目次
9.データウェアハウスを成功させるために
データウェアハウスを構築するのは簡単ですが、利用部門に定着させるのは大変です。ただ単に「生データを大量に用意して、ユーザーに取り出し用のツールを与える」だけでは使えるユーザーは限られてしまいます。
しかし、調査会社のIDCが欧米69企業の調査から得た結論は、
「データウェアハウスを構築することは、安価でもなく容易でもない。データウェアハウスの対価は、構築のためのコスト及びメンテナンスのワークロードと、その上で実現されるアプリケーションのビジネス効果で測られる。
データウェアハウスユーザーの投資対効果は平均 401%、投資回収期間は平均 2.31年と、非常に高い」というものです。
それでは、データウェアハウス構築を成功に導くためには何が必要なのでしょう?
データウェアハウス構築までの流れは下図のようになります。

最初は、データウェアハウスの検討段階です。ここで重要なのは、
「構築する前に使い方 (戦略) を確定する」ことです。
そのためには、
「利用部門のトップのリーダーシップ(トップ自らが納得する)」が必要です。
それと同時に、
「利用部門の意識」、特に「仮説を立てデータで検証する」文化をいかに養成するかです。
次に行うべき事は、前提条件の評価です。ここでの検討項目は、
「エンドユーザーは、現在どのような管理帳票を使用しているか? 使用したいか?」
そのために、
「準備すべきデータ項目」と「基幹系システムのどこに存在するか?」
そして、
「データウェアハウス構築時間はどれくらいまで許されるか?」
「自動運用の前提条件は何か?」です。
ここで検討する際に注意すべきは、
「基幹系には手を着けない」ことです。あくまでも「早期稼働優先」で検討すべきです。しかし、将来計画は忘れてはなりません。
「データはすぐに膨大になる」ものです。10GB単位で増えていきます。ここで「拡張性のないプラットフォーム」を選択するとすぐに行き詰まります。「最初から拡張性を考慮する」べきです。
前提条件が満たされたら、次はツールの選択です。ここで注意すべきは、
「ユーザーが使いやすいインターフェースやソフトを用意する」ことです。
ユーザーが日頃使用しているものと
「同じインターフェイス、慣れ親しんだインターフェイス」を最初に考慮すべきです。
この選択はあくまでも
「利用部門が主体」で行い「電算部門は調整役」に徹するべきです。どんなに機能の豊富なツールでもパワーユーザーやエキスパートにしか使えないツールでは成功の見込みはありません。「利用部門の大多数が使えるツール」を目指します。
そしてプロトタイプを作成し、評価します。プロトタイプには、
「質の高いデータを整備する」べきです。逆に言うと「質の高いデータが揃っている」ものをプロトタイプとして運用すべきです。
プロトタイプで「経験を積み」「考慮すべき注意点」が分かったら、あとは全面展開のスケジュール作成です。
全面展開する際に忘れてはならないことは、「分析情報のデリバリー」です。
これには ノーツ ドミノのようなグループウェアが必須になってきます。グループウェアを使用する事により「情報の共有」「価値観の共有」が促進されます。

ここまでは社内のシステムですが、e-ビジネスの世界を考えるとイントラネット、エクストラネットとデータウェアハウスが融合してきます。

企業間でデータを共有し、そのデータを使用してデータウェアハウスを構築する。すると、各企業のユーザーはその情報をエクストラネットを通じて入手することが出来るようになります。そうなるとウェブ・ブラウザーからデータウェアハウスにアクセスする機能が必要になってきます。この機能はすでに一部の製品では実現されていますが、今後は全ての製品で必須の機能になると思われます。
データウェアハウス構築には「初めは小さく(Start Small)」を忘れてはいけません。しかし、「構想は大きく(Think
Big)」です。
この基本を忘れず「仮説を立てデータで検証する文化」が定着すれば、データウェアハウス構築プロジェクトの成功は間違いありません。
今後、企業の競争は「時間の壁」「距離の壁」を超えて繰り広げられていきます。
その時、データウェアハウスを構築したユーザーには
算多きは勝ち、算少なきは勝たず
いわんや算なきにおいておや 「孫子」始計
という孫子の言葉が頭に浮ぶでしょう。
