
システムzのビジネス価値とは?
システムzはIBM メインフレームの45年以上の歴史において、多くのお客様の基幹システムを支えるインフラとして採用され、現在も最新のビジネス・ニーズに対応すべく、ハードウェア, ソフトウェア共に進化し続けているプラットフォームです。技術の進化、移り変わりの激しいIT業界の歴史においても、これだけ長く、継続してお客様に価値を認めていただいているプラットフォームは、他に例が無いでしょう。
そのことを裏付ける事実として、全世界の市場を見てみると2010年から2011年にかけて、システムzのビジネスは飛躍的な伸びを示しています。一方で、日本の市場においては、日本国産ベンダーのメインフレームのイメージを元に、メインフレームに対するネガティブなイメージが散見されています。そのイメージを払拭するために、進化・発展してきたIBM システムzが提供する機能とそれによって得られるメリットをより分かり易い形に整理し、お伝えできるように取り組みを進めています。
最新のバージョンに移行して頂いた暁に、活用頂ける最新のソフトウェアの機能と、最新化がもたらす価値について、主要なミドルウェアの切り口から、コラムをお届けいたします。
今回は、IBM システムz全体がもたらす価値について、キーとなるトピックをいくつか取りあげます。
登場人物
先輩 : IT部門のシニアな社員。豊富なメインフレーム経験を持つ。自称“zマイスター”
後輩: IT部門若手社員。メインフレームが主担当だがオープン系も一部担当する。
メインフレームの価値
-
後輩 :
メインフレームの運用に関わって数年になりますが、最近は仕事にも慣れてきて、自分の仕事がどのようにビジネスに貢献しているのか気になるようになってきました。さらに、これからもっと役立つためにはどうすればよいのかということも考えたいと思っています。そこで、先輩に色々と伺いたいのですが、よろしいでしょうか?
-
先輩 :
なるほど。前向きな考えですね。では、まず目の前にあるメインフレームにどんな価値があるのか考えてみるのはどうでしょう。加えて、IBMの一番新しいシステムzというメインフレームがもたらすビジネス的な価値についても考えてみましょうか。例えば、どんなポイントに興味がありますか? どんなことでもよいでので、疑問に思っていることを聞いて下さい。
-
後輩 :
はい、よろしくお願いします。では、まずメインフレームというと、真っ先に思い浮かぶのがシステムの信頼性だと思うのですが、具体的な価値として見えにくいですよね。この部分について、どのように考えればよいでしょうか?
-
先輩 :
システムの信頼性については、ハードウェアで故障しにくい部品を使うことや、不具合が出たところを自動で予備に切り替えるような止まらないための仕組みを備えていることが大事です。システムzのハードウェアは、そのような仕組みを備えているのに加え、ミドルウェアの品質も他のプラットフォームと比較して、良好であるということが挙げられます。ソフトウェアの品質が悪い場合には、システム構築時のテストや、本番稼働後のトラブルの対応などで、より多くの工数が必要となり、見えないコストが大幅に増加することになり、投資対効果を低下させる原因となります。
-
後輩 :
あと、オフィスにあるUnixサーバーでは、トラブルの対応で、ダンプやトレース等を用いても問題が特定できなかったり、とりあえず最新のFixpackを適用して様子をみたりしなければならない事があり、トライアンドエラーによる対応をせざるをえない事が多々あります。また、月末のデータを大量に処理するような場合でも、システムzはCPU使用率が100%を振り切っても、大事な処理を優先的に判断したりして、システム全体がスローダウンすることなく稼動し続けますよね。これがビジネスになると、業務を止めることなく、ビジネスへのインパクトを抑止できることも大きなメリットになると思います。
-
先輩 :
WorkLoad Managerのことですね。確かにこれは、IBM システムzのアーキテクチャーの特長で、信頼性を実現している大きなポイントです。また、アーキテクチャーの観点で言えば、システムzはハードウェアとソフトウェアがシナジーをもって一体となり、昨今流行のアプライアンス的な価値も提供しています。例えば、Sysplexというクラスタリング構成でDB2のデータを共用している場合は、ハードウェアとソフトウェアが一体となってデータベースの整合性をとりつつ、拡張性、可用性を実現しています。さらに昨年発表されているDWHアプライアンスである「IDAA (IBM DB2 Analytics Accelerator)」を使用すれば、DB2上の基幹データを用いたDWH系の処理がより高速になり、そのまま情報系のデータとして使用できるわけです。
-
後輩 :
そう考えると、そのITシステムをコスト・センターではなくプロフィット・センターとして捉えることができそうです。データは増える一方ですから、その活用方法は大事ですね。
-
先輩 :
新規に取り組む価値が見えてきましたか。その他には、ビジネス要件に応じて柔軟に拡張できるかといった観点があります。例えばIMSというデータベース製品の最新のベンチマーク・テストでは、一秒間に6万件のオンライン・トランザクションを処理できることが確認されています。ACID属性(*1)を保ちながら、シングル・システム・イメージでこれだけ拡張性のある仕組みを提供できるのはIBM システムzだけでしょう。このような拡張性は、ビジネス・ニーズ拡大に対応する際の、既存投資の保護という意味で大きな価値を提供するものです。
-
後輩 :
さすが、先輩。わからない言葉もちらほら…。
投資の観点だと、メインフレームは高いというイメージがありますが、一方で、先に話した障害時の手間暇なども入れて考えるとシステム全体では最新のzは決して高くはないという記事も読んだことがあります。また、システムの数が20から30を超えると、メインフレームに統合したほうが、コストが安いという話も。実際のところはどうなのでしょうか。具体的なデータの積み上げで語れるものはないでしょうか? -
先輩 :
ITの経済性について研究しているHoward Rubin博士という人のレポートでは、様々な業界のITコストについての調査を実施した結果、会社の規模が大きくなれば、その製品・サービス単位のITコストは、メインフレームをベースにしたシステムのほうが、安いという報告があります。Webサイトに掲載されている各種レポートには具体的なデータが記載されているので、納得できるかどうかは一読して判断してみてください。(*2)
-
後輩 :
はい、後で詳しく見てみます。
システムz上で稼働するミドルウェアの拡充
-
先輩 :
これまで話してきたように、伝統的に語られてきたzインフラストラクチャーの信頼性であるとか、TCOメリットにもまして重要なことは、システムz上で稼働するミドルウェアが機能を拡充して進化し続けており、今や、その能力はデータ・マネジメント、アプリケーション基盤、サービス・マネージメントで必要とされる機能をほぼカバーしているという事実です。
-
後輩 :
そうですか。たとえばデータベースのエリアでいうと、どのような事が可能となっているのでしょうか?
