タブの始まり
- テクノロジー・リフレッシュ(TR)
- TRの提供方法
- TR2での機能拡張
- IBM i ハイバネーション機能の詳細
- IBM i ホスト/クライアント区画の仮想テープ機能の詳細
- DS5000シリーズへのNPIV(N_Port ID Virtualization)サポート
項目をクリックすると、該当個所にリンクされます。
テクノロジー・リフレッシュ(TR)
テクノロジー・リフレッシュは前回ご紹介したように、IBM i 7.1以降における機能拡張を定期的に提供する新たな仕組みとなります。
2010年9月に最初のテクノロジー・リフレッシュであるTR1が発表され、Power 720/740といった新たに出荷されたモデルのサポートや、IBM i ホスト/クライアント区画で使用できる仮想光メディア・オート・チェンジャーといった仮想化機能の拡張などが行なわれました。そして、2011年5月、TR2が提供開始となり、新たなモデルのサポートやいくつかの仮想化機能の拡張が追加されました。

TRの提供方法
TRは新規ハードウェア発表に合わせて提供予定となっています。
- IBM i 7.1 TR1
- TRグループPTF(SF99707)Level 1 + MF99001として2010年9月に提供済み
- IBM i 7.1 TR2
- TRグループPTF(SF99707)Level 2 + MF99002として2011年5月に提供開始
TR2を適用するには、システムにTRグループPTFと最新累積PTFを適用することになります。
- 既存環境
- TRグループPTF + 最新累積PTFパッケージ
- 新規環境
- TR2 ResaveメディアでのOS導入 + TRグループPTF + 最新累積PTFパッケージ
| 提供開始日 | 記述 | テクノロジー・リフレッシュ グループ PTF Level | 5770-999 テクノロジー・リフレッシュ PTF | 5770-999 Resave Level/マーカーPTF | 5770-SS1 Resave Level/マーカーPTF |
|---|---|---|---|---|---|
| 2011年5月13日 | IBM i 7.1 Technology Refresh 2(TR2) | SF99707 Level 2 | MF99002 | RS-710-C RE11067 | RS 710-10 AP11094(*BASE)RS00106(Option 0003) |
| 2010年9月10日 | IBM i 7.1 Technology Refresh 1(TR1) | SF99707 Level 1 | MF99001 | RS-710-B RE10187 | RS 710-00 AP10070 |
TR2での機能拡張
新モデルのサポート追加
- IBM BladeCenter PS703 Express
- IBM BladeCenter PS704 Express
新ハードウェアのサポート追加
- EXP24S ディスク専用ドロワーと対応するディスク・ドライブ
- 571GB 10K RPM SASディスク
- Power 795用各種ハードウェア(SSD/LTO5など)
仮想化機能の拡張
- 区画(LPAR)数の最大値の増加(1,000)
- IBM i ハイバネーション機能
- IBM i ホスト/クライアント区画の仮想テープ機能
- DS5000シリーズへのNPIVサポート
- マルチパス・アルゴリズムの改善
その他
- IBM Disk Sanitizer PRPQ(ディスク初期化ツール)のSSDサポート
IBM i ハイバネーション機能の詳細
今回はTR2の目玉機能であるIBM i ハイバネーション機能についてご紹介したいと思います。IBM i ハイバネーション機能は将来のLPM(Live Partition Mobility)※サポートの第一歩となる新たなIBM i の仮想化機能です。
※ LPMとは: PowerSystemsの区画の筐体間移動機能。区画停止時間の極小化が可能な仮想化機能であり、現在はAIXとLinuxでサポートされています。
1:前提条件
ハードウェア前提条件
- POWER7搭載のPower Systems
- FWレベル:Ax730_xxx以降
- HMC:V7R7.3以降
ソフトウェア前提条件
- VIOS: 2.2.0.12-FP24 SP02以降
- IBM i 7.1 TR2(AIXでもサポートされますが、今回はIBM i のみを記す)
- PowerVM Standardエディション以降
システム構成前提条件
- IBM i 区画はVIOSのクライアントであるVIOC
- 物理I/Oアダプターが割り当てられていない
- ディスクは外部Storageから提供されている
- 他区画と仮想SCSIアダプターの接続が無い
- 制御するHMCとTCP/IP接続(RMC)が必要なため制限状態ではない
2:IBM i ハイバネーション機能の仕組み
IBM i のハイバネーション機能はメモリー上に展開しているデータやハイパーバイザーのNVRAM内の一部データなどを、VIOSが管理する“予約済みストレージ・デバイス・プール”に退避/再展開することで実現しています。
これによりシャットダウンやIPL時間の大幅な短縮が可能となり、例えばハードウェア・メンテナンスなどの計画停止時間の削減が可能となります。また、起動時に発生する大量の電力消費を削減したり、ハイバネーション時はプロセッサーやメモリーといったハードウェア・リソースを解放するため、他の区画でそれらリソースを利用することが可能となります。
IBM i ハイバネーション機能は同時に4区画しか実行できませんが、休止状態になった区画数の制限はありません。

