BRMSとは
IBM i ではユーザー・データの保管運用にTS3100などのテープ・ライブラリーを利用することができます。テープ・ライブラリーとは複数のテープ媒体を格納するスロットとテープ・ドライブで構成されている装置で、1本単位でテープ媒体の出し入れをする必要がないため、テープ・ライブラリーを利用することで保管運用の自動化を図ることができます。また、IBM i ではテープ・ライブラリーを利用した保管運用の自動化を支援するためのソフトウェアとしてBackup, Recovery and Media Services(BRMS)と呼ばれるオプションのライセンス・プログラムが用意されています。このセミナーでは日次保管運用の自動化を例にBRMSでの設定例をご紹介いたします。なおBRMSの導入、前提条件については各OSリリースのInformation Centerをご参照ください。
BRMSの構成要素と用語
BRMSでは保管運用を以下の図のような各種のポリシーを登録、利用します。基本的な定期保管運用で利用するポリシーとしては主に以下のものがあります。

- 【媒体プール】 定期保管運用で利用するテープ媒体を登録しておくためのプールとなります。5250インターフェースでは媒体クラスと呼ばれるものです。
- 【媒体ポリシー】 データの保存期間や、媒体プールなどの定期保管運用で利用するテープ媒体の性格を設定するポリシーです。
- 【バックアップ制御グループ】 保管するライブラリーやオブジェクトのリスト、使用するテープ装置などを登録するもので、保管処理の実行単位となります。
BRMSによる日次保管セットアップ例
以下のような要件を持つ日次保管を例にBRMSでの設定をご紹介します。
- 保管するユーザー・データは以下の3ライブラリー
- LIBA
- LIBB
- LIBC
- 保管したユーザー・データは7日間保持、保管から1週間後に有効期限切れ
- テープ媒体はバーコードが「DAY001」から「DAY007」までの7本のUltrium4媒体を1日1本利用、1週間後に上書き保存
- テープ・ライブラリーTAPMLB01を利用して保管を実施
- 毎日1時に保管開始
- BRMSのメンテナンス・ジョブは毎日0時15分に実施
BRMSでの設定作業は以下の順序で行っていきます。
ここでは各ステップについて、上記日次保管を例にSystem i® ナビゲーターから操作する手順についてご紹介いたします。
- 【装置の確認】 保管処理で利用するテープ装置がBRMSに認識されているか確認します。
- 【媒体プールの作成】 日次保管で利用するテープ媒体のグルーピングである媒体プールを設定します。
- 【媒体の登録】 日次保管に利用するテープ・ライブラリー内のテープ媒体をBRMSに登録する作業を行います。
- 【媒体ポリシーの作成】 日次保管で利用するテープ媒体の性格を媒体ポリシーで設定します。特にテープ媒体に保管されたデータの有効期間は媒体ポリシーに設定することになります。
- 【バックアップ制御グループの作成】 実際に日次保管を行う際に利用するバックアップ制御グループを作成します。
- 【スケジュール登録】 スケジューラー機能にBRMSによる保管処理の項目を登録します。
1. 装置の確認
1‒1.System i ナビゲーターで「サーバー名」から「Backup, Recovery and Media Services」を右クリックし、「装置の管理」を選択します。

1‒2.「装置の管理」ウィンドウが開きます。ここに保管処理で利用予定の装置がリストされているか確認します。今回の設定例では「TAPMLB01」がリストされていることを確認します。

以下のようにリストにない(BRMSに認識されていない)場合にはウィンドウの「リスト・アクション」から「新規媒体装置」を選択します。


「新規媒体装置」ウィンドウが開きます。「媒体装置」パラメーターにて今回利用予定の「TAPMLB01」を選択し、「OK」をクリックします。
「装置の管理」ウィンドウに戻り、「TAPMLB01」がリストされることを確認します。以上で装置の確認が完了です。
2. 媒体プールの作成
2‒1.System i ナビゲーターの「Backup, Recovery and Media Services」から「媒体」、「媒体プール」を右クリックして「新規」を選択します。

2‒2.「新規媒体プール」ウィンドウが開きます。ウィンドウ内の以下の項目を入力後、「OK」をクリックします。
- 媒体プール名: 今回は「DAILY」とします。
- フォーマット: 使用するテープ媒体の密度を設定します。ここでは「*Ultrium4」を指定します。

2‒3.System i ナビゲーターの「媒体プール」画面にて作成した媒体プール「DAILY」がリストされることを確認します。以上で媒体プールの作成が完了です。

3. 媒体の登録
3‒1.System i ナビゲーターの「Backup, Recovery and Media Services」から「媒体」、「ボリューム」を右クリックして「追加」を選択します。

3‒2.「ボリュームの追加」ウィザードが起動します。「次へ」をクリックします。

3‒3.媒体を登録する媒体プールを指定します。今回は先に作成した「DAILY」を選択して、「次へ」をクリックします。

3‒4.次に追加するボリュームを指定します。今回は「DAY001」から「DAY007」の7本のため、以下を入力後「追加」をクリックします。
- ボリューム名: 「DAY001」
- ボリューム数: 「7」

