目次
前回は、ERPとは?といういわば「哲学」の部分のお話をいたしましたが、今回は少し趣を変えて、ERP誕生の経緯、そして現在何故ERPが市場でもてはやされているのか、といった「背景」の部分のお話をしましょう

前回の復習になりますが、ERPとは「Enterprise Resource Planning 」の略で、企業の経営資源を統合化し、管理レベルの向上をはかり、経営目標の達成に寄与することを目的とした「企業資源計画」を意味します。ただし、コンピューターを使って「企業資源計画」を行うといったアイディアは特段目新しいものではありません。歴史をさかのぼれば、1960年代、企業でコンピューターが使われ出すようになった時代から、登録された部品表により一つの製品を生産するのに必要な部品の総所要量計算を行わせるBOMP(Bill of Material Processor)などにその原点を見出すこともできるかもしれません。さらに70年代にはこのBOMPに基準生産計画、在庫情報も加えたMRP(Material Requirement Planning)が登場し、工場の生産性を高める為必用な資材を必用なタイミングで手配する為の手法が確立されました。このMRPはその後対象範囲を資材所要量計画だけでなく、その周りの業務、例えば製造設備や生産活動に携わる人員計画、生産物の販売・物流計画等々にまで広げて、発展してゆきました。このレベルまで拡大されたMRPはMRP II(Manufacturing Resource Planning II )と呼ばれます。こうしたMRPやMRP IIが「生産活動の為の資材投入の最適化」を図り、その対象業務を生産管理=工場業務に限定してきたのに対し、ERPはその範囲をさらに企業全般の業務に拡大し、企業横断的に財務会計・生産・販売物流のすべてにおいて資源(ヒト・モノ・カネ)投入の最適化を図るもの、といえるでしょう。

こうした歴史を持つERPですが、現在ではそのベースとなった生産管理にはとらわれず、製造業以外でも幅広い業種のお客様に注目され、採用されています。ERPの特徴については前回お話しましたが、それらの特徴が時代のニーズと適合し、一種ブームのような状況を作り出してるともいえるでしょう。具体的には、バブル崩壊後の平成不況といった環境の中、企業自体が利益重視・リストラ・系列再編などの自己改革に迫られている状況で、BPR(Business Process Re-engineering)の雛形として、世界の大企業で利用されているERPを採用するケースがあります。また、旧来の巨大な基幹システムを手直しするよりは、パッケージソフトとして導入手法が確立し、各種ツールも充実しているERPを採用するケースもあるでしょう。また、企業の海外進出に際し、現地新システムとして、マルチ・リンガル(多言語)、マルチ・カレンシー(多国籍通貨)対応で短期導入が可能なERPを、というケースもあります。短期導入が可能な統合業務”パッケージ”ソフト、というだけではなく、もっと戦略的に、ERPのもつ大福帳型データベースを活用して企業データを分析し役立てたい、というむきもあるでしょうし、ERPのもつ特徴の一つであるオープン・システム、クライアント/サーバー・システムなどの最新IT技術への対応といった点も評価を上げるのに役立っています。これらの多数の要因により、ERPの市場は日本国内でも現在年率平均36%の伸びを示している、とある調査会社も報告しています。
次回は本題に立ち戻り、ERPの長所・短所、IBMでの導入事例などをご紹介したいと思います。
