2006年2月1日に製品ラインも新しくIBM System i5が発表されました。ソフトウェアでもi5/OSに最新版のV5R4が登場しました。このリリースでは従来と比較して大規模な機能追加を行ったものではなく、従来の機能をブラッシュアップして実業務レベルでより使いやすく、高性能にして全体の完成度を高める方向での機能拡張がなされています。一瞥しただけでは地味な機能が多いように見えますが、詳しく見ていきますと実業務レベルで有用な機能が増えています。
今回はi5/OS V5R4の機能拡張について概要をご紹介いたします。
システム全体
- 新しい日本語言語コード 2930のサポート
- 従来の日本語言語コード(2924)に加えて新しいUNICODE(CCSID 1399)ベースの日本語コードがサポートされます。
- これにより例えばCCSID 5035+PCOMMコードページ 939の英語小文字表示モードで文字化けしていたOSメニュー画面の半角カタカナが、文字化けせずに表示されるようになります。
- スプールファイルの保管・復元をサポート
- データ待ち行列(DATAQ)の保管・復元をサポート
- 仮想テープ装置のサポート
- ディスク上に仮想テープ装置を定義することが出来ます。仮想テープ装置に、従来のSAVF(保管ファイル)と同様にSAVコマンドを使用してオブジェクトを保管することが出来ます。SAVFとの違いは、1つの仮想テープ装置上に複数のSAVコマンドを使用してオブジェクトを保管できることです。またDUPTAPコマンドなどで仮想テープ装置の保管イメージを通常のテープメディアへコピー出来ます。
- また、SAVFでは存在したサイズの制限もなくなりました。
- 仮想テープのイメージファイルはIFS上に保管されるので、他のシステムへFTPなどでコピーすることも可能です。
- ただし、仮想テープ装置からライセンス内部コード(マイクロコード)の導入はできません。
- RAID-6のサポート
- 従来のRAID-5のパリティを二重化し、可用性を高めたRAID-6をサポートしています。
- SAN環境におけるフラッシュコピー・サービスのサポート
- IBM Total Storage(DSシリーズ、ESSなど)を外部ディスクとしてi5に接続し、フラッシュコピー機能をサポートします。
- より多くのPTFが即時適用可能となり、システムの計画停止時間を短縮できます。
- データベース・クロス・リファレンスの再構成機能の拡張-パフォーマンスの向上の他に、RCLDBXREFコマンドをライブラリー単位、エラーのあるオブジェクトのみに対して実行可能となりました。
- システム異常停止後のIPL時に長時間の回復時間が発生した場合、ケースによっては回復時間を短縮可能となりました。
- ストレージ管理の回復時間
- ミラーリングの同期化処理
- ジャーナルの回復処理 等
- 32ビットJVMのサポート
- AIX,Windows,Linuxなどですでに稼動しているIBM製JVMとまったく同一の実装になる32ビットJVMを新たにサポートします。
- JVMの拡張性や信頼性・安定性では従来の64ビットJVMが優れていますが、新しいJVMは必要メモリー量などがよりコンパクト・軽量になっていることが特徴です。さらに他のサーバー・プラットフォームで利用可能なJVMの分析ツール、デバッグツールも共通で使用することが出来るため、他サーバーの技術者がi5/OS上での開発・問題判別を容易に行うことが出来ます。
データベース関連
- SQL2003のコア機能すべてをサポート
- 従来のDB2/400よりサポートするSQLを拡張しました。他のデータベースとの親和性や移植性を高めました。
- SQLに関する上限値の緩和(SQL文:2MB、カラム名128バイト等)
開発ツール関連
- ILE RPG/COBOLからXMLを直接アクセスができるようになりました。
- CLの拡張
- サブルーチンが使用可能(SUBR -RTNSUBR/ENDSUBR)CALLSUBRで呼び出し
- ユーザー定義変数(*DEFINED)が使用可能
- ポインター変数(*PTR)が使用可能
- ライセンスプログラム5722-WDSにはRational Web Developer(RWD)にSystem i用のプラグインを追加したWDSc V6.0.1スタンダード版が付属します。WDSc,RWDはオープンソースの開発ツールである、Eclipseをベースとした開発ツールです。
- WDSc V6.0.1スタンダード版では以下のようなアプリケーションの開発が可能です。
- RSE(リモート・システム・エクスプローラー)によるEclipse上でのRPG,COBOL,CLPのコーディング、コンパイル、デバッグなどの開発機能。RSEはこのバージョンで以前のバージョンより機能強化されています。
- WebFacing Tool(標準機能)-従来のCODE設計機能がEclipse上に移植されました。またCHECK(RL),CHECK(RLTB)などDDSキーワード・サポートも強化されました。
- HATSの従来の(HATS Toolkit V6.0までの)機能
- WebFacing Toolの機能拡張-WebFacingToolが機能拡張されました。WDSc V6.0.1ではすべてのi5/OS画面を含むすべての5250画面をWebFacingアプリケーションから利用する事ができます。(この機能を実際のサーバー実行環境で利用するには別途WDHT(WebFacing Deployment Tool with HATS Technology)のライセンスを購入する必要があります。WDHTライセンスが無い場合でも、テスト目的で2ユーザーの接続に限定された環境でこの機能を利用する事ができます。)
