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IBM PowerHA SystemMirror for i 入門―機能概要

ビジネス環境でいつでも切り替え可能な高可用性ソリューションをお探しではありませんか?
PowerHA SystemMirror for i (以降PowerHA)なら可能です。

PowerHAは、計画および非計画停止時間の最小化を可能とするシステム環境を構築することができ、オフライン・バックアップ環境としても使うことができます。

PowerHA環境を構築することはそれほど難しくありません。一度構築してしまえば、最小の運用管理ワークロードで高可用性/災害対策環境を管理することができます。つまり、これはPowerHAがオペレーティング・システムと緊密に統合されており、ハードウェアとソフトウェア障害に対して監視と管理を行うことができることを意味しています。

最初に、PowerHAが提供する幅広い複製テクノロジーを説明し、その信頼性の高さと運用容易性の優位性についてお話していきましょう。

複製テクノロジー

多くのIBM i 高可用性製品は、オブジェクトの変更をモニターし、これらの変更をバックアップ・ノードへ転送し、バックアップ・ノード上にあるオブジェクトにその変更を反映することにより実現されています。このタイプの多くのソリューション・ソフトウェアは、リモート・ジャーナル・テクノロジーをベースに作成されています。このタイプの複製機能を論理複製(Logical Replication)と一般には呼んでいます。PowerHAはディスクI/Oレベル、つまりハードウェア・レベルの複製機能を提供します。

【図1. IBM i データ回復 & データ複製ソリューション】

IBM i データ回復 & データ複製ソリューション

※ DS = Storage such as DS6000 or DS8000

PowerHAは、オブジェクトに関する情報を持っていません。その代わり、ディスクへの書き込み操作が行われる度に、本番ノードでの書き込み操作が終了するとバックアップ・ノードへ転送し、バックアップ・ノードのディスクへ書き込みを同じように行います。同期タイプおよび非同期タイプの複製が利用可能です。同期タイプの複製においては、本番ノードでの書き込み操作は、バックアップ・ノードでの書き込み操作の完了まで完了しないため、それぞれのサイトで同一のコピーが保証されます。非同期タイプの複製においては、書き込みの順序は保証されますが、本番ノードでの書き込み操作はバックアップ・ノードからの書き込み操作完了の通知を待つことなく完了となります。

PowerHA は、オブジェクト・レベルでの運用ではありません。システム管理者は、独立補助記憶域プール(IASP)を作成し、本番データと可能であれば本番用のアプリケーションをIASPに配置することによって複製されるべきオブジェクトを決定します。つまり、IASP内の全てが複製されることになります。IASP上に配置することができないいくつかのオブジェクトが存在しますが、多くの本番環境上のこれらのオブジェクト・タイプは、管理ドメインと呼ばれる異なるPowerHAテクノロジーを通じて同期を行うことができます。このテクノロジーについては、後日別の記事で詳細を触れることにします。

一般的にIASP環境へのアプリケーションのマイグレーションは、アプリケーションそのものを変更する必要はなく、ユーザーとジョブを正しいIASPに接続するための実行管理環境に関する変更を行うだけで可能です。具体的にはIASPに接続するためのジョブ記述を作成することで可能となります。 IASPへの接続に関する詳細は、インターネット・セミナー:IBM PowerHA SystemMirror for i 入門 ―独立ASPをご覧ください。 多くの有名なISVアプリケーションがIASP上での稼動を発表しています。その数はさらに増えています。

ハードウェア・レベルでの複製は、広義のカテゴリーであり、PowerHAでは、その中にはいくつかの異なる複製テクノロジーを利用可能です。

地理的ミラーリング

最初の利用可能なハードウェア・レベル複製タイプは、地理的ミラーリングです。IBM iオペレーティング・システムがディスク・ページ・レベルの複製を管理します。地理的ミラーリングは、内蔵や外部ストレージやさらに直接接続や仮想接続(仮想ディスク)など様々なタイプのディスクで利用することができます。他のハードウェア・レベル複製テクノロジーと同様にバックアップ・ノード上のIASPへは、複製が活動中の場合、アクセスすることはできません。しかし、バックアップ・ノード自体にはアクセス可能です。スイッチオーバー(計画切り替え)やフェイルオーバー(非計画切り替え)操作は、本番ノードのIASPのVary offをバックアップ・ノードでのVary on処理によって実行されます。

同期モードの地理的ミラーリングでは、IASPのバックアップ・コピーは、本番コピーと等しいことが保証されます。本番システムでのディスクへの書き込み操作は、バックアップ・システムへのディスク・ページの転送が行われるまで完了しません。通常、同期モードの地理的ミラーリングは本番システムとバックアップ・システムが、同じ都市内のような短い距離に配置されている場合に使用されます。つまり、十分な通信帯域と適正な距離が本番システムのよりよりレスポンス・タイムをもたらします。

