第8回:iSeries Site販売管理(その2)
今回は、iSeries Site販売管理の「発注・仕入管理」、「支払・買掛管理」、「在庫管理」について説明します。前回説明しましたように、iSeries
Site販売管理では、お客様が扱っている商品の特性にきめ細かく対応するため、iSeries
Site販売管理生産財とiSeries Site販売管理消費財の2種類のシステムが用意されています。
(画面1,2参照)
下の【画面1】がiSeries Site販売管理生産財および【画面2】がiSeries Site販売管理消費財のメイン・メニューです。

【画面1】

【画面2】
C. 発注・仕入管理
1. 適正発注
卸売業は、自社で商品を生産しているわけではないので、商品を他から仕入れなければ販売することはできません。
受注・売上と同様、発注・仕入の場合も直接在庫に関係してきます。適正発注を行なわないと在庫が過剰になったり不足したりと、調整が難しいのが発注・仕入管理です。
倉庫を見て在庫がなくなってきた、または、コンピュータ上の在庫数が少なくなってきたから発注しよう、などと言っていたのでは確実に欠品してしまうでしょう。なぜなら、ひょっとすると今日の出荷予定で在庫が全部なくなって、明日には全く出荷できなくなるかもしれないからです。仕入先も即納してくれるとは限りません。すなわち、在庫が少なくなってきたから発注するのではなく、少なくなる前に発注する必要があるのです。
しかし、商品によっては、一回の取引で大量に出荷されるもの、売れ筋商品で在庫の動きが激しいもの、それぞれの特性があって、「少ない」などというあいまいな判断基準では適正発注などできるわけがありません。
実際には、商品の特性に応じてこの在庫数を下回れば発注対象とする、という基準となる数値を商品別に決定します。この基準数量を発注点在庫数量といいます。発注点在庫数量の決定には、厳密には在庫回転率や発注リードタイム・平均出荷数量などの難しい数字を使って参考値を計算することもできるのですが、ここでは触れません。とにかく、商品ごとにあらかじめ発注点在庫数量を設定して、これを下回れば発注するという明確な基準設定が重要となります。また、在庫の基準値としては最大在庫数量というものもあります。これは、発注点在庫数量とは逆に、この数
値を超える在庫数は過剰在庫である、という指標になるものです。
iSeries Site販売管理では、在庫に関する基準値として、倉庫別商品別に安全在庫数量、発注点在庫数量、最大在庫数量を設定することができます。先程、少なくなったら発注するのでは遅いといいましたが、安全在庫数量とは、感覚的にはこの「もう遅い」と判断される在庫数のことです。安全在庫数量を下回れば欠品してしまうので、欠品を防止するために設定される基準値だとお考え下さい。これら3種類の在庫基準値を設定することにより、例えば在庫照会では、「正常」、「発注点割れ」、「安全在庫割れ」、「最大在庫数超過」というような在庫状態を確認することができ
ます。また、発注点在庫数を下回った商品は「発注勧告リスト」に出力されます。定期的にこの帳票を出力すれば、発注すべき商品が一目で判るので、発注時期を逃すことも欠品してしまうこともありません。また、最大在庫数を上回った商品は「在庫過剰リスト」に出力されます。文字通り、適正発注・適正在庫が実現できるのです。
2. 単価設定・単価管理
販売単価同様、iSeries Site販売管理では標準仕入単価も商品マスターに登録します。しかも、仕入先契約条件マスターを使用することにより、ある仕入先だけ掛率を設定したり、ある商品だけ別単価にしたり、ということが可能になります。
3. 仕入計上タイミング
仕入計上タイミングのパターンは、1. 商品の入荷時に仕入計上、2. 入荷後商品の検品が終了した段階で仕入計上、3.