3‒5.追加するボリューム数に「DAY001」から「DAY007」の7本がリストされたことを確認して、「次へ」をクリックします。

3‒6.「媒体保管場所の選択」で登録するテープ媒体のロケーションを指定します。今回は「TAPMLB01」が選択されていることを確認して、「次へ」をクリックします。

3‒7.BRMSに登録する際に、テープ媒体の初期化(INZTAP)も行うことができます。今回は全てのテープ媒体についてTAPMLB01を利用して初期化を行うように以下を設定後、「次へ」をクリックします。
- 初期化: 各ボリュームでチェックを入れる
- アクティブ・ファイルの無視: 各ボリュームでチェックを入れる
- 装置: TAPMLB01
- 完了時の媒体のアクション: 巻き戻し(*REWINDに相当)

3‒8.「要約」画面が表示されますので設定内容を確認後、「完了」をクリックします。

3‒9.System i ナビゲーターの「ボリューム」画面にて追加したボリュームがリストされたことを確認します。以上で媒体の登録が完了です。

4. 媒体ポリシーの作成
今回は想定した日次保管の要件に従ってデータの有効期間が7日間となるような設定を行います。
4‒1.System i ナビゲーターの「Backup, Recovery and Media Services」から「媒体ポリシー」を右クリックし、「新規」を選択します。

4‒2.「新規媒体ポリシー」ウィンドウが開きます。「一般」タブで以下の項目に入力します。
- ポリシー名: 「DAILY」

4‒3.「場所」タブで以下の項目に入力します。
- 保管場所: 「媒体」
- 媒体プール: 「DAILY」

4‒4.「保存」タブで以下の項目に入力して、「OK」をクリックします。
- 媒体保存: 「日数」を選択して、期間が「7(日)」

4‒5.System i ナビゲーターの「媒体ポリシー」画面で作成した媒体ポリシーがリストされることを確認します。以上で媒体ポリシーの設定が完了です。

5. バックアップ制御グループの作成
ここまでテープ装置やテープ媒体の準備から媒体に関するポリシーの設定を行いました。このステップではバックアップ制御グループを作成します。
5‒1.System i ナビゲーターの「Backup, Recovery and Media Services」から「バックアップ制御グループ」を右クリックし、「新規」を選択します。

5‒2.「新規バックアップ制御グループ」ウィザードが起動します。「次へ」をクリックします。

5‒3.作成するバックアップ制御グループ名を入力します。今回は以下のように入力し、「次へ」をクリックします。
- 名前: 「DAILY」

5‒4.「保管計画の選択」画面が表示されます。今回はユーザー・データのうち「LIBA」「LIBB」「LIBC」の計3つのライブラリーを登録することになりますので、ここでは「Lotusサーバー・データの保管またはオブジェクトのカスタマイズ・セットの保管」を選択し、「次へ」をクリックします。

5‒5.「IBMデータまたはユーザー・データのカスタマイズ」画面が表示されます。ここでは「ユーザー・データ」にチェックを入れ、「次へ」をクリックします。

5‒6.「ユーザー・データのカスタマイズ」画面が表示されます。ここでは「保管する特定項目の選択」にチェックを入れ、「次へ」をクリックします。

5‒7.「保管する項目の選択」画面が表示されます。今回は日次保管の対象であるライブラリーの登録を行いますので、「追加する項目タイプ」として「ライブラリー」を選択し、「追加」をクリックします。

5‒8.「ライブラリーの追加」プロンプトが表示されます。今回は1つ目のライブラリーとして「LIBA」を登録しますので、「LIBA」と入力し、「OK」をクリックします。

5‒9.「保管する項目の選択」画面に戻ります。登録した「LIBA」が保管する項目としてリストされていることを確認します。「LIBB」および「LIBC」についても5‒7.および5‒8.と同様の手順で保管する項目に追加してください。

5‒10.「保管する項目の選択」画面の「保管する項目」に「LIBA」「LIBB」「LIBC」の3つのライブラリーがリストされていることを確認し、「次へ」をクリックします。

5‒11.「保管順序」画面が表示されます。ライブラリーの保管順序を設定できます。今回は「LIBA」「LIBB」「LIBC」の順で取得することを想定し、そのまま「次へ」をクリックします。

5‒12.「ホスト論理区画のシャットダウン」画面が表示されます。今回はホスト論理区画については利用しておらず、このまま「いいえ、ホスト論理区画を実行状態のままにします」を選択し、「次へ」をクリックします。

5‒13.「保管アクティビティー」画面が表示されます。保管処理を差分保管とする設定を行うことができます。今回は毎日、設定したライブラリー全体を保管することを想定し、そのまま「次へ」をクリックします。

5‒14.「媒体ポリシーの選択」画面が表示されます。今回は使用する媒体ポリシーとして先に作成した媒体ポリシー「DAILY」を選択するため、以下のように設定し、「次へ」をクリックします。なお全保管のみを想定している場合でも「変更のみの保管の媒体ポリシー」にもポリシーの設定は必要となります。
- 全保管の媒体ポリシー: 「DAILY」
- 変更のみの保管の媒体ポリシー:「DAILY」