3:設定手順
【3-1.HMCでの設定】
予約済みストレージ・デバイスの作成
3-1-1.予約済みストレージ・デバイスとは、中断/再開を行う区画のメモリー・データの一時的な退避先となるストレージで、VIOSが管理する利用されていないディスク装置を使用します。
3-1-2.「サーバー」から「構成」にある「仮想リソース」の「予約済みストレージ・デバイス・プール管理」を選択します。

3-1-3.「予約済みストレージ・デバイス・プール管理」ウィンドウで「デバイスの選択」をクリックします。(「予約済みストレージ・デバイス選択」ウィンドウでVIOSに構成されている未使用のディスク装置が表示されます。)
3-1-4.プールに含める装置にチェックを入れて「了解」を選択します。(設定するデバイスのreserve_policyは“no_reserve”にしておく必要があります。)

【3-2.IBM i クライアント区画での設定】
パーティション属性「このパーティションの中断を許可します。」にチェックします。(この操作は該当の区画が非活動中でなければなりません。)

4:IBM i ハイバネーション実行手順
【4-1.中断の実施】
4-1-1.HMCにて「パーティション名」から「操作」にある「中断操作」の「中断」を選択します。

4-1-2.「パーティション中断/再開」ウィンドウにて「中断」を選択します。

4-1-3.処理中は「Status」ウィンドウが表示されて、処理状況が確認可能です。
「パーティション・データの保管」アクションは、予約済みストレージ・デバイス・プールへのメモリー・データの書き出し処理で、区画のメモリー量に応じて増減します。

4-1-4.パーティションの状況は「中断中」となり、パーティション・データ保管時に参照コード(SRC)C2001050が記録されます。

4-1-5.完了すると「Status」ウィンドウの全項目にチェック・マークが入ります。

4-1-6.パーティションの状況は「中断状態」となります。SRCも非活動と同じ“00000000”となります。

【4-2.再開の実施】
4-2-1.HMCにて「パーティション名」から「操作」にある「中断操作」の「再開」を選択します。

4-2-2.「パーティション中断/再開」ウィンドウにて「再開」を選択します。

4-2-3.処理中は「Status」ウィンドウが表示されて、処理状況が確認可能です。

4-2-4.パーティションの状況は「再開中」となります。

4-2-5.完了すると「Status」ウィンドウの全項目にチェック・マークが入ります。

4-2-6.パーティションの状況は「実行中」となります。

【4-3.IBM i 側での認識状況】
IBM i ハイバネーション機能を実行すると、メッセージ待ち行列QSYS/QSYSOPRにメッセージが送信されます。
- 中断処理開始時:MSGID CPI09A5 「区画のサスペンド要求が進行中です。」
- 再開処理完了時:MSGID CPI09A9 「区画がハイバネーションから再開されました。」

【参考:IBM Power 720(6core)でのテスト結果】
検証環境
- [VIOS] CPU: 0.50(Uncapped), Memory: 4GB, Disk: DS4700上の論理ボリューム 50GB * 1
- [IBM i] CPU: 0.50(Uncapped), Memory: ケース別, Disk: DS4700上の論理ボリューム 40GB * 3
- [予約済みストレージ・プール] Disk: DS4700上の論理ボリューム 32GB * 1
| ケース | メモリー | 中断所要時間 | 再開所要時間 |
|---|---|---|---|
| Case 1 | 2 [GB] | 00:01:50 | 00:01:27 |
| Case 2 | 4 [GB] | 00:03:00 | 00:02:30 |
| Case 3 | 8 [GB] | 00:05:10 | 00:04:30 |
IBM i ホスト/クライアント区画の仮想テープ機能の詳細
次に、IBM i 自体がVIOSのようにクライアント区画を管理するIBM i ホスト/クライアント区画環境での仮想テープ機能をご紹介します。この機能は、IBM i ホスト区画が持つ物理的なテープ装置をIBM i クライアント区画が利用することが可能となる仮想化機能の1つです。これにより、テープ装置の台数削減やテープ装置を共有することで有効活用が可能となります。
IBM i ホスト/クライアント区画の詳細は以前のインターネット・セミナーをご覧ください。
IBM i の仮想化機能をフル活用!IBM i クライアント区画の構成方法
現在のところ、IBM i 標準機能の仮想テープ装置はサポートされず、テープライブラリー装置もシーケンシャル・モードのみのサポートとなります。
仮想テープ装置とは、「CRTDEVTAP RSRCNAME(*VRT)」で作成する仮想的なテープ装置の事を指します。詳細は以前のインターネット・セミナーをご覧ください。
System i スペシャリストが教えるV5 ちょっと、イイ話 - 第22回 仮想テープ装置を使う