発注時に仕入計上、の3種類ですが、iSeries Site販売管理ではこのいずれのパターンにも対応できます。
4. 発注残管理
iSeries Site販売管理では、発注残数量は仕入先別に照会する機能と、商品別に照会する機能の2種類をサポートします。
これにより仕入先へ納品を督促したり、商品の入荷予定日を確認したりできるのですが、iSeries
Site販売管理にはもうひとつ便利な照会画面があります。それは「予定在庫照会」という機能です。倉庫別商品別に現在の在庫数を確認できることはもちろん、発注残の入荷予定日と受注残の出荷予定日を考慮して、将来の在庫数を予測することができるようになっているのです。
5. 消費税計算
仕入にかかる消費税の設定は次のようになります。
- 消費税区分(税込・税抜・非課税の設定)
仕入先ごとに非課税・課税税込、課税税抜、商品優先が、商品ごとには非課税、課税税込、課税税抜が各々設定できます。 - 端数処理区分(消費税の円未満の端数処理方法)
仕入先ごとに切り捨て・四捨五入・切り上げが設定できます。 - 消費税算出区分(消費税の計算タイミング)
仕入先ごとに請求時計算・伝票合計単位計算・伝票明細単位計算を設定できます。
このように仕入消費税に関しても、仕入先との取引形態により、柔軟な対応を行なうことができます。
6. 返品・値引管理
iSeries Site販売管理では、通常仕入・仕入返品・仕入値引はすべて別々の入力画面で入力します。ですから、返品はいくら、値引はいくら、というようにそれぞれ別個に把握できるようになっています。
7. 様々な荷姿による発注方法
発注に関しても荷姿単位で行なうことが可能です。発注入力で、発注数量とケース・ボール・バラの単位を指定することができます。これにより、手計算でケース発注数をバラ数に換算する必要はありません。入荷時も発注単位の通りに入荷し、自動的にバラ数換算して在庫計上が行なわれます。
D. 支払・買掛管理
iSeries Site販売管理では、支払・買掛管理は完全に請求・売掛管理の裏返しであり、請求・売掛管理とまったく同じ機能を提供しています。従って、支払・買掛管理の説明は請求・売掛管理の説明と同じ内容となってしまうので、これ以上の説明は省略します。
E. 在庫管理
1. 在庫数量の概念
在庫概念の中で、得意先へ出荷可能な数量を把握することは非常に重要です。これを把握することは、別々の得意先に対して同一商品の二重引当を防止することにつながるからです。得意先から受注を受けた分は、在庫数に対して引当という行為を行ない、他の注文からは引き当てられないようにしておかなければなりません。これが二重引当の防止です。
iSeries Site販売管理では、受注時に有効在庫(=実在庫?受注残)をチェックし、受注可能なら有効在庫を引当にいきます。たとえば、ある商品は倉庫に実在庫・有効在庫とも100個あるとします。得意先A社から100個の受注があれば、有効在庫が100個あるのでこの受注を受けつけます。この時点で実在庫は100個のままですが、有効在庫は0個になります。次に得意先Bから100個の受注があった場合、確かに実在庫は100個ありますが、有効在庫が0個なので受注は受けつけられません。これで二重引当が防止できますが、これだけではありません。この商品はひょっとすると発注されていて、明日にでも入荷されるかもしれません。もし、明日入荷する予定があれば、現在の有効在庫が0個であっても受注すべきです。「C.
発注・仕入管理」の「4. 発注残管理」で説明しました予定在庫照会を思い出して下さい。iSeries
Site販売管理では、発注残の入荷予定日と受注残の出荷予定日を考慮して、将来の在庫数を予測することも可能です。この機能を利用することで、販売機会損失の低減が図れます。
2. 在庫管理レベルの設定
iSeries Site販売管理では、在庫管理区分として、1. 在庫管理をして在庫マイナスを許さない、2.
在庫管理をして在庫マイナスを許す、3. 在庫管理しない、の3種類を商品別に設定できます。ですから、1.
の設定をしている商品は実在庫数量、帳簿在庫数量(自社に所有権のある在庫数量。図1参照)がマイナスとなるような出荷の入力はエラーとなります。また、2.
の設定を行なっておけば、在庫マイナスとなるような入力を行なった時エラーとはなりませんが、警告メッセージを表示してオペレーターに注意を促す、という親切な設計となっています。また、受注入力については有効在庫がチェック対象であることは説明しましたが、有効在庫がなくても、将来入荷されることが判っているのに受注が登録できないと困りますので、1.
