2009年9月、10月、著者:Elisabeth Stahl
1999年、ニューヨーク州のPoughkeepsieに設立されたIBM Design Centerデータ・センターが、IBMのサーバーとストレージのテクノロジーによって、お客様のITインフラストラクチャーを実現するというミッションを掲げ、お客様センターを開設しました。
その当初から、サーバー・インベントリーは最新のテクノロジーによって更新されてきており、お客様に向けた取り組みやお客様の増大によってさらなるインフラストラクチャーが要求される中で、キャパシティーも増強されました。IBMは、定期的にBladeCenter®、System p®、System i®、System x®、およびSystem z®のサーバー、TotalStorage®、System Storageなどの製品をDesign Centerのラボに追加してきました。これらのサーバーはそれぞれ、マルチコア・プロセッサー、超高密度サーバー・エンクロージャー、仮想化機能などの新しいテクノロジーの基盤となるものでした。
新たなハードウェアの導入に対応するため、電力要求の増大に対処できるように、必要に応じて電力回路が新たに追加されました。このような状況が何年間も続いたのですが、その部屋の電力が増大する中で、部屋の温度も同時に上昇していき、ついには、冷却ユニットから高温アラームが発せられることが日常茶飯事になりました。そして最終的に、新たにテクノロジーを大きくアップグレードし、電力も大幅に増大しなければならない時がやってきました。何か手を打たざるを得ませんでした。このIT管理に関するアプローチは、多くの企業が抱える共通の問題となっています。企業が、増大するビジネス・ニーズに対応すべくテクノロジーを追加していく中で、サーバーやその他のIT機器が無秩序に広がり、制御できなくなってしまう場合があります。この記事では、IBMの統合アプローチをご紹介し、お客様のデータ・センターの効率性を評価する際に役立つアドバイスを示していきます。
分析、アセスメント、変革
Poughkeepsie Green Data Centerの変革の最初のステップは、既存の構成における熱に関して把握することでした。そこで、新しいデータ・センターのレイアウト計画を支援するためにモデル化の手法が用いられました。
移動式温度分布実測機(MMT : Mobile Measurement Technology)は、IBMが開発した機器とソフトウェアを使用して測定される温度、湿度、気流の詳細情報に基づいて、データ・センター全体に対して熱と冷却システムに焦点を置いたアセスメントを行います。図1は、変革前に実施されたMMTのスキャン画像です。
レイアウトは、数値流体力学(CFD)のツールを使用して調整されました。主要な改良点としては、暖気通路/冷気通路、System Storage DS8000® ラックへの再循環を防ぐ調節板、LEDライト、整頓された上げ床、7つのRear Door Heat eXchanger(RDHX)ユニットによる水冷却方式などがあります。近くにあるハドソン川の水を利用したコストのかからない水冷却方式が採用されました。
Poughkeepsie Green Data Center の変革後、データ・センターに施された変更によって、熱パフォーマンスがどのように改善されたのかを検証すべく、最終的なMMT分析が行われました(図2参照)。データ・センター・インフラストラクチャーを稼動する電力の4分の3が節減されたことで、電力使用効率(PUE : Power Usage Effectiveness)が業界平均のおよそ4分の1にまで抑えられています。物理的な統合によって、IT負荷は同じスペースの設置面積において2倍以上(54kW増加)となり、700平方フィート(約65平方メートル)以上の上げ床スペースを今後の拡張に備えて確保できるようになりました。
ITエネルギー管理の技術とツール
データ・センターの設備強化に加えて、エネルギー管理の技術もまた、データ・センターのエネルギー効率を向上するのに重要な役割を果たしました。最初のステップとなるキャパシティー・プランニングは、最も重要なステップでもあります。現在のワークロードを把握することで、IT管理者はデータ・センターのピーク利用時を想定して計画を行うことが可能になります。
データ・センター全体で仮想化と統合を採用することで、ハードウェアの使用効率を最大化できます。Poughkeepsie Green Data Centerの取り組みにより、古いインフラストラクチャーのサーバー・ファームを新しいテクノロジーで置き換えることで、保守と償却にかかるコストの削減、インフラストラクチャーの単純化、可用性の向上、サーバーとデータ・センターのリソース(電力、冷却、床スペース)のより効率的な利用を実現させました。
ある統合において、18台のサーバーを2台のIBM Power 570システムに置き換え、さらに別の統合においては、メインフレームに焦点を合わせました。Poughkeepsie Green Data Centerは、System zの仮想化テクノロジーを活用して、物理サーバーを論理サーバーに統合することで、物理的な設置面積を削減しながら、センターの能力を向上させました。堅牢な3台のIBM System z9® Enterprise Class(z9 EC)メインフレームに関して、Poughkeepsie Client Centerのミッションが設けられました。このミッションの目的は、2台のz9 ECシステムを1台のIBM System z10® ECに統合し、物理的な設置面積を削減しながら、ビジネスのキャパシティーと機能を向上させることでした。統合による利点は、システム、設備、および人的なリソースのより効率的かつスマートな利用、パフォーマンスと可用性の向上、システム管理の容易性にあります。
