目次
- 1. "ERP"ってなに?
- 2. ERP出現の背景
- 3. TO BE OR NOT TO BE ? ERPにするべきか、否か?
- 4. ERPをとりまく情報システムのひろがり
- 5. ERP導入を成功させる為に選択中,
注目を集め続けるERPパッケージですが、反面、「某社のERPパッケージ導入プロジェクトが難航」といったような雑誌記事を目にすることもあります。中には「ERPパッケージは所詮日本の企業風土には合わないものだ。」と極論に走る意見も見受けられます。勿論、ERPは全ての問題を即解決する玉手箱ではありませんが、前述のような極論に走る前に、もういちどERPのありようを検討してみましょう。

ERPに対する過度の期待からかえって誤解を生むケースも見受けられます。「ERP=早い・安い・うまいパッケージ・ソフト」と考えていると次のような誤解が発生しかねません。例えば「パッケージだからすぐ使える」。確かに基幹業務アプリをいちから手作りするよりも短期間での導入は可能になりますが、そればかりに注目しているとERPのコアを見失いかねません。ERPの本質である「全社規模でのビジネス・プロセスの最適化」を念頭に置いた場合、パッケージ機能の理解やそれに伴う現行業務プロセスの見直し等の上流工程で通常よりも時間がかかるのは必須であり、これなくしてはERP導入効果も得られない、と断言しても過言ではないでしょう。加えてこの上流工程に時間をかけるということにより、今まで見落としがちだった部分に余分のコストも発生します。それは、教育費用(多くのERPベンダーはパッケージ理解の為に長期間の有料教育コースを準備しています)であったり、コンサルタントに支払う費用であったりしますが、とにかく従来のようにH/W、S/Wだけをみて「費用削減効果」を期待するのは大きな間違いです。また、もうひとつ大きな誤解をうみやすいのは、ERPの採用によりエンドユーザーの使い勝手が向上するという思い違いです。部門毎の部分最適をねらった従来のシステム開発と異なり、全社最適をねらうERPパッケージでは、むしろエンドユーザーの使い勝手は下がることもあるでしょう。そのため、プロジェクトを進める上で、事前にエンドユーザーとこういった負の部分のコンセンサスをとっておくことも必要かもしれません。

それではこういった数々の誤解を回避しつつ、成功裏にERPパッケージを導入する為にはどのような点に注目したらよいでしょうか。これも雑誌や書籍で数多く議論が交わされている分野ですが、代表的なポイントをいくつかご紹介致します。
まず、なによりも「適切なパッケージを選択する」ということ。まずはパッケージの機能を調べ自社業務とのFIT/GAPを調査するという、いわばERPパッケージ導入の成否を決める鍵ともいえるプロセスです。しかし、ここで極度の「質問表重視」に陥るのも危険とも言えます。機能の有無を紙に記入するだけではベンダー側でいかようにも回答のしようがあるので、自社には本当は必要のない業務までことこまかに記入した質問表にこだわるのは一種時間の無駄かもしれません。むしろ、そのERPパッケージの生い立ちや、開発思想が自社の経営思想とマッチするか、こういった点も重視すべきでしょう。というのも、細かな業務機能はパッケージのリリースアップで後から追加されたり変更されたりもしますが、おおもとの開発思想はどうしても変えようがないからです。その他にも、ベンダーのサポート力、類似業種での販売実績、カスタマイズに対する姿勢(カスタマイズ肯定派か否か)、導入手順、日本語対応状況、最新IT技術への取り組み具合なども要検討項目でしょう。
これと関連して、第二のポイントとして「信頼できるパートナーを選ぶ」という点も重要でしょう。ERPパッケージは企業の基幹業務を一手につかさどるものであり、これは業務のアウトソーシングにも例えることが出来ます。また、こういった基幹業務システムは一旦採用すると寿命が長いのも特徴です。従って、ERPパッケージを選択する際には、提供元のベンダーと長くお付き合いできるか、それだけの信頼に足るかといった観点からも検討が必要でしょう。また、ERPパッケージ導入に当たっては、コンサルタントの協力を仰ぐ場合が多いのですが、このコンサルタント選択に当たっても同じ事が言えるでしょう。
第三のポイントは「カスタマイズを出来るだけ少なくする」という点です。パッケージによっては、カスタマイズのしやすさを売り物にしているものもありますが、それでもシステムの構築期間やコスト、将来のバージョンアップへの対応等を考えるとカスタマイズ、特にプログラムを変更するモディフィケーションは出来るだ け抑えたほうが得策です。パッケーシ゜と現行業務のあり方との間にギャップがある場合には、出来る限り業務プロセスをパッケージに合わせるようにする/業務見直しにより不要業務は削減する、くらいの心づもりが必要でしょう。また、ERPパッケージで何もかもカバーするというのではなく、特殊業務は別ソフトに振り分けるといった切りわけも必要でしょう。
勿論、こういった業務の見直し、特に例外処理/不要業務の切り捨てにいたっては、現場の猛反発が起こることは想像に難くありません。この中で、全社的立場からモノを見て、全体の舵取りが出来る強力なリーダーシップがプロジェクト・チームには要求されます。このプロジェクト・チームの人選が第四のポイントになるでしょう。新システムの導入といっても、プロジェクト・メンバーには情報技術の専門家を集めるのではなく、自社の業務そのものをどう変えていくのかを考えた人選にする必要が有るでしょう。まず、ERPの採用を経営の根幹にかかわる問題ととらえると、プロジェクトへのトップの参画は必須といえます。経営方針と新システムの方向性の整合性を検証し、全社的立場から部門間の利害調整を行い、必要が有れば現場の抵抗を押さえつける、これらはトップの権限なくしては達成し得ないでしょう。また、エンドユーザーからも、そのリーダー役をプロジェクトに巻き込むことも必要でしょう。エンドユーザー代表が牽引車となり、エンドユーザーひとりひとりにも参画意識をもってもらうこと。まず「導入目的」を明確化し、上から下までのコミュニケーションにより、全社員に導入意義を理解してもらう。理想論かもしれませんが、ここまで到達すればERPパッケージが「使い勝手の悪い、誰も見向きもしないシステム」になる恐れはまずないといってよいでしょう。
