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1.なぜ今「サプライチェーン・マネジメント」なのでしょうか?
『サプライチェーン・マネジメント』という文字が新聞に登場しない日はないほど、今、経営分野や情報分野においてこの言葉が注目を浴びています。
今回のシリーズでは、先ず始めになぜ今これだけ『サプライチェーン』がもてはやされているのかについて考え、『サプライチェーン』とは一体何でありどのような効果があるのか、それらを支える情報技術にはどのようなものがあるのか、そして最終的には具体的にどうすればこのチェーンに参加できるのか、といった内容を5回の連載の中で述べていきたいと思います。
第一回目は、サプライチェーン登場の背景を考えながら、なぜ今サプライチェーン・マネジメントがこれだけ脚光を浴びているのかについて解説していきます。
1.なぜ今『サプライチェーン・マネジメント』なのでしょうか?
従来型のプロセス 清涼飲料水が消費者の手元に届くまで ・・・

例えば、清涼飲料水が私たちの手に届くまでの経緯をみてみましょう。製品を作るために、清涼飲料水メーカーはまず果汁や香料、缶やペットボトルなどの材料を仕入れます。
そして、それらは工場で加工され、卸売業者などの介入によりトラック等の各物流経路をたどってコンビニやスーパーなどに運ばれてきます。
このように、商品が消費者の手元に届くまでには
- 資材・原材料などのサプライヤー
- メーカー
- 物流業者
- 卸売業者
- 小売業者
といったプレイヤーが存在し、それぞれの間で仕入れや販売といった取り引きが行われています。
小売業者は、在庫の状況や商品の売れ筋などから卸売業者に必要な商品を必要な量だけ発注し、卸売業者はそれを補うべくメーカーに発注をかけ、そしてメーカーはそれらの商品を供給するために資材を調達し、製造をおこない、物流経路を確保します。
それではここで、急に真夏並みの暑さが数日続いたと仮定しましょう。
気温が上がると当然清涼飲料水の需要は大きく伸びます。
コンビニやスーパーなどは、消費者のニーズに応えるために通常よりも多くの清涼飲料水を、卸売業者を通じて発注します。卸からの受注を受けたメーカーは、急きょ原材料メーカーや缶/ペットボトルの製造業者、そしてラベルの業者などへの発注を行い、慌てて増産体制を確立しますが、急な注文のためペットボトルの供給が間に合わず、いざすべての材料が揃い増産を終えた頃にはまた気温が平年並みにもどり、販売機会を逸してしまっているという事も起こり得ます。結果的にメーカーは大量の死蔵在庫を抱えることになり、小売業者は飲料水を大量に販売できる機会を失い、消費者は欲しい時に欲しい飲み物が入手できない事になります。
逆に、このような状況を避け顧客のニーズに確実に応じるためには、小売業者、卸売業者、メーカー、そして資材や原材料のサプライヤーなどそれぞれが大量の在庫を抱えることになります。在庫というのは企業にとってのコストです。それらが売れ残った際には各プレイヤーが大量の在庫コストを抱えることになってしまうのです。
「作ったものを作っただけ売る」というメーカー主導の時代は終わり、今や消費者が主体となった「多様化・スピード」の時代です。消費者が求めるものを、求めている量、求めている時になるべく安く提供できる体制をつくっていくことが、今後の市場競争に勝ち抜くための企業の必須要件となってきました。
自社内においてこの体制が構築されている例はありますが、一企業だけで取り組んでも意味はありません。
大切なのはチェーン全体が一丸となってこの仕組み作りに取り組んでいくことなのです。

先ほどの飲料水の例でもう一度考えてみましょう。気象庁からの週間予報をもとに、コンビニやスーパーなどの小売業者がPOSデータやこれまでの取り引きデータを分析し、清涼飲料水の需要の増加を予測していたとしましょう。その情報を予め卸売業者やメーカーに提供したうえで発注をおこなうとしたら・・・
メーカーの方は、事前に生産計画や配送計画をたてる事が可能となり、又、必要な原材料の量を各サプライヤーに予め情報として提供することによって、確実にそのニーズに応じた商品をタイムリーに供給することが可能になるのです。
このように、サプライチェーンの各プレイヤー同士で情報を共有することによって、チェーンの一番川上である原材料の調達から川下の消費者までのリードタイムが短縮されます。又、余計な在庫や物流コストなどの「無駄」を取り除くことにより、最終的に安価に、且つスピーディーに消費者のもとに商品が届けられるようになります。
これが、サプライチェーン・マネジメント(SCM)です。
このように全体的な話をすると、とても実現には程遠いように感じられる仕組みですが、実際にはこれらの各プレイヤーそれぞれが「自社の役割」をきちんとこなしていく事で成り立っています。
第2回目では、「サプライチェーン・マネジメントとは・・・」についてより詳細に解説し、その仕組みをもう少し深く理解していきましょう。そして、第3回目以降で、サプライチェーンの一員となるにはどのような事から取り組んでいけば良いのかについて触れていきたいと思います。
