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将来のSystem z:なくてはならない存在

2007年9月11日発行

The Mainstream - 2007年9月 - 第26号
Jim Porell の顔写真Jim Porell, Chief Architect, IBM System z™ Software

メインフレームは、オープンで強力なプログラミング環境と優れたオペレーション環境を提供しているために、「マスター・コラボレーター」(強力な協業者)と呼ばれてきました。にもかかわらず、あまりにも長い間、高い信頼性とセキュリティーを保ちながら稼働してきたために、その先進的な技術は忘れられがちです。特に強靭なビジネス環境、高いセキュリティー、ビジネス・プロセスの統合、ワークロードとキャパシティー管理を目的とする分野では、プラットフォームはメインフレームを置いて他にありません。IBMは、ハードウェア、ファームウェア、ミドルウェア、オペレーティング・システムをすべて合わせて総合的に開発を行っており、メインフレームが特に分散システムのモデルと比べてオペレーション上優れている理由はまさにそこにあります。

しかし、テクノロジーは絶えず進化し続けています。ITのコストやシステムを評価する基準も同様に進化を続けています。この記事では、メインフレーム・テクノロジーに見られる変化、スリム化およびエコ環境における優位性、さらにメインフレームが将来にわたってエンタープライズ・コンピューティングの中核を引き続き担っていく理由についてお話しします。

メインフレームは何が違うのか
メインフレームのやり方は、「ソフトウェアを調達しよう」です。それに対してx86サーバーやUNIX® の世界のやり方は、ハードウェアを購入し、そして購入し続けるものです。1台目は本番用、2台目はバックアップ用、3台目は開発用、そして、それと同じものを何度もクローンとして購入し続けるのです。このことがもたらす影響については後ほど詳しく触れます。

たいていは分散プラットフォームで稼動する、マスコミに大きく取り上げられるような素晴らしいアプリケーションは増えつつあり、企業においてますます重要な位置を占めるようになっています。それらの新しいアプリケーションの多くは他のアプリケーションと連携しません。しかし、それこそが必要な要素なのです。縦割りにしたシステムでは、複合アプリケーションがシステムやボックスの枠を越えて連携しなければならなくなる将来において成長を支えることはできません。たとえば映画のデジタル・ダウンロードやVoIPなど、最近大きな人気を集めているものはいずれも、メインフレームと組み合わせた場合、さらによいものにすることができます。エンタープライズのシステム資源を集中共同運用すれば、現在のセキュリティーと必要なセキュリティーはどのくらいか、占有するフロア・スペースがどれだけ必要かと言った大きな問題に対する答えが見えてきます。IBMは、長期的な企業ニーズを見据えてメインフレームの価値拡大に努めています。

ITマネージャーが「zIIPやzAAPはメインフレームのコストをどの程度下げることができるのか」と質問することがあります。これを見てもわかるように、コストの測定については誤解があります。その質問に対しては「わからない」としか答えようがありません。それらの処理エンジンは、一部のデータをメインフレームに引き込むことによってコスト削減や何らかの問題解決を図るものです。また、IBMはさまざまなコンポーネントやプロセスを効率化するために、エンドツーエンドの観点で問題解決に努めています。しかし、コスト削減は何もメインフレームに限った課題ではなく、IT全体の課題です。究極の目的は、あらゆるものの総所有コスト(TCO)を下げることです。

ITコストは全体的なものであり、それぞれ運用のやり方の違うものを横断的に捉えることは容易ではありません。ビジネスの規模が拡大するにつれてサーバー数が増え、人件費や電力コストは増加します。その一方でハードウェア・コストは下がっていきます。そのため、ある基準に沿って効率的に評価を行うことは非常に困難です。