- HATS Toolkit V6.0.4の機能拡張-i5/OS V5R4上の5250アプリケーションと組み合わせて使用する場合に、HATSアプリケーションをWebFacingサーバージョブ経由で起動することにより、5250対話型CPWを使用せずにHATSアプリケーションを実行することが可能となります。(この機能を実際のサーバー実行環境で利用するには、別途WDHT(WebFacing Deployment Tool with HATS Technology)のライセンスを購入する必要があります。WDHTライセンスが無い場合でも、テスト目的で2ユーザーの接続に限定された環境でこの機能を利用する事ができます。)
- SOAアプリケーション開発-Webサービス・ウィザードの機能拡張がされました。WebサービスをILE RPG/COBOLプログラムから1ステップで作成できるので、SOAアプリケーションの作成が容易です。
- PCML呼び出し作成ウィザードなどでRPG,COBOLプログラムとWAS上のJavaアプリケーションとを連携するアプリケーションの開発が可能です。
- WebFacing ToolおよびWeb Toolsは、ログ&トレース・アナライザー(Log and Trace Analyzer)で使用できるCBE (Common Base Event) ロギング・データを生成します。 このロギング・データは、WDScアドバンスド版に付属するログ&トレースアナライザーにて問題判別のために使用できます。
- WDSc V6.0.1アドバンスド版では、WDScスタンダード版の機能に加えて以下が可能です。
- RAD(Rational Application Developer for WebSphere Software)V6.0.1のすべての機能
- WDScスタンダード版のすべての機能
- ログ&トレース・アナライザー -i5/OS、Web、およびWebFacingメッセージを一元管理して、複合(混合ワークロード)アプリケーションの問題判別を容易にします。
- WebFacing ToolでのCascading Style Sheets-Positioning (CSS-P)サポートにより、Web対応インターフェース上のフィールドは、5250の元の領域の境界に制約されずに位置変更が可能になります。 このサポートにより、Web対応インターフェースをほぼ無制限にカスタマイズすることができます。
- ポータルツールキット-HATS,WebFacing toolでポートレットを生成できます。
- WDSc Lite テクノロジープレビュー Eclipse上でのRSEによるRPG, COBOLアプリケーション開発に限定して、開発用PCの必要メモリー量などをコンパクトにしたWDSc Liteを提供予定です。WDSc LiteではSBCS版では256MB以上のメモリーで稼動させる事ができます。
- 5722-WDS V5R4はS/36互換、S/38互換のRPG/COBOLコンパイラーをサポートする最後のリリースとなる予定でしたが、2006年7月24日に、従来の計画を変更し、V5R4以降のリリースについてもS/36、S/38互換RPG・COBOLを継続提供することを表明いたしました。
表明内容の詳細は、以下の記載内容をご確認ください。
『発表レター:i5/OS V5R4およびSWMA契約変更の発表』
(レター番号:ASA06004-2)
[2-2]プレビュー他計画情報
システム/36、システム/38互換RPG・COBOL
<計画情報が変更されました>
WDS(WebSphere Development Studio)for iSeries V5R4以降においても、以下のコンパイラ・オプションを出荷しサポートいたします。V5R4を最終リリースとする従来の計画は変更されました。
- 5722-WDS オプション 32:システム/36互換RPGⅡ
- 5722-WDS オプション 33:システム/38互換RPGⅢ
- 5722-WDS オプション 42:システム/36互換COBOL
- 5722-WDS オプション 43:システム/38互換COBOL
- TOOLBOXの販売・サポートが株式会社エス・イー・ラボからに変更となります。i5/OS V5R4対応版はすでにエス・イー・ラボ社から発表済みです
ネットワーク関連
- ネットサーバー
- パフォーマンス/スケーラビリティーの向上(マルチスレッド対応のサーバー・ジョブ QZLSFILETのサポート)
- IP V6サポート
- 従来バージョンから大幅に機能拡張され、実業務レベルでの利用が可能となりました。
- 同一LANアダプターでのIPv4, IPv6, PPPoEの共有が可能に
- RFC3494を完全サポート
- Enterprise Extender
- TCP/IPネットワーク上でSNAアプリケーションを稼動させるための新しい機能です。
- 従来のANYNETの置換機能となります。(ANYNETとは別な実装方法となっています。)将来的にANYNETはサポートされなくなる意向です。
- 将来的にSNAをネイティブでサポートするハードウェア製品などが少なくなる意向のため、現在SNAアプリケーションをお使いのお客様はEnterprise Extenderへの移行が推奨されています。
その他
- HMC(LPAR用のコンソール)はパフォーマンスの向上と機能拡張がされています。
- iSCSI-(プロダクト・プレビュー)ブレードサーバー(IBM BladeCenter)などをi5とiSCSI経由で接続する事ができるようになります。
- i5/OS V5R4を導入するためにはロードソース用ディスク装置が17GB以上のサイズが必要です。
- i5/OS V5R4をサポートするハードウェアは以下のモデルとなります。
- すべてのSystem i5
- すべての eServer i5
- iSeries : 270, 800, 810, 820, 825, 830, 840, 870, 890, SB2, SB3
- pSeries : 570, 590, 595