前提条件
【ハードウェア前提条件】
POWER6搭載以降のPower Systems
- Power Architecture Bladeは非サポート
テープ装置
内蔵テープ装置
- #5746 Ultrium4
- #5638 Ultrium5
- #5907 DAT72
- #5619 DAT160
- #5661 DAT320
- #7206 Model 336 DAT72
外付けテープ装置
- TS2230 Ultrium3 SAS
- TS2240/2340 Ultrium4 SAS
- TS2250/2350 Ultrium5 SAS
- TS2900 Ultrium4/Ultrium5 SAS(シーケンシャル・モードのみ)
- TS3100/3200 Ultrium3/Ultrium4/Ultrium5 SAS/FC(シーケンシャル・モードのみ)
【ソフトウェア前提条件】
IBM i ホスト区画
- IBM i 7.1 TR2
IBM i クライアント区画
- IBM i 6.1(LIC V6R1M1)+ 下記PTF
- MF51987, MF51988, MF52087, MF52106, MF52325, MF52423, MF52653, MF52677, MF53170, MF53244
- 仮想テープ機能を代替IPL装置として利用する場合:上記 + MF51987, MF51988, MF52325, MF52423, MF52482(これら5つを永久適用)
- IBM i 7.1 もしくは IBM i 7.1 TR1 + 下記PTF
- MF51975, MF51976, MF52061, MF51662, MF52103, MF52327, MF52674, MF52676, MF53172, MF53235
- 仮想テープ機能を代替IPL装置として利用する場合:上記 + MF51975, MF51976, MF51662, MF52327, MF52479(これら5つを永久適用)
- IBM i 7.1 TR2 + 下記PTF
- MF52103
仮想テープ機能の使用における考慮点
IBM i ホスト区画側と同じ型式の物理テープ装置として認識されます。ただし、製造番号が仮想なものとなり、位置が表示されません。

IBM i クライアント区画側で利用する場合はIBM i ホスト区画側でオフに構成変更しておく必要があります。
テープ装置は一時点では一区画のみがオンに構成変更可能です。
- ある区画で既にオンに構成変更されている場合は、その他の区画でオンに構成変更しようとするとメッセージCPD8EB4が出て構成変更に失敗します。
- 装置記述の「オフに構成変更時の装置 アンロード(UNLOAD)」オプションを*NOにしておくと切替時のテープ媒体の装填し直しは不要となります。

DS5000シリーズへのNPIV(N_Port ID Virtualization)サポート
DS5300/5100へのNPIV経由での接続がサポートされます。NPIVはVIOS区画に取り付けられた物理ファイバー・チャネル・アダプターのポートを他の区画に仮想的に割り当て、物理ファイバー・チャネル・ポートを共用することで、ファイバー・チャネル・アダプターやドロワーの削減が可能になる仮想化機能です。今まではDS8000やTS3310などのサポートでしたがDS5000シリーズに拡張されました。
【ハードウェア前提条件】
DS5300/5100
- Firmware: 07.70.38以降
Power Systems(POWER6搭載以降モデル(Power Architecture Bladeでは非サポート))
- Server Firmware
- POWER6搭載モデル:2011年4月~6月期に公開予定のレベル
- POWER7搭載モデル:Ax_730_xxx以降
- FCアダプター
- 8Gbps FCアダプター
- 10Gbps FCoEアダプター
【ソフトウェア前提条件】
VIOS
- 2.2.0.12 FP24 SP02
IBM i
- IBM i 7.1 TR2

IBM、IBMロゴ、ibm.com、BladeCenter、POWER6、POWER7、Power Systems、およびPowerVMは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点でのIBMの商標リストについては、www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。