サーバーのアップグレードなどのような一般的なシナリオを考えてみれば、違いははっきりしてきます。分散サーバーの場合、次世代ハードウェアへの移行時期を迎えたときにすべてのサーバーをアップグレードするのに何カ月かかるでしょうか。メインフレームなら8時間で済みます。リモート・サポート機能を使用すれば、エンジンがダウンした場合は、それをスワップできます。オペレーティング・システムがそれに気付くことはありません。x86サーバーの場合、ボックスがダウンすればオペレーティング・システムもダウンします。たとえそれがどんなにすばらしい結果であろうと、ある基準による評価が正しい価値を示しているとは限らないということを頭に入れておかなければなりません。

メインフレームを購入するということは、単にコンピューティング処理をするコンテナを入手するだけにとどまらず、I/O、専用エンジン、zAAP/IFL、暗号化エンジン、結合機構をはじめとする、ソフトウェア料金が発生しない標準コンポーネントに組み込まれた40年に及ぶ経験を得るということです。しかも、メインフレームは、zIIPや仮想プライベート・ネットワークから、近く登場するアルゴリズム主体のテクノロジーであるXMLに至るまで、あらゆるものを共用します。では、なぜこれが重要なのかと言えば、企業はWebサービスを使用し、ゲートウェイを設置して、キャパシティーを容易に追加できるようにすることを望んでいるからです。

スリムでエコな仮想化マシン
仮想化は、System zにとって、エネルギー・コストに直結する非常に特別な意味を持ちます。IBMが仮想化しているのはプロセッサーだけではありません。メモリーもそうです。さらには対称型マルチプロセッサー、ストレージ、ネットワークも仮想化しています。そうしてワークロードのバランスをとっているのです。

また、1台のSystem zメインフレーム上でワークロードを大幅に拡張することも可能です。具体的に言うと、IBMでは1台のメインフレーム上で97,000台の仮想マシンを稼働させることに成功しています。実際、System zメインフレームは数百あるいは数千のワークロードを実行することができ、しかもそれぞれサービス・レベルの設定、セグメント化と区画化、セキュリティーを保つことができます。エネルギー・コストを直線的に増加させることなく、仮想サーバーのワークロードを柔軟に増加できることは、他とは大きく異なる優れた点です。

さらに、IBM System z9 Enterprise Classに統合した場合、x86上でLinux® を稼働する場合と同じスペースで最大4倍の処理、また同じ消費電力で最大12倍の処理を実行可能であることがわかっています。つまり、最小限の設置面積で最大限のキャパシティーが得られるということです。次回UNIXボックスの交換ではなく、メインフレーム上で最新のアプリケーションを稼働させる時は、キャパシティーを追加するだけで済み、そのための追加フロア・スペースをしばらくは確保する必要がなくなります。その期間がほんの2~3年だとしても、数百万ドルの節約につながる可能性があります。

セキュアな仮想化が運用管理のやり方を変える
メインフレーム・サーバーの仮想化は、使用率の低いIT資産や環境コストから、会社の管理におけるスタッフの効率の悪さを減らし、スタッフのコストの削減に至るまでのさまざまな問題点を解決します。

メインフレームに固有の機能の1つとしてワークロード管理があります。これは、メインフレームに数多くのアプリケーションを集中稼動させ、処理装置を共用する必要があるためです。また、IBMソフトウェアが活用するハードウェア上のストレージ保護キーもそうで、それによってトランザクション処理がデータベース処理、あるいはオペレーティング・システムのメモリーなどを消去できないようにしています。その結果、バッファー・オーバーフローが防止されるため、メインフレームがウィルスやトロイの木馬に攻撃されることはまずありません。そもそもの設計が攻撃防止策となっているのです。

仮想化は、分散サーバーの使用率の低さに対する最もわかりやすい解決策の1つです。どんなに使用率が低くかろうと電力は必要であり、使用率の低い冗長サーバーもすべて必要です。また、何らかの修復処置が継続的に必要になることも考えられます。その結果、それらのサーバーには必要以上に高い構成が施されるため、メインフレームによって実現される高い使用率には決して追いつけません。