-
先輩 :
企業のIT化の歴史において、過去は、既存業務プロセスの効率化のためにシステムが作られ、その多くの基幹業務システムがメインフレーム上でつくられてきました。しかし、これからは、その基幹業務で扱っているデータを、如何に企業のビジネスを伸ばすために活用できるかが、企業成長の鍵となっていくのは間違いないでしょう。
-
後輩 :
基幹データは、いくつもの加工を経て練り込まれた情報資産ですからね。
その活用のためには、どのようなものが提供されているのでしょうか? -
先輩 :
このエリアでは、DB2やIMSのデータを情報系システムに連携するためのInfoSphere製品群、ビジネス・インテリジェンス(BI)ソフトであるCognosや、分析用ソフトのSPSSなど、既存データからビジネス・インサイトを得るためのミドルウェアが揃っています。これらのソフトウェアを用いることにより、システムz上でミッション・クリティカルなDWH、オペレーショナルBIといった、リアルタイムに基幹データを活用するシステムを構築することが可能になります。これらの付加価値の高い情報を経営判断に生かせば、そこから得られるビジネス的な価値は非常に大きなものとなるでしょう。
-
後輩 :
ありがとうございます。色々な製品名も出てきましたね。
確かにデータ・マネジメントのエリアについては、具体的な価値のイメージが掴みやすいのですが、アプリケーションの基盤として考えた場合に重要なポイントはどのあたりでしょうか? -
先輩 :
このエリアで最も重要なことは、企業として、新しいサービスを如何に迅速に投入できるかという点です。この点においては、ILOGという製品に代表されるルール・ベースのアプリケーション開発や、CICS、IMSといった伝統的ミドルウェアのSOA対応など、インフラとして必要な機能が、ミドルウェアによって一通り提供されています。
-
後輩 :
なるほど。従来からあるものから、新しいものまで、先輩の知識はメインフレームの職人といったところですね。
-
先輩 :
職人ね。もうちょっと、モダンな呼び方はない?横文字でマスターとか、マイスターとか、マエストロとか。
-
後輩 :
マエストロは芸術家っぽいですね。それはちょっと…。
ではマイスターで。
いままで伺ったお話を私なりにまとめてみると、最新のシステムzプラットフォームを使用することにより得られる価値というのは、システムzの基盤力によるメリットを享受しながら、そのインフラの上で、最新のビジネス・ニーズに対応するソフトウェアを稼動させられる、ということですね。 -
先輩 :
そのとおりです。さらに付け加えれば、IBMのいっているSmarter Computingなどの取り組みにも対応できるインフラとして、システムzは類まれなる機能を備えたプラットフォームといえますね。次回以降のセッションでは、主要なミドルウェアごとに、最新の機能から得られる価値についてディスカッションをしていきましょう。
-
後輩 :
そうですね、マイスター!!今回のお話を通じて、システムzの全般的な価値のイメージは掴めました。これで、ますます、次回以降のセッションが楽しみになってきました。これからもよろしくお願いします。
*1:
ACID属性とは、Atomicity, Consistency, Isolation, Durabilityから合成された頭字語である。これ以上分解してはならないという意味の原子性(Atomicity:不可分性)、一貫性(Consistency)、独立性(Isolation)、および永続性(Durability)は、トランザクション処理の信頼性を保証するために求められる性質である。もしACIDがなければデータベースの完全な状態は保証されない。(出典:Wikipedia)
*2:コンピューティングの経済性 エンジンとしてのメインフレーム (執筆:Howard Rubin博士) (2.84MB)
IBM、IBM ロゴ、ibm.com、CICS、DB2、IMSおよびz/OSは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml (US) をご覧ください。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。