5‒15.「装置の選択」画面が表示されます。今回はTAPMLB01を利用して保管処理を行いますので、「選択した装置の使用 装置は追加された順序で順次に使用されます。」を選択し、「追加」をクリックします。

5‒16.「装置の参照」プロンプトが表示されます。今回利用する「TAPMLB01」を選択し、「OK」をクリックします。

5‒17.「装置の選択」画面に戻ります。選択した「TAPMLB01」が選択した装置としてリストされていることを確認し、「次へ」をクリックします。

5‒18.「保守の実行」画面が表示されます。STRMNTBRMと呼ばれるBRMSのメンテナンス実行コマンドをバックアップ制御グループによる保管処理実行後に実行するかを設定することができます。STRMNTBRMコマンドは1日1回必ず実行する必要がありますが、バックアップ制御グループによる保管処理と独立させてスケジューリングすることも可能です。今回は、STRMNTBRMコマンドは別にスケジュールすることを想定して、「いいえ、保管後に保守を実行しません」を選択し、「次へ」をクリックします。

5‒19.「媒体の追加」画面が表示されます。今回は使用するテープ媒体は先に登録しているため、ここではそのまま「次へ」をクリックします。

5‒20.「要約」画面が表示されます。設定した内容を確認し、「完了」をクリックします。

5‒21.「新規バックアップ・ポリシー ‒ 作成済み」ウィンドウが表示されます。「終了」をクリックします。

5‒22.System i ナビゲーターの「バックアップ制御グループ」画面に作成したバックアップ制御グループ「DAILY」がリストされることを確認します。リストから「DAILY」を右クリックし、「プロパティー」を選択します。

5‒23.「プロパティー」ウィンドウが開きます。ウィンドウ内の「場所」タブを選択します。

5‒24.「場所」画面が表示されます。今回は1日1本のテープ媒体の使用を想定しているため、画面下部の「使用可能なスクラッチ媒体の使用」を選択します。選択後、「OK」をクリックします。以上でバックアップ制御グループの作成が完了です。

6. スケジュール登録
バックアップ制御グループを利用した保管処理は、STRBKUBRMコマンドで実行することが可能です。今回であれば、以下のコマンドで保管処理を実行することとなります。
STRBKUBRM CTLGRP(DAILY)
スケジューリングを設定する場合には上記コマンド・ストリングをスケジューラーに登録します。特にIBM i ではOS標準機能としてジョブ・スケジューリング機能を持っています(ジョブ・スケジューリング機能の利用方法については、前回のインターネット・セミナー「【IBM i再認識】OS標準機能でここまでできる!‒ スケジューリング機能」を参照してください)。OS標準機能のスケジューラーに名称が「BKUDAILY」のジョブ・スケジュール項目として毎日1時に保管処理を実行するように設定する場合には、以下のコマンドを実行して登録します。
ADDJOBSCDE JOB(BKUDAILY) CMD(STRBKUBRM CTLGRP(DAILY)) FRQ(*WEEKLY) SCDDATE(*NONE) SCDDAY(*ALL) SCDTIME('01:00:00')
以下はスケジューラーに上記コマンドで登録した場合の例です。

また、BRMSのメンテナンス・ジョブであるSTRMNTBRMコマンドも毎日1回実施する必要があります。今回は、0時15分に実行するように以下のコマンドでOS標準のスケジューラーに登録しておきます。
ADDJOBSCDE JOB(STRMNTBRM) CMD(STRMNTBRM) FRQ(*WEEKLY) SCDDATE(*NONE) SCDDAY(*ALL) SCDTIME('00:15:00')
以下は上記コマンドで登録したときのジョブ・スケジューラーの画面例です。

7. その他
以下は今回作成したバックアップ制御グループを利用して、保管を2011年2月28日に1回実行した場合に、System i ナビゲーターからテープ媒体を確認した画面例です。DAY001のテープ媒体に保管が行われ、DAY001のデータは7日間有効であることがわかります。

まとめ
定期保管運用のためにSAVLIBやSAVOBJコマンドを組み合わせて独自の保管処理プログラムを作成して、夜間バッチ処理に組み込んでいる場合には、保管対象に変更が加わると、SAVxxxコマンドの変更とそれに伴うバッチ処理プログラムの再コンパイル・テストが必要になったりします。BRMSを利用している場合には、バッチ処理に組み込むコマンドはSTRBKUBRMコマンドですので保管対象の変更があってもバックアップ制御グループの変更だけで済み、バッチ処理プログラムの際コンパイルは不要になるなどの利点もあります。また今回の設定例は日次保管のみですが週次や月次、年次といった定期保管もそれぞれきめ細かな設定が可能です。
またBRMSには保管だけでなく、復元にも利用できる使い勝手の良いグラフィカル・メニューが用意されています。テープ・ライブラリーを使用して日々の定期保管運用を自動化する際には是非BRMSも合わせてご利用ください。
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