IBMから開発サーバーを購入した場合、既存のコンテナ内の同じボックス上でアプリケーションを稼働することもできます。これは企業におけるサーバーおよびその役割に対するまったく異なる観点です。

仮想化がもたらす最大の利点の1つはキャパシティー・オンデマンドです。キャパシティーの追加あるいはハードウェアやオペレーティング・システムのアップグレードが容易であることは評価の結果に反映されることはあまりありません。それはそうした調査では1つのアプリケーションを取り上げ、それを1台のサーバー上で稼働した場合と1台のメインフレーム上で稼働した場合で比較することが多いからです。そうした評価ではメインフレームの真価が十分に考慮されておらず、その価値の1割程度しか反映していないため、処理や速度の無意味な指標になってしまっています。

クライアント・サーバー・モデルでは、アプリケーションとデータの間に溝があります。それに対して、z/OS上でその両方を仮想化すれば、数多くの利点を活用できます。アプリケーションとデータの間にあるネットワークとそれに伴うあらゆるリスクの排除もそうですし、フロア・スペースの削減、セキュリティー・リスクの軽減、キャパシティーの追加、z/OSの長年にわたる先進的かつ堅牢な機能の追加もそうです。これはリスクとコンプライアンス管理のやり方が根本的に変革され、簡素化されることを意味します。

ワークロードの拡張とコスト削減
IBMメインフレームは、その優れたオペレーション・モデルにより、SaaS(Software as a Service)を実現することができます。つまり、各メインフレームITショップが基本的にサービス機関となり、ハードウェアを調達するのではなくソフトウェアを稼動させるという方法を採用するということです。ショップは、主としてインフラストラクチャーにキャパシティーを追加し、ソフトウェアを追加するだけです。そのため料金を比較する際、定量化することが困難です。たとえば、UNIX、メインフレーム上のLinux、z/OSの間でアプリケーション・サーバーにかかるソフトウェア料金を単純に比較した場合、メインフレームの方が一見高く見えるかもしれません。

しかし、仮に3種類のアプリケーションと3台のサーバーの価格、つまりアプリケーション、オペレーティング・システム、ハードウェア、ストレージ管理、およびセキュリティーにかかるコストを比較した場合を考えてみましょう。仮想化されたメインフレームは、セキュリティーを除くすべてを含んでいます。ネットワーキングは不要になり、ストレージ管理インフラストラクチャーは共用され、ディスクや一部のネットワーキングも共用されます。したがって、分散モデルと比べて大幅な節約となることがわかります。

分散コンピューティングでは、隠れたライセンス・コストが発生します。ほとんどの場合、UNIXサーバーではソフトウェアのライセンスはエンジン単位ですが、仮想化ライセンスの料金計算法はソフトウェア・ベンダーやハードウェア・ベンダーごとに異なります。その理由は、使用率の低いサーバーによってインフラストラクチャーが十分に活用されていないことにあります。35%の仮想化ではVMのコストに見合わないでしょう。ベンダーは固定料金を与えられますが、キャパシティーが増減するためお客様にとっては変動料金ということになります。それに対して、IBMのメインフレームの場合、キャパシティー・レポート・ツールによって料金を保証することができます。

ハイブリッドの未来:新たな独創的方法による問題の解決
メインフレームのコストを下げ、新しいテクノロジーが利用できるようにし続けるにはどうすればよいでしょうか。メインフレームが成功するにはコラボレーションが必要ですが、メインフレームには潜在的にその能力が備わっていることを忘れてはなりません。IBMの従来の市場はオンライン・トランザクション処理(OLTP)です。したがって、それを活かす方法の1つは、データのあるところにアプリケーションを持って行き、最善のテクノロジーを利用し、最適に設定することです。それと同じモデルは、Windows® やUNIXと整合する分散アプローチとも整合します。