プロビジョニングは、OSイメージ、ミドルウェア、ソフトウェアのデプロイメントを自動化できます。また、パッチ管理、ユーザー・プロビジョニング、ネットワーク・プロビジョニング、ストレージ・プロビジョニングに活用することもできます。プロビジョニングは、物理リソースの管理という管理者の負担を取り除き、管理者がシステムの管理ではなく、ITサービスの管理に集中できるようにするものです。Poughkeepsie Green Data Centerでは、エンド・ユーザーがセルフ・サービスのプロビジョニング・ソリューションを作成できるように、Tivoli® Provisioning ManagerとWebポータルを併用しました。このポータルにより、ユーザーはLinux® for System zリソースの要求とプロビジョニングが可能になりました。
クラウド・コンピューティングの構想は、より少ないリソースでより高い効率を実現できると同時に、コストを削減して、運用予算を新たな投資のために確保できるということを示しています。クラウド・コンピューティングは大まかに、サービスとしてのインフラストラクチャー、サービスとしてのプラットフォーム、サービスとしてのアプリケーションの3つの部分に分けることができます。Poughkeepsie Green Data Centerの変革では、Tivoli Service Automation Managerの先行版を使用して、基本的なクラウド・コンピューティング環境を実装しました。このソリューションには、Webサービスを介してプロビジョニング要求を実行する、WebSphere® sMashで作成されたユーザー向けのセルフサービス・ポータルが含まれました。
また、エネルギーの測定とモニターのツールも、ダイナミック・インフラストラクチャー・データ・センターの構築に重要な役割を果たしています。この実装では、インフラストラクチャーのモニターと管理を行うために、SynapSense社のSynapSoftツール、IBM Systems Director Active Energy Manager、IBM Tivoli NetCool/Omnibus、IBM Tivoli Monitoring、Tivoli Enterprise Portalが使用されました。
ハッピー・エンドと新たな幕開け
Poughkeepsie Green Data Centerの実装により、IBMは冷却能力を向上させつつ、継続的な拡張に包括的に備えました。効率の高い水冷却テクノロジー、データ・センターのベスト・プラクティス、エネルギーのモニターと管理の技術を駆使して、今後の拡張に対応できる余裕を備えながら、既存のデータ・センターの面積で、要求される100 kWの負荷を満たしつつあります。このアップグレードはミッション・クリティカルなワークロードを妨げることなく終えることができました。投資は1年未満で回収でき、環境影響は年間で7.5 kW抑制されます。
詳細情報
この記事は、John Brady、Ira Chavis、Matthew Finlayson、Michael Harkins、John P. Mullin、Julie Peet、Sheryl Qualters、Rodrigo Samper、Elisabeth Stahlが、統合について著したRedpaperに基づくものです。詳細については、IBM Redbooks®資料の「Implementing the Poughkeepsie Green Data Center: Showcasing a Dynamic Infrastructure」(REDP-4534-00、www.redbooks.ibm.com/abstracts/redp4534.html?Open(US))を参照してください。
Elisabeth Stahl は、IBM Systems and Technology Group のチーフ・テクニカル・ストラテジストです。
IBM、IBM ロゴ、ibm.com、BladeCenter、IBM Systems Director Active Energy Manager、Redbooks、System i、System p、System Storage、System Storage DS8000、System x、System z、System z9、System z10、Tivoli、TotalStorageおよびWebSphereは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml (US) をご覧ください。
Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における登録商標です。
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。
