目次
4.「サプライチェーン・マネジメント」で活用される情報技術
前回(第3回目)は「サプライチェーン・マネジメント」を構築していくためのステップについてまとめてみました。
最後にまとめた、成功のためのポイントの一つとして「情報技術を最大限に活用すること」というのがありますが、今回は、その「サプライチェーン・マネジメントを支援する情報技術」について解説していきます。
何度も述べてきていますように「サプライチェーン・マネジメント」で大切なのは、最終的にお客様によりスピーディーに効率良く商品が届けられることです。
具体的には、ジュースの売れ筋や在庫に関する情報をリアルタイムに収集し、それらの情報を共有することによって仕入れや生産をスムーズにおこなうことです。「全体の最適化」を目指しているため、取引先も含めた生販一体の仕組みをつくり、激変する需要や生産ラインの能力、物流条件などの様々な条件を踏まえたうえで、効率よく需要に即応できる仕組みが求められます。
ここでは、インターネットなどの通信技術を含めた様々な情報技術を紹介し、それらがどのような形で「サプライチェーン・マネジメント」の仕組みのなかで活用されているのかをまとめてみます。
もちろん、ここでご紹介する技術を導入するだけで「サプライチェーン・マネジメント」が実現できるわけではありませんが、実際にはこれらの技術なしでは「サプライチェーン・マネジメント」のインフラをつくりあげる事は難しいでしょう。
サプライチェーン・マネジメントを構築する情報技術

SCM支援システム
サプライチェーン・マネジメントにかかわる各種計画を立案するためのシステムです。 主に以下の4つの機能が含まれます。
- スケジューリング(APS)
- 生産・物流統合計画
- 需要予測
- 納期回答(ATP/CTP)
特徴
- 生産/販売/物流業務の「最適化」のための計画をたてる
- 計画のもととなる需要予測をたてる
- ERPなどの基幹系の業務と連携し、計画を実行につなげる
SCM的な活用法
- 従来、製造業においては、MRPなどを利用した生産計画がおこなわれていましたが、それだけではSCMを目指す「全体最適化」にたどりつくことはできません。
- SCM支援システムの生産・物流統合機能やスケジューリング機能によって、原材料あるいは資材の調達、生産能力、物流など商品が届けられるまでの全工程の最適化を図ったうえで生産計画や配送計画などのプランニングをおこないます。
- 多角的なデータ分析に基づいた需要予測をおこない、プランニングに役立てます
- 納期回答は、受注に対する納期の確約を支援する機能ですが、急なオーダーに対しても生産などの工程にさかのぼって回答を提供する機能も含まれます。
ERP(Enterprise Resource Planning)
組織や業務の違いを超えて、企業全体の経営資源を一元管理することにより、効率化を図る経営情報システムです。
SCM支援システムなどにより立てられた計画を最適に実行するための仕組みです。
特徴
- データが一元管理されているため、リアルタイムでのデータ更新が可能
- 購買/生産/販売/会計などの業務が互いに連携
- 単品管理が可能
SCM的な活用法
- データをリアルタイムで共有できる基幹システムとしての基盤を提供します。
- 従来型の基幹システムは生産、販売などそれぞれの業務ごとに構築されていますが、全社的に業務の連携をとりデータを共有する仕組みを一から構築するには莫大な予算と期間が必要となります。短期間でこれらを実現する統合システムを構築していくためには、自社の業務プロセスに合ったERPパッケージの活用が考えられます。
POS(Point of Sales)
多くの小売店のレジでみかけるシステムで、商品に貼付されているコードを読みとり、そのコードをもとに商品名や単価を取り出し清算処理をおこなったり、何がいくつ売れたのかの情報を本部へ送り売上げ処理をおこなう、最新のデータを収集する仕組みです。
特徴
- 商品名/数量/金額/メーカーなどのリアルタイムな情報収集が可能
- 単品ごとの売上げ/在庫を把握することが可能
SCM的な活用法
- 正確な在庫/売上げ等の情報収集をリアルタイムで実現し、集められたデータを蓄積し、需要予測や各種プランニングに反映します。
BI(Business Intelligence)
データウエアハウスなどのBIの機能は、日々の取り引きから発生する時系列なデータを蓄積し多次元的に分析する仕組みです。 データウエアハウスについての詳しい情報は、こちらをご覧ください。
SCM的な活用法
- リアルタイムで正確な在庫/売上げ情報の収集を実現し、集められたデータを蓄積し、需要予測や各種プランニングに反映します。販売分析などの結果は、販売部門だけでなく生産部門でも活用することにより、全体的な予測の精度があがります。
- データウエアハウスを構築するためのソフトウエア・パッケージは市場に豊富に出回っています。
- 大切なポイントとしては、
データベース上に時系列でデータを蓄積していく仕組み
データをERPなどの基幹データベースから持ってくる仕組み
データをどのように分析し、活用するかなどのリテラシー
EDI(Electronic Data Interchange)/インターネットEDI
取り引きにともなった各種データを電子化し、通信により交換できる仕組み。
特徴
- よりスピーディーな情報交換が可能
- データが電子化されているため、情報共有が容易になる
SCM的な活用法
- サプライチェーン・マネジメントでは、取引先とのスムースな情報交換が必須条件となってきます。EDIにより、需要情報や在庫情報をサプライチェーンの各企業の間でスピーディーに流し、共有する仕組みが可能となります。
- 従来のEDIのように受発注業務のために使うのではなく、在庫管理や生産計画にも役立てる。
- EDIは、相手先と情報交換するために専用のハードウエアとソフトウエアを利用しており、通常専用線などを通じてVAN(Value Added Network:付加価値通信網)などに接続する形態をとるため、非常にコストがかかります。
- サプライチェーン・マネジメントは、中・小規模の企業も含めたすべての取引先とチェーン上で情報交換をおこないます。インターネットを利用したEDIが注目を浴びるようになり、非常に安価に情報の交換やデータの共有ができる仕組みを構築することが可能となりました。
「サプライチェーン・マネジメント」とは組織や企業をまたがった大きな取り組みです。冒頭でも述べましたように、上で紹介した技術を取り入れるだけで構築できるものではありません。
だからと言って、在庫情報をもとに分析をする際、FAXで送られてきた数時間前の在庫数をまとめても意味はありません。やはり、サプライチェーンで扱うデータは電子化され、即時に手元に届く仕組みである必要があります。
又、EDIを活用していても、そこでやりとりされる情報は一部でしか利用されていないのが実態です。
在庫の数が販売部門だけでなく生産部門で共有され生産計画に反映されることによって、プランニングの精度が上がり、「サプライチェーン・マネジメント」の効果が出るのです。そこにはやはり、インターネットやLANなどの通信技術やデータウエアハウスなどのテクノロジーが必要になってくるのです。
このようにしてみると、「サプライチェーン・マネジメント」構築にあたり、企業間の連携をとり全体の流れの中でのリードタイムの短縮や在庫の削減を実現するためには、新しい情報技術の活用抜きでは考えられないことがわかります。
次回は、「サプライチェーン・マネジメント」を実現するうえでの「iSeriesの優位点」についてまとめます。