ハイブリッドな設計をすれば、System zの長所を他の多くのサーバー、さらには他のハードウェア・アクセラレーターと統合することができます。つまり、最先端のリソース仮想化テクノロジーとプラットフォーム管理テクノロジーを採用し、それらを応用して高度な統合プラットフォームを構築し、単一のユニットとして管理できるということです。統合ハイブリッド・プラットフォームは、分散システム構成によって実現可能なことを超える価値を提供します。たとえば、新たなハイブリッド・パケットを一緒に構築することにより、運用スタッフは1つのコンテナ内で最上のものを得ることができます。

すべての企業がこのようにするのは明白でしょう。なぜなら、それは開発環境だからです。x86サーバー上で開発し、CICSやIMSでテストする。これが発展するに従って、アプリケーション開発はますます単純化されていきます。

効果的なハイブリッドを実現できるようにするには、どこから人間の体験を変えていくべきでしょうか。IBMでは、Candle Corporationの買収の一環として得た、グラフィカル・インターフェースと色分けされたインジケーターを備えたOMEGAMON製品によってその一部を行っています。

シンプリフィケーションを研究し、それを推進し、今後もそれを計画しているということは、メインフレームが今日的な意義を持ち続け、すでにお使いのお客様の満足度を高め続けることを意味しています。しかも、メインフレームがデータベース・サーバーとして、真の価値を発揮しているということであり、次世代のアプリケーション・プログラミング・モデルをメインフレーム上で共存させることでもあります。

あらゆることをこのボックス上で済ませるわけにはいきませんが、やり方を変革し、障壁を打破して、メインフレーム上でデータ分析やデータウェアハウスグを実現することにより、1つの大きな問題が解決されます。つまり、最高のサーバー、そして新しいレベルの柔軟で強靭なシステムが得られるのです。

次世代アプリケーションのための砂場を作る
従来メインフレーム開発環境は厳重に警備された砂場のようなものでした。そこでは変更管理のために機密を保って、決してアプリケーション・アーキテクトの遊び場ではありませんでした。その考え方は、開発の仕組みとして今もなおそのままですが、次世代のアプリケーション開発には通用しません。これにはさまざまな理由があります。

仮に処理能力と堅牢な開発者ツールキット(もちろんIBM製の)が揃っているとします。COBOLプログラムの再構成も必要ですが、いざJava™ 関係の導入準備が整ったときに、それを誰が導入するのでしょうか。我々は、長い年月の間に1世代分のプログラマーたちを失いました。ITグループはあっても前に進もうとはしません。なぜなら、実稼働システムだけが彼らの仕事の対象だからです。CICSやIMSは、使いこなすにはコストのかかるスキルが必要です。そして、アプリケーション・アーキテクトは遊び場の中にはいません。それらのスキルが交わる部分とはどこでしょうか。どのようにして展開戦略を実行すればよいのでしょうか。

仮想化することが唯一の方法です。ゆくゆくはすべての開発者が各自のデスクトップ上でメインフレームの一片を使えるように、ITがzVMを準備しなければならなくなるでしょう。秘密の砂場は開けなければなりません。実際のところMicrosoft® のレジストリーと同様に複雑なものではありません。なお、IBMでは現在、zPlatform Initiativeというプログラムを提供しています。これはお客さまのスタッフが遊べるようにzLinuxやCICSなどを、すべて同じボックス上でリースするもので、これまでとは違うやり方の出発点となります。

すべての分野の一番良いものを一緒にすることにより、開発者は砂場の中で遊びながら無料で学ぶことができ、実稼働システムに影響を与えることなく新しい世代の開発者を教育訓練することが可能になります。

まとめ
IBMが革新的なSystem/360によってコンピューティングとビジネスの世界、さらには自らを変革したのは、今から40年以上も前のことです。その当時の精神は、メインフレームの特徴である高度に統合された設計によって促進されるイノベーションおよびオンデマンド・ビジネスといった大きなソリューションの新時代になった今日でも成長を続けています。

IBM, IBM(logo),System zはInternational Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標です。 他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。