのSOX法、ISO20000などの検討、IT部門の意識改革/サービスレベル向上を進めるためITILの適用の検討、IT部門のスキル向上/地位向上に必要なアクティビティーの検討、企業ポートフォリオを意識したIT運用管理の検討など、経営へ貢献できるIT部門の改善が想定されます。
検討サービスを選択
上記の検討項目では通常検討範囲が広くなるため自社のみでの検討では網羅性や客観性が不足するので、下記のような検討サービスを選択することが早期実現に繋がります。
アセスメント、計画系サービス
- 後続のソリューションを探すためのサービス
- ITIL診断、ツール診断など (問題分析型)
- ITILイノベーションワークショップ (VISION形成、計画型)
ITILプロセス適用系サービス
- ITILベストプラクティスの部品集を活用して現場に適用していくサービス
ツール導入構築
- 運用管理ツールの追加、更改。従来型ポイントソリューション
運用のアウトタスキング
- システム技術支援サービスなど 夜間障害の電話対応、問題分析、パフォーマンス管理、リモート監視、ヘルプデスク、リモート保守など 運用実施を部分的に肩代わりするサービス

図:1 課題抽出型の実装シナリオ上図を拡大
上記の検討項目それぞれ4つともほぼ同じパターンのシナリオ、すなわち、
アセスメント→計画→プロセス適用→ツール導入構築
にわたる運用管理の構築改善のシナリオになります。もちろん課題が違いますので検討する内容は変わってきますがシナリオ自体の進め方はやはり同じになると考えられます。このシナリオの成功要因は、次フェーズ以降の計画を明確に立て、ステップ・バイ・ステップで進めながら実現可能な範囲でゴールを定め、PDCAを確実に実行して進めることです。
ここまでアプローチ方法を別の観点で見てきましたがいかがでしょうか?前回も今回も運用管理もしくは運用管理構築の流れともに日々の運用をこなしながら進めることには違いがありません。すべて改善活動と考え、運用管理サービスをライフサイクルとしてみることも必要なことであることがおわかりになると思います。
IBM Service Management Infrastructure Services
IBMでは、早期にさまざまな課題を改善したいお客様向けに先の回にも取り上げたサービスを始め、下図にあるような「IBM Service Management Infrastructure Services」群をご提供しております。
このサービスはIBM サービスマネジメントの豊富な構築・運用経験に基づくベストプラクティスのテンプレートを活用して、短期間で安定した品質のサービスマネジメント・システムの実装が可能ですので、是非お役立てください。

図:2 IBM Service Management Infrastructure Services
上図を拡大
今回で6回にわたる「運用部門改革!ビジネスに貢献する運用管理講座」を終了いたします。なるべく易しい言葉で解説を交えることを心がけたつもりですがいかがでしたでしょうか?
お客様のサービスマネジメントはどのレベルですか?
サービスマネジメント成熟度クイック分析
最後におまけです、お客様のサービスマネジメントはどのレベルですか?
“サービスマネジメント成熟度クイック分析“ して見ましょう!!
下記設問に対して、YESの数を覚えておいてください。
ミッションクリティカル業務の運用
- 運用業務標準がドキュメントとして存在し、定期的に見直されている。担当者は手順に従って仕事をしている
- 障害時にそのシステムの担当者がいなくても対応できる(属人的でない)
- IT部門はユーザー部門に対してITサービスを提供するサービス業であるという意識がある
- システム管理ツールの標準がある
- 生産性向上のために、運用業務フローにおけるIT化が促進されている
- 障害復旧目標、平均応答時間などのサービスレベル、または目標値が存在し明文化されている。ユーザー部門を交えて定期的に達成状況がレビューされている
- アプリケーションとインフラの関係が把握されており、インフラ障害時にどの業務にインパクトがあるか判断できる
- インシデント、問題などのイベントが電子的に記録され、チーム内で共有されており、管理職が必要に応じてアクセスできる
- 変更申請のオープンからクローズまでの経過を管理者がトラッキングできる
- その業務のビジネス的な重要度を理解して障害対応できる
- ユーザー部門から信頼されており、有効な関係にある
- ITサービスを提供するためのコストを把握している
YES 4個以下
はっきり申し上げて、治療が必要です。すぐに医者にかかって検査しましょう。
第三者によるアセスメントを実施し、運用業務手順の整備と体制の見直しを行いましょう。最低限必要なツールは導入しましょう。(計画系メニュー)
YES 5-8個
普通の健康状態です。
しかし今後の加齢による成人病や、J-SOXに備えて生産性向上、ITガバナンス向上を行いましょう。
プロセスの自動化とツールの統合(実装系メニュー)
YES 9個以上
すばらしい健康体です!
サービスカタログの整備や費用対効果の向上を行い、オリンピックに出て世界一を目指しましょう
サービスカタログ、TCO分析、ツール間の連携によるプロセス自動化(SMフルオートメーション、ITガバナンス向上)
INDEX
- 概要
- 第1回 「はじめに」
- 第2回 「ITILとは何でしょう?」
- 第3回 「アプリケーション開発と運用管理の関係は?」
- 第4回 「運用管理を効率化する方法は?」
- 第5回 「運用改善はどこから始めたら良いのでしょう?(その1)」
- 第6回 「運用改善はどこから始めたら良いのでしょう?(その2)」選択中,