の在庫マイナスを許さないと設定されている商品でも、有効在庫マイナスとなる受注入力を行なえば警告メッセージの表示は出ますが、登録可能としています。

【図1】
3. 在庫品と手配品
卸売業の業種によっては、取扱い品目があまりに多く、全ての商品を倉庫にストックできない場合があります。このような商品は、得意先からの受注の都度仕入先へ発注し、商品が入荷されれば得意先へ出荷するという業務手順をふみます。このような商品を手配品と呼びます。手配品に対して、通常は倉庫に在庫しておき、受注があれば在庫分を出荷するような商品を在庫品と呼びます。
iSeries Site販売管理生産財では、在庫品と手配品を在庫区分として商品ごとに設定できます。受注入力時に手配品を入力すれば(在庫品であっても手配の指示ができます)、次に手配発注入力を行なうことにより受注と発注を紐付けることができます。この手配発注入力は、受注時に手配と指定してまだ発注を行なっていない商品が表示されますので、手配発注漏れを防止できます。
4. 売掛金・買掛金の発生のない在庫の移動
特定の得意先や仕入先との取引ではない在庫の移動については、iSeries Site販売管理では入庫入力・出庫入力・移管入力を用意しています。たとえば、倉庫間で商品を移動したのであれば、まず出庫倉庫で商品の出庫情報を登録し、出庫倉庫の在庫を減らします。そして、入庫倉庫に商品が入庫されれば入庫情報を登録し、入庫倉庫の在庫を増やします。しかし、iSeries
Site販売管理では出庫してから入庫するまでの積送中在庫の考え方がないので、出庫から入庫までの間に一時的に在庫が減少している状況が発生します。それで不都合が発生する場合は、移管入力を使用すれば出庫・入庫情報を一度に登録できるので、在庫は出庫・入庫情報とも即時で反映されます。
5. 不良品の取扱い
iSeries Site販売管理では、同じ商品でも良品・不良品に分けて在庫管理しています。得意先に一旦出荷した商品が返品された時、売上返品入力を使用して売掛金を減少させて在庫数をもとに戻すのですが、もし、不良品として返品されたのであれば、売上返品入力時に不良品のフラグをたてて入力します。すると、売掛金を減少させることは同じですが、在庫に組み入れる時に良品在庫ではなく不良在庫の方に加算されます。仕入返品についても同様で、不良品を返品すれば不良在庫の方を減算します。さきほど説明しました入庫・出庫・移管の各入力でも不良品の区分を使用できます。
6. 在庫評価単価および在庫評価金額
在庫評価方法としては、iSeries Site販売管理では次の4つをサポートし、商品別に設定することができるようになっています。
1. 最終仕入単価法
2. 移動平均単価法
3. 標準原価法
4. 月次総平均法
7. 棚卸
棚卸に関しては、iSeries Site販売管理では次のような業務をサポートします。まず、現在のコンピュータ上の手持在庫数を倉庫別商品別に良品・不良品に分けて出力します。この帳票を「在庫棚卸表」といい、これに実棚数量を記入していくわけです。この時、実棚数量と手持在庫数が等しければ、差異原因の調査も数量調整も必要ないので、実棚数量を記入する必要はありません。差異が発生した商品だけ記入します。その後、差異原因を調査して、伝票入力の漏れであれば該当する入力機能(入荷仕入入力や出庫入力など)を使用して入力します。最後まで原因が判らなかった商品については、在庫調整入力を行なった後、在庫棚卸更新を実行して一括で差異数量を調整します。
また、各商品には倉庫ごとに棚番設定ができることと、最終移動日を保持していることから、iSeries
Site販売管理は循環棚卸や移動在庫棚卸にも対応できます。
以上、iSeries Site販売管理の「発注・仕入管理」、「支払・買掛管理」、「在庫管理」について説明しました。次回は、iSeries
Site生産管理について説明する予定です。
- iSeries Siteお客様用ホームページ
(当連載のバックナンバーも掲載しています)
