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6.「サプライチェーン・マネジメント」の実践例
ここまでは、「サプライチェーン・マネジメント」とそれを実現するための情報技術などについて述べてきましたが、今回は、「サプライチェーン・マネジメント」への実際の取組み事例をご紹介してみたいと思います。
一つ目は、インターネットによる部品供給会社とのサプライチェーン強化により、大幅な在庫の削減と納期の短縮を実現した電子電器機器販売のA社の例をご紹介します。
A社では、インターネットによる販売をおこなうことにより、製品が顧客の手元に届くまでの期間を大幅に短縮させました。現在では、インターネットを経由した1日の売上げは1800万ドルを越え、全体の約30%を占めます。
受注生産を実践しているために余分な在庫を持つ必要もなく、しかもサプライチェーンの関係の強化により納期を大幅に短縮。A社は「サプライチェーン・マネジメント」への取り組みで、毎年40%以上の売上げの伸びを見せています。
インターネットにより納入までの期間を短縮
顧客からインターネット経由で注文を受けると、即受注処理が実行され、テキサス州にある工場に製造指示が出される。工場で組み立てられた電子電器機器はA社の配送センターから配送会社経由で顧客に届けられる。ここまでの日数は約5日間。
取引先との情報共有
顧客情報や販売の動向、生産計画、需要予測、部品在庫といった情報をリアルタイムで部品供給会社などの取引先に提供。これにより、取引先からの納入が即日可能になり在庫日数も平均して7?8日を保っている。
逆に、取引先からも部品の納期や価格、供給能力、生産進捗や計画などの詳細情報を提供してもらうことにより、お互い効率の良い動きができるようになる。
取引先のメリット
- 生産計画や部品在庫などの正確な情報に基づき、計画的な部品の生産が可能。
- 急な注文による欠品などがなくなる。
- 販売の動向や需要予測などを参考に生産計画をたてることも可能。
- 納品までの期間が短縮。
A社のメリット
- インターネットによる受注で、受注効率が向上。
- 受注生産体制の確立により、余分な在庫コストを削減。
- 部品などの欠品も削減し、注文に対してはほぼ即日納品。
- 取引先から納期や生産進捗状況などが参照できるようになったために、適切な生産計画が可能。
消費者にとってのメリット
- 安価で商品が入手できる。
- 24時間いつでも発注が可能。
- 納期などの情報が入手できる。
- 注文してから商品を入手するまでのリードタイムが短縮。
本格的な「サプライチェーン・マネジメント」への取り組みにより大きな成果をあげた例をご紹介しましたが、情報共有をおこなうことによりサプライチェーンの連携を強め、売上げを着実に伸ばしている例が小売業を中心に身近なところでも増えてきています。

販売情報の提供
各店舗からのPOSデータを集計し、単品毎の売上げ情報をそれぞれ卸に提供する。
EDI(電子データ交換)の活用
取引先への発注をEDIにて行う事により、発注から納品までの期間を短縮する。
小売業にとってのメリット
- 欠品などによる販売機会の損失を削減
- 欠品対策として余分な在庫を保持する必要がなくなる
卸にとってのメリット
- 日々の売上げデータや在庫数量などが確認できるため、小売業からの注文の妥当性が確認できる
- これらの情報を活用することにより、適切な発注時期・量が把握できる
- 小売業からの緊急な発注が減少し、効率的な配送計画が立て易くなる
消費者にとってのメリット
- 欠品などが減少し、満足度が向上する
このように、取引先とのネットワークを強化し情報を共有するだけで、多くの「無駄」を省くことが可能となります。
特にアパレル、菓子、書籍など、「返品」によるリスクを負っている業界では、このように情報を共有することで、お互い不要な在庫を抱える事態を回避することができます。
出版業界などでは、EDIやインターネットを中心とした動きが活発になってきています。
「サプライチェーン・マネジメント」の第一歩は、取引先との正確な情報の共有です。情報を共有し、全体の最適化を図る事により、大きな効果へと結びつくのです。そして、そのベースとなるのはPOSのような情報を収集する仕組みと、EDIやインターネットのような情報を伝達する仕組みです。
今まで6回ほど連載を続けてまいりましたが、いよいよ次回で最終回となります。 最後は、「サプライチェーン・マネジメント」によって得られる効果について触れ、全体をまとめたいと思います。
