掲載日 2007年7月12日

フォトマスク
大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、半導体デバイスの製造工程に欠かせないフォトマスク市場で、国内だけではなく世界でもトップ・シェアを誇るリーディング・カンパニーです。市場競争の激しい半導体デバイスの世界では、日進月歩で高性能化、高集積化が進んでおり、より高精細なフォトマスクを短期間で入手したいという業界のニーズは高まるばかりです。このようなニーズに対し、DNPの電子デバイス事業部では、膨大な情報量のCADデータを高速に処理するため、システムのCPUパワーを増強する必要に迫られていました。既存アプリケーションを活用するためSunのSolaris
10が稼働し、圧倒的な処理性能が求められるシステムの基盤として、DNPが導入したのはIBM
BladeCenterでした。BladeCenterの導入により、DNPでは処理時間を従来の48時間から10時間へ大幅に短縮し、同時に設置スペースの削減と高い運用管理効率を実現できました。
お客様ニーズ
半導体デバイスの高性能化によりCPU負荷が増大
電子デバイス事業部
製造第1本部
IT設計部
高倉奨氏
情報機器を支えるICやLSI、CPUなどの半導体デバイスの製造には、シリコン・ウェハー表面に回路パターンを焼き付けるフォトマスクが不可欠です。パソコンや携帯電話、ゲーム機はもちろん、テレビ、白物家電にまで搭載されている半導体デバイスは、日進月歩で高性能化が進められてきました。半導体デバイスの高性能化は、回路パターンの微細化が最も重要な要素となります。10年ほど前まで250nm(ナノメートル)だった回路パターンの線幅は、現在では90nmあるいは65nmが主流となっており、すでに先端領域では45nmの開発も進められています。DNPでは、長年培ってきた印刷技術を応用し、1961年からフォトマスクの生産を開始、先端領域では国内だけでなく世界市場でもトップ・シェアを誇っています。
「回路パターンの微細化・複雑化により、近年では1ファイルあたりのCADデータが100~200GBと大容量化してきました。その影響によって、製造時の欠陥判定を行う『マスク・ルール・チェック(MRC)』を行うだけでも、膨大な処理時間が必要となってきました。しかし、競争の激しい半導体デバイス業界では、納期の長期化は許されません。お客様のニーズを満たす短納期・低コストでのフォトマスク製造を行うために、インフラのCPUパワーを増強し、MRCを短時間化することが急務となっていました」(DNP
電子デバイス事業部 製造第1本部 IT設計部 高倉奨氏)
こうしてDNPでは、2006年春にインフラ増強の検討をはじめ、システム・インテグレーター各社からの提案を募りました。DNPが求めた要件は、既存のMRCアプリケーションを使用するため、SunのSolarisが稼働するハードウェアであることと、導入コストを抑えながらもCPUパワーをできる限り確保することでした。
ソリューション
ブレード・サーバーでSolarisが稼働するBladeCenter
IBM BladeCenter
DNPの要請を受け、システム・インテグレーターであるティーモステクノロジック株式会社(以下、ティーモステクノロジック)が提案したのは、高速処理で定評のあるAMD
Opteronを搭載したBladeCenter上でSolaris 10を稼働させるシステムでした。
「クロック数の高い1Uタイプのラック・サーバーを並べて使用するプランと、1つの筐体で複数のCPUを利用できるブレード・サーバーを使用するプランという2つの選択肢がありました。放熱構造などの問題もあり、クロック数の高いCPUを使用するにはラック・サーバーが適しているのですが、比較検討した結果、ブレード・サーバーでCPU数を増やしたほうがコスト・パフォーマンスに優れていることがわかりました。また、ブレード・サーバーであれば設置スペースを削減できることも、データセンターが手狭になっている我々にとっては大きなメリットだと考えました。そのような検討の結果、ブレード・サーバーの中でSolarisを稼働できるIBM
BladeCenterを導入することになりました」(高倉氏)
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DNPでは、2006年の夏に導入を決定。BladeCenterは導入後わずか2週間で設置および検証を終え、本格稼働をはじめました。これだけの短納期で導入から検証、稼働まで行えたのは、シャーシに電源からネットワーク機器まで組み込まれており、ケーブル接続の手間なく導入できるBladeCenterの大きな特長といえます。なお、DNPに導入されたBladeCenterは、システム全体を管理する4台のメイン・サーバーと演算処理を担う14台のサーバーで構成されています。
BladeCenterはDNPのシステム上で、顧客から支給されたCADデータをフォトマスク化する際の問題をチェックするMRCで使用されています。MRCで処理したデータは、実際のフォトマスクを出力する前に、顧客側の検図用として使用されます。CADデータの受け取りから検図までの時間を短縮することは、フォトマスクの製造工程全体の短納期化につながります。フォトマスクの描画工程後にも、シリコン・ウェハーへの転写時のエラー発生を防ぐためMRCが必要となるため、その工程でもBladeCenterが利用されています。より速く、より高精細なフォトマスクを製造する上で、BladeCenterは重要な役割を担っているのです。
導入効果
48時間を要していた処理時間を10時間に短縮
顧客から提供される100~200GBという大容量のCADデータを、複雑で高精細な回路パターンに転写するには、膨大な演算処理能力が必要とされます。従来のシステム環境では、ラック・サーバー7台を並列接続してもMRC処理だけで約48時間が必要とされていました。ところがBladeCenterを導入したことによって、MRC処理をわずか10時間に短縮できました。従来の環境と比較すれば、処理能力が約5倍向上したことになります。BladeCenterによる高速なMRC処理のおかげで、DNPは、より多くの案件を受注することが可能となり、ビジネス機会を増大することが可能となりました。
「最大の導入効果は、処理時間を劇的に短縮できたことです。現場のオペレーターからも処理スピードの速さは絶賛されています。14台のサーバーを1画面のブラウザーでリモート監視できる運用面の容易さも、高く評価しています」(高倉氏)
将来の展望
拡張性と高可用性、コスト削減効果に期待がかかるBladeCenter
最後に、BladeCenterに対する期待や今後の予定について高倉氏に話を伺いました。
「半導体デバイスの世界は、今後もさらに微細化が進むことは間違いありません。そうなると必然的にデータ量が大容量化し、CPUへの負荷は増大し続けるでしょう。その点、BladeCenterであれば容易にサーバーを追加できるので安心です。また、BladeCenterは、将来にわたって使い続けられるという安心感も大きいですね」
お客様情報
- お客様名:
大日本印刷株式会社(略称 DNP)
- 所在地:
東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
- 概要:
エレクトロニクス部門では、エッチング技術や写真製版技術などを応用して、ディスプレイ製品に求められるシャドウ・マスク、カラー・フィルター、プラズマ・ディスプレイ用背面板、プロジェクション・スクリーン、有機ELなど、さまざまなディスプレイ用部材を開発・提供しています。また、半導体製品では、サブミクロン単位の高精度加工技術を使って、LSI回路の焼き付け原版となるフォトマスクや半導体チップの接続端子となるリード・フレームなどを開発・提供しています。
- お客様名:
ティーモステクノロジック株式会社
- 所在地:
東京都千代田区岩本町2-11-9 イトーピア橋本ビル5F
- 概要:
ハードウェア、ソフトウェアを問わず論理設計・物理設計レベルのコンサルティング・開発をベースに、システム・インテグレーションから受託開発、支援要員派遣、お客様のビジネス・モデルに対するファイナンス、投資事業支援まで幅広い事業を展開しています。

- BladeCenter、IBM、IBMロゴは、International Business Machines Corporationの米国およびその他の国における商標。
- 他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標。