バージョン7.1より、非同期モードの地理的ミラーリングが利用可能になっています。この機能は、本番システムとバックアップ・システムが遠く離れている環境においてもローカル・レスポンス・タイムに影響を与えないことを可能にします。この環境は、平均的なトランザクション処理を実現するために適切に見積もられた十分な帯域を備える必要があります。しかし、ピーク時の複製に遅延が起こるような状況になったとしてもレスポンス・タイムに悪い影響を与えることはありません。

【図2. 地理的ミラーリング】

IBM i データ回復 & データ複製ソリューション

メトロ・ミラーとグローバル・ミラー

DS8000ストレージ・システムを使用されているお客様には、メトロ・ミラーとグローバル・ミラーがPowerHAの複製テクノロジーをとして利用可能です。メトロ・ミラーとグローバル・ミラーは、DS8000上で利用可能なコピー・サービス(リモート・コピー・サービス(PPRC))技術を使用します。IBM iが複製を行う代わりに、複製はDS8000によって管理されます。この場合、すべての高可用性環境におけるパフォーマンス・オーバーヘッドは、DS8000上に移されることになります。

地理的ミラーリングと同様、同期と非同期の2つのオプションが用意されています。メトロ・ミラーは同期モードの複製オプションです。繰り返しになりますが、ディスクへの書き込み操作が完了したとき、本番およびバックアップ・コピーの内容は保証されています。このテクノロジーは、本番とバックアップ環境の距離が近い場合に最もよく利用されます。グローバル・ミラーは非同期の複製オプションであり、本番とバックアップ環境の距離が大きく離れている場合に使用されます。

メトロ・ミラーとグローバル・ミラーのテクノロジーをPowerHAに統合することにより、高可用性環境全体をIBM iシステムの単一のインターフェースで管理することができます。PowerHAは、ストレージ・コピー・サービスを管理することで、シームレスなスイッチオーバー、フェイルオーバー環境を実現します。システム全体の複製をDS8000コピー・サービス・テクノロジーを利用して行うことは可能ですが、多くのお客様には、PowerHAを使用したIASPの複製をお勧めします。システム全体の複製ソリューションは、IBM iとDS8000の機能として統合されていないため、シームレスな切り替えは難しく、切り替えにはIPLが必要になります。システム全体の複製の場合、バックアップ・サーバーにはアクセスできませんが、PowerHAによるIASPの複製の場合は、バックアップ・システムでは、処理の一部を稼動させることができるなど、常時アクセス可能となります(コピーが活動中のIASPへはアクセスはできません。)。最終的に、システム全体の複製では、オペレーティング・システムのアップグレードの停止時間の削減や故障によるハードウェアのメンテナンスの削減のために高可用性環境のメリットを享受できないことになります。

【図3. メトロ・ミラー】

メトロ・ミラーの仕組み


【図4. グローバル・ミラー】

グローバル・ミラーの仕組み

フラッシュコピー

DS8000ストレージ・システムを使用しているお客様のために、フラッシュコピーは、PowerHAと統合されたソリューションとして提供されています。フラッシュコピーは、継続的な複製の代わりに一時点コピーを利用します。フラッシュコピーは、短時間にコピーを生成し、すぐに別の区画やシステムからアクセスすることができます。フラッシュコピーを作成するいくつかのオプションがありますが、それは使い方に依存します。フル・コピー・フラッシュコピーは、バックグラウンドですべてのIASPのコピーを行い、開発/テスト環境や照会業務、ビジネス・インテリジェンスなどで利用されます。ノー・コピー・フラッシュコピーは、本番システムで変更される前のオリジナル・ページのみをコピーし、一般的にバックアップに使用されます。

【図5. フラッシュコピー】

フラッシュコピーの仕組み

当トピックでは、DS8000を例にご紹介してきましたが、2011/10の新機能発表の中で、Storwise V7000とSVC(SAN ボリューム・コントローラー)のコピー・サービス機能をPowerHAより管理可能となっています。ただし、これらの製品については、IBM i から直接接続を行うことができませんので、VIOS(仮想I/Oサーバー)による仮想化環境が必要となります。

切り替えディスクとLUNレベル・スイッチング

切り替えディスクとLUNレベル・スイッチングは通常他の複製テクノロジーと組み合わせて使用されます。切り替えディスクとLUNレベル・スイッチングは、1つのIASPコピーを持ち、これを複数のシステム間で切り替えることができます。切り替えディスクはどんなタイプのストレージでも使用することができ、同じCEC上の区画間でIASPを切り替えることができます。LUNレベル・スイッチングは、DS8000ストレージ・サーバーを使用したときのみ利用可能で、区画間またはシステム間のIASPを切り替えることができます。POWER7以前は、このテクノロジーの3つ目のバリエーションがありました。それはHSLループ上の切り替え可能ストレージタワーの利用です。しかし、この機能はPOWER7ハードウェアではもはや利用することができません。

これらのテクノロジーは、1つのデータのコピーしか利用できないため、ディスクが単一障害点(SPOF)となります。通常、切り替えディスクやLUNレベル・スイッチングをデータセンター内でディスクを含まない計画、非計画停止のためのサイト内での保護機能として使用します。異なるレベルの高可用性/災害対策のために地理的ミラーリングやメトロ・ミラー/グローバル・ミラーのような複製テクノロジーを併せて使用することができます。

【図6. 切り替え可能IASP】

切り替え可能IASP


【図7. LUNレベル・スイッチング】

LUNレベル・スイッチング

Advanced Copy Services

Advanced Copy Services for PowerHAは、IBMラボ・サービス・オファリングです。Advanced Copy Services (ACS)は、PowerHAテクノロジーを利用し、お客様へより複雑でカストマイズされたソリューションを提供します。1つの例としてメトロ・グローバル・ミラーがあります。メトロ・グローバル・ミラーは、メトロ・ミラーとグローバル・ミラーのコンビネーション機能で2つのアクティブなデータの複製を保持します。メトロ・ミラーは第一のバックアップ・データの複製のために使用し、グローバル・ミラーは、第一のバックアップ・データから第二のバックアップ・データへ複製を作成するために使用されます。多くのPowerHAのお客様は、ACSを利用して彼らの高可用性環境をカストマイズし、自動化を行っています。

管理ドメイン

先に述べたように管理ドメインは、IASPに配置できない本番環境のオブジェクトや設定を同期するためのPowerHAテクノロジーの1つの機能です。本番環境の多くの共通のオブジェクト(ユーザー・プロフィール、システム値、環境変数、ネットワーク属性、装置記述)が管理ドメイン機能でサポートされています。管理ドメインのセットアップはとても簡単です。同期を維持したいノードを追加し、監視したい(同期したい)資源を追加するだけです。一度オブジェクトが管理ドメインに追加されると管理ドメイン上に登録されているオブジェクトの変更は、すべてのノードに反映されます。管理ドメインは、オブジェクトの一部分を同期することができるような柔軟性を持っています。例えば、ユーザー・プロフィールの場合、すべてのパラメーターを同期することもできますし、ある個別のパラメーターだけを選択することもできます。

信頼性と使い易さ

PowerHAはIBM i オペレーティング・システムに深く統合されており、クラスタリング・テクノロジーの上に成り立っています。IBM i クラスタリング・テクノロジーは、クラスター内の全てのノードの同期を維持するためのローレベルのメッセージング構造を持っています。これらの仕組みはハードウェア、OS、ネットワーク障害のモニター機能で構成されており、障害を検知すると他のノードに通知が送られます。PowerHAはシステム操作員の介入を最小限にするために本番ノードで障害を検出するとバックアップ・ノードへ自動的にフェイルオーバーするように構成することができます。自動的なフェイルオーバーを望まない場合は、PowerHAをシステム管理者の判断を待つように構成することもできます。

IASP内の全てが複製されることが保証されるので、高可用性環境の管理とメンテナンスは最小限となります。ライブラリーやディレクトリーがIASPに配置されている限り、新しいオブジェクトが複製されることを検証することに時間をかける必要はありません。これは、スイッチオーバーがより信頼性の高いものになると言い換えることができ、本番システムが高可用性環境から外れたままになるような変更の機会を減らすことができます。

PowerHAは、コマンド・ベースのインターフェースとGUIインターフェースの管理機能を持っています。DS8000コピー・サービスを使用する場合、PowerHAはDS8000上の複製を制御するコマンドを統合しているので、IBM iインターフェースのみで制御することができます。計画停止時のバックアップ・システムへの切り替えは、1つのコマンドまたはGUIでの1アクションで簡単に行うことができます。

繰り返しになりますが、Advanced Copy Services for PowerHAは、IBM iコマンド・ラインからのストレージ構成と管理のためのコマンドを持っており、IBM i環境へのDS8000の追加の統合機能を持っています。

サマリー

PowerHAが持っている様々な複製テクノロジーにより、高可用性環境のメンテナンスはとても楽になります。多くのお客様はPowerHAを使用して定期的に本番からバックアップへの切り替えを行っています。これは、お客様の災害対策計画に自信を与えることにもつながります。もし、これから高可用性ソリューションをお探しなら、PowerHA SystemMirror for i は、お客様にとってよい選択となるでしょう。

IBM、IBMロゴ、ibm.com、AS/400、DB2、Domino、iSeries、PowerHAおよびSystem iは